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G623のしらべ
中国産の御影石が輸入され始めた当初から、日本に入ってきている白系の御影石のご紹介です。「G623」は、海岸近くに採石場があるので、切り出してすぐに船に積むことができる利点のある御影石です。
「G623」の原産地
中華人民共和国の南部、福建省に厦門市(アモイ、シァメン)と言う中国経済特区に指定されている都市があります。厦門市は厦門島や周辺の島々を含む六地区に分割されていて、海岸部の海滄(かいそう、ハイカン)地区に「G623」の採石場があります。厦門の「厦」は大きな建物を示す漢字で、華僑の故郷とも言われる古くから栄えた都市です。昔から貿易で栄え、中国の玄関口と言える場所でした。厦門島と本土の間にある「鼓浪嶼(ころうしょ、コロンス島)」は、清の時代に於いて日本の長崎出島のような諸外国の人々が暮らす万国共同租界でした。異国情緒あふれるこの島は、2017年にユニセフの世界遺産に登録され、今では多くの観光客が訪れる島となっています。スポーツや文化も盛んで、中国のプロサッカーチームがあり、毎年国際マラソンの大会も開催されています。また、多くの各種芸術団体が活躍しています。活発な経済のおかげで文武も栄えている地域となっています。
「G623」の特徴
「G623」は、中国産の白系御影石の中で一番ポピュラーと言われる御影石です。白い長石とグレーに見える石英の中に黒雲母による粒子があり、茶色やピンクの柄が入っている物もあります。白御影と言われていますが、全体的には薄いグレーの石材となっています。これは、グレーの部分が比較的濃い目であることと、雲母の黒がはっきりと大き目であることが要因となっているようです。「G623」は、採石場の地名を付けた「ハイカンホワイト」などの別名がありますが、日本国内では茨城県産の「稲田石」に似ていることから、「新稲田」または、ピンクの柄があることから「稲桜」とも呼ばれています。石目は大きめですが、吸水率は比較的低く、硬い部類の石材です。海に近い所に採石場があるので、陸上の輸送コストが抑えられ、価格も抑えられているようです。このような事から、安価な割に質の良い御影石と言えます。以前から大量に採石し、大きなサイズの石も切り出していることから、採石中止になる可能性も出てきていると言われています。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「G623」を取り扱う時の留意点
質の良い御影石ですが、お手入れを怠らないことが大事です。
ツヤのある表面加工の場合
鏡面を出している加工の場合は傷が付きやすく、傷が目立つと言う欠点があります。こまめにお手入れすることで、多少は傷の付く要因を防ぐことができます。また、汚れをそのままにするとシミの原因にもなります。「G623」のような薄い色の御影石ですと、シミが付くと大変目立つようになってしまいます。水拭きなどの簡単なお掃除でも美しさを保つ事ができます。放置すると取れにくくなってしまいますので、汚れが付着した時には速やかに取り除いて下さい。
ツヤのない加工の場合
床などはツヤのない表面の石材を使用する事が多く、汚れる機会も多いので毎日のお掃除が大事です。特にデコボコの大きい表面になると、ホコリなども溜まりやすくなってきます。箒などで大きなゴミやホコリを取るだけでもずいぶん違います。その後、水で洗い流すと更にきれいになります。吸水性が低いと言っても、まったく水を吸わないわけではないので、早めに水分を拭き取った方がベストです。
「G623」に適した製品
大量に輸入されるので、様々な場所で使われます。
天板
天然石のキッチンや洗面台、カウンタートップは高級感があります。「G623」は吸水性も低く、水周りに使っても十分耐える事ができます。しかも普及的な価格で、手に入れやすい石種ではないでしょうか。色や柄も明るい感じで、石材の持つ冷たいイメージを和らげる事ができます。「G623」は基本的には薄い無彩色なので、どんな雰囲気のお部屋でも、違和感なく設置する事ができるのではないでしょうか。
屋外使用にも
石畳や石段、また庭の飛び石などに使われます。その場合は、水濡れしても滑りにくいバーナー加工やノミ切りと言われる、多少の凸凹の表面を持たせた石材を使います。風化にも比較的強いので、風雨にさらされても短期間で劣化することが少ない石材となっています。また、記念碑やモニュメントにも利用されます。「G623」の色合いは、風景の邪魔をする事のない石造品となるでしょう。
「G623」のまとめ
御影石の「G623」は、九龍江と言う川の河口付近の海岸部に採石場があるので、輸出には便利な所です。昔から大量に採石しているので、閉山も近いのではないかと言われる事もあり、閉山した後には港湾施設を作る計画も浮かび上がっています。しかし、採石場には在庫がまだ大量にあるので、すぐに無くなる心配は無いようです。使い勝手の良いイメージのある御影石の「G623」が活躍できるシーンは、まだまだあるのではないでしょうか。
現在、閉山となっております。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…7716円
400角…7716円
300×600…7723円
600角…11190円
2022年11月のしらべ
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