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ソルンホーフェン(Soln Hofen)のしらべ
太古の地球に生きていた植物や動物が残した成分によって出来た岩石があります。
石灰岩が出来上がる過程は二通りあって、「ソルン ホーフェン」は生物起源の石灰岩です。タイル状の厚みで、思い思いの形をした乱張り材の「ソルン ホーフェン」には化石の見られる石もあります。
「ソルン ホーフェン」の原産地
ドイツ連邦共和国のバイエルン州は国の南西部に位置します。その中にあるゾルンホーフェンと言う町(もしくは、地域)で、乱張り材の「ソルン ホーフェン」は採石されています。昔はフーゼンと言う町でしたが、8世紀にこの地を訪れた宣教師が教会を建て、地域の為に尽力しました。
その人物が聖ゾラと言い、彼を称えてこの地の名前が変えられました。中世後期ではガラス産業が盛んな町でしたが、19世紀に発見された化石によって世界中に名前が知られるようになりました。始祖鳥のほぼ完全な形の化石は、それまでの古生物学や動物の進化をたどる上で、非常に大きな発見となりました。
他にも多くの動植物の化石が保存状態の良い形で発見されていて、世界的に有名なジュラ紀に於けるラーガーシュテッテ(日本ではラーゲルシュッテッテンと表されています)の一つになっています。現在までに発見されている十数体の完全な形の始祖鳥の化石は、全てこの地で見つかっています。
化石の入ったソルンホーフェンの写真です。
また18世紀末に、ドイツ人のアロイス・ゼネフェルダーは、ゾルンホーフェン産の石灰岩を使用して、リトグラフの技法を発明しています。以後この地がリトグラフ板の代表産地として有名なことから、上記した始祖鳥の小種名には、ドイツ語でリトグラフを示す、「リトグラフィカ」という名称が付けられています。
「ソルン ホーフェン」の特徴
乱張り材の「ソルン ホーフェン」は、産地と同名ですが、この地ではライムストーン(石灰岩)の「ジュライエロー」や「ジュラブルーグレー」も切り出されていて、元は同じ石です。化石を含んでいることも特徴の一つですが、キメが細かく高品質の石灰岩である事も特筆すべき点です。
基本的に石灰岩は白か灰色をしています。そこに色を引き出す鉱物が混じることによって、着色のある石灰岩が出来上がります。
「ソルン ホーフェン」はアースカラーと呼ばれる大地の色を模したような、温もりのある色をしています。濃い色ではありませんが、黄色から茶色にかけての色をしています。
白に近いとても薄い色の石もあります。石自体には模様と呼べるような特徴的な柄はありません。
しかし、化石が入っていることがあって、中には大きなシダがほぼ完全な形で見られる石や、アンモナイトや魚類が見られるものもあります。無作為に割ってある石材なので、色や形には均一性はありませんが、自然な仕上がりに出来る石材です。
「ソルン ホーフェン」を取り扱う時の留意点
化学作用
「ソルン ホーフェン」は生物由来の石灰岩なので、化学作用にとても弱い性質を持っています。炭酸カルシウムが主成分で、特に酸に弱く、酸性の物が付着すると溶け出す可能性があります。
これはライムストーンや大理石にも言える事です。酸と聞けば薬品と思いがちですが、身近な物や思いもよらぬ物もたくさんあります。
例えば果物にはクエン酸やリンゴ酸など様々な有機酸が含まれています。近年では酸性度の高い雨が降る事もあります。酸性の物が付着した時には速やかに取り除いて下さい。
また、お手入れの際には強力な洗剤やカビ取り剤等は使用しないでください。
吸水性が高い
石灰岩は吸水性が高い性質があります。「ソルン ホーフェン」は、緻密な石なので石灰岩の中でも高品質な部類に入りますが、屋外での使用の場合は注意が必要です。
石材が水を吸うと、カビが生えたりシミになったりすることがあります。石灰は肥料の一つでもあるので、長期間その様な状態を放置すると、苔が生える事もあります。水に濡れる可能性のある場所に使用する場合には、撥水加工などのコーティングを施すことをお勧めします。
「ソルン ホーフェン」に適した製品
床材
乱形石は基本的には床材として利用されることが多い石材です。不規則に割った石を庭の小道や門から玄関に続くアプローチ、公共の場での遊歩道などにも使われています。
また、玄関への上り口など、少ない段数の階段にも利用されています。大地の色とも呼べる「ソルン ホーフェン」の色合いは安定感のある色で、ランダムな形の石が創り出す柄が、ある意味の華やかさを添えてくれるでしょう。
壁材
塀や門柱などの装飾に乱張り材の「ソルン ホーフェン」が使われる事があります。
また、ショップの内装の壁にも利用されます。石材の武骨なイメージは乱張りと言う方法で払拭され、暖色系の色をした「ソルン ホーフェン」の壁は、室内の空間を温もりのある優しい雰囲気にしてくれるでしょう。
また、化石の封入もある石なので、壁の表面に見られる様々な化石が話題を提供してくれるのではないでしょうか。
「ソルン ホーフェン」のまとめ
「ソルン ホーフェン」は、およそ1億6,000万年前に起源のある石です。
ジュラ紀と呼ばれているその時代に生きていた動物が残した、殻や骨の成分が積み重なって出来た石です。加えて、ゾルンホーフェン地方が、当時は特殊な環境にあった事から多くの完全な化石を作り出す要因となりました。
このように、長い時間と自然が創り出した石が住環境や公共の場を彩ってくれる事は、地球からの賜物と言っても過言ではないでしょう。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
割り肌、乱形
t=7~12…4000円
t=13~19…5430円
t=20~25…6000円
2022年11月のしらべ
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