ブルジュ・ハリファ（Burj Khalifa)

「ブルジュ・ハリファ」のご紹介

アラビア語で塔の事をブルジュと言います。アラブ首長国連邦にはブルジュがたくさん建っています。その中には現時点で世界一高いビルもあります。「ブルジュ・ハリファ」は地上高828ｍで、数々の世界記録を持つ建造物です。

「ブルジュ・ハリファ」の設計者

エイドリアン・スミスは、1944年に摩天楼発祥の地とされるアメリカのシカゴで生まれました。子供の頃、絵を描くことが好きだった彼に建築家としての道を勧めたのは彼の母親でした。現在は独立して自らの事務所を構えていますが、「ブルジュ・ハリファ」の設計を担当していた当時は、アメリカの建築事務所スキッドモア・オーウィングズ・アンド・メリル通称SOMに在籍していました。

1936年にシカゴで開設されたSOMは現代的な高層建築を多く手掛け、今では世界でも最大規模の事務所となっています。数々の著名な建築家も輩出しており近代建築の先駆け的な企業です。1979年にはSOM財団が設立されて、建築に関わるあらゆる事柄を学ぶ優秀な学生を支援しています。「ブルジュ・ハリファ」の設計を担当したエイドリアン・スミスは、超高層ビルの設計に多く携わっていますが、これからも自らの記録を塗り替えるようなプロジェクトに参加していくようです。

「ブルジュ・ハリファ」の所在地

世界一高い建築物の「ブルジュ・ハリファ」は、アラブ首長国連邦の構成国であるドバイ首長国に建っています。ドバイ首長国はドバイ市だけで成り立つ国なので、都市国家とも言えます。

古くから人が住んでいましたが、漁業や真珠の採取を行っていた小さな漁村でした。19世紀の初めに建国された後、しばらくはイギリスの保護を受けていました。アジアの特にインドとヨーロッパを繋ぐ貿易の中継拠点として徐々に大きくなり、真珠の採取と共に経済を支えていました。しかし、20世紀の初めに日本で真珠の養殖が成功し、商業として確立させたことや、世界恐慌などが追い打ちをかけたことで、経済的には衰退していきました。

しかし、第二次世界大戦後の20世紀の半ばに複数の海底油田が発見されたことから、再び経済活動も活発になってきました。1971年にイギリスから独立した後は、急激に都市化が進み、21世紀に入ると超高層ビルが林立する大都市になりました。また沖合には人工島もいくつか作られています。現在は、国際金融取引等が活発に行われる中東屈指の金融センターでもあり、世界に影響を与えることのできる都市に成長しています。

「ブルジュ・ハリファ」の特徴

「ブルジュ・ハリファ」は、2010年に完成した時点で世界一高いビルで、世界第二位の高さを誇る東京スカイツリーを大きく引き離し、約200ｍも高い建造物です。地上高828ｍあり、地上163階の上に尖塔が立っています。一般に使われているオフィスやホテル、住宅に使用されているのは159階までで、その上は機械室となっています。細長く引き伸ばしたピラミッドの様な形をしていて、遠くから全景を見ると、竹で作られた雅楽器の笙に似た形をしています。

真上から見ると三方向に広がる棟から成り立っているのですが、この形は、熱帯性の彼岸花科に属する白い花に見立てたデザインになっていると言われています。また、このような巨大な建造物を支えるための構造上の利点と、多くの部屋からの見晴らしも補償できるようにと、この形になったようです。近代の超高層ビルは鋼鉄とガラスで作られていますが、設計者のエイドリアン・スミスは、陽の光を反射させやすいように外壁にステンレスを多用しました。それにより、朝陽や夕日を反射して煌めく「ブルジュ・ハリファ」の姿を見ることができるビュースポットが市内に散在しています。

「ブルジュ・ハリファ」のまとめ

約六年の歳月をかけて作られた「ブルジュ・ハリファ」は、建設中はブルジュ・ドバイと呼ばれていました。様々な要因から完成披露の場で名前が変えられ、当時のアラブ首長国連邦の大統領の名前にちなんだ名称になりました。世界一のビルと言うことで、外壁を登るクライミングや、高層部から飛び降りるベースジャンピングという危険なスポーツに使われることもあり、様々な話題も投げかけています。

余談ですが、「ブルジュ・ハリファ」には25,000枚近い窓があり、全部の面積を合わせると甲子園球場二つ分より少し広いくらいです。相当な高さもさることながら、この広さの窓を掃除するのは大変なことです。無人の窓ふき機械と多少の人出をかけて、全部を磨き終えるのは、およそ3~4か月かかるようです。一年の三分の一は「ブルジュ・ハリファ」のどこかで窓掃除がされている計算になります。