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G655のしらべ
中国産の御影石は、日本国内で販売される時に国内で採石される御影石と似ているものがあれば、その名前を使った通称を付けることがあります。「G655」は茨城県で切り出されている「稲田石」によく似た外見をしているので、「中国稲田」若しくは「新稲田」と呼ばれることがあります。
「G655」の原産地
御影石の「G655」は、中華人民共和国の福建省厦門市にある同安(トンガン)地区で採石されています。同安地区は厦門市のおよそ3分の1を占める広い地域で、複数の採石場があります。中国には様々な料理がありますが、広い国土と長い歴史の中で育まれた地域に根差した数々の料理があります。福建省にも土地の利と歴史の中から生まれた素晴らしい料理があります。比較的山がちな地域なので、キノコやタケノコなどの山の幸が豊富で、海に面しているおかげで新鮮な魚介類も多く水揚げされています。また、一年を通して温暖で降水量も多いおかげで、多様な作物が育てられています。豊かな食材と様々な発酵調味料を駆使して、うす味ながら奥深い旨味のある料理が作られています。あらゆる食材を出汁に使った多種にわたるスープも特徴のひとつです。もう一つの特徴は、「刀工」とも言われる、巧みな包丁さばきで作り上げられる緻密な細工切りの技術があります。絹糸のような細い切り方や、半紙のような薄い切り方で野菜などを細工していく技法です。
「G655」の特徴
「G655」は、中国産白御影石の代表と言える御影石です。長石の白と石英のグレーが混じり、黒い粒子が点々と入っています。「G655」は学問上では「閃緑岩(せんりょくがん)」と言う岩石で、基本的には白と黒の粒子が半々に入っています。しかし、「G655」の場合は、白い鉱物が比較的多めに入っていて、色の白さも割合と際立っている為に、御影石の中でもかなり白い石材となっています。石目は少し大きめですが、吸水率は低目になっています。色調や品質は安定していて、採石量も多いようです。茨城県産の「稲田石」に見た目がよく似た白御影石なので、ビルの外壁など、大量に使用する場合に「G655」が使われている例があります。しかし、含有鉱物の中の鉄鉱物が割と多く含まれているので、吸水によって酸化し、サビが出ることがあります。白い石なので、サビが出ると茶色くなって目立つのが弱点と言えます。このような状態は、撥水処理を施した石材でしたら、多少は防ぐこともできます。
「G655」を取り扱う時の留意点
適正なメンテナンスとお手入れを心掛ける
お手入れ方法
御影石は自然の産物ですが、基本的に緻密で化学作用にも強い素材です。従ってお手入れやお掃除も割と簡単にできます。普段は水拭き程度で大丈夫ですが、汚れが目立つ時には中性洗剤を薄めて使われるのが良いでしょう。最後に洗剤成分をしっかり拭き取ることを心掛けてください。
メンテナンス
「G655」は白御影石なので、万が一サビが出た時にはとても目立ちます。また、金属製の物を置いた時にサビがうつる事もあります。このような時は専門家に任すのが一番です。最近はインターネットなどで御影石に使われる様々な薬剤等も売られていますが、専門知識もなく使うと取り返しのつかないことになることもあるので注意が必要です。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「G655」に適した製品
清潔感と爽やかなイメージの御影石です。
天板
キッチンや洗面台の天板に使用されます。水周りに使うので、前もって撥水処理などを施した御影石を使う事をお勧めします。そうすることによって、お手入れが簡単になり、美しさが長持ちします。白い御影石は清潔感があり、天然石の持つ高級感と相まって素敵なキッチンやサニタリーになるでしょう。
建材
「G655」は採石量が多く、大きなサイズの原石も切り出されることから、大量に使われる場所でも安心して使用できます。爽やかな感じの白い色調も安定しているので、大きなビルの外壁や内壁、床材としても使われる例がたくさんあります。「G655」の清楚な色合いは、大きな建物の威圧感を抑える事ができるのではないでしょうか。
小さい石材
ホームセンターなどで、小さめのタイル状の御影石や、サイコロ状の「ピンコロ」と呼ばれる石材が売られています。「ピンコロ」は花壇の仕切りや、駐車スペース区切りなどに使われます。タイル状の石は大きさも様々な物があり、小さいものはペーパーウエイトなどに使えます。単なる四角い石でも、アイデア一つで色々な利用方法が見つかるでしょう。
「G655」のまとめ
大陸で切り出される御影石は、島嶼部で採石されるものと、岩石として出来上がるまでの時間に差があります。数億年の違いは気が遠くなりそうですが、地球規模でもかなりの違いがあります。また、御影石は厳密には花崗岩だけではなく、数種類の岩石があります。「G655」は閃緑岩の中でも異彩を放つ白い石ですが、特徴を活かす使い方がまだまだあるのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…8661円
400角…8661円
300×600…8668円
2022年11月のしらべ
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