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アンタルヤライム(Antalya Lime)のしらべ
ヨーロッパとアジアにまたがる、世界でも珍しい位置にある国で産出している石灰岩が「アンタルヤ ライム」です。
地中海の最奥に近い所で、美しくも荒々しい自然豊かなこの地域で知り出される石は、一番ナチュラルな色と言われる優しい色をしています。
「アンタルヤ ライム」の原産地
トルコ共和国の地中海沿岸部のほぼ中央にアンタルヤ県があり、県都のアンタルヤ市近隣に複数の「アンタルヤ ライム」採石場があります。
20世紀の初めにトルコ共和国が発足するまで、古代より様々な権力者に支配されていたことがある街です。この街の名称は、紀元前150年頃に栄えた古代の王国の国王の名前を取って付けられてと言う説が長い間信じられていました。
しかし、21世紀に入って、紀元前3世紀頃の遺跡が発見されたことによって、もっと古くからこの地域に街があった事が証明されました。
それぞれの時代に建造された様々な建築物が残っていて、中でもローマ時代に作られた「アスペンドス古代劇場」は、現在もオペラやバレエの上演が行われています。夏は暑く乾燥し、冬は比較的暖かい地中海性気候の場所で、地中海の美しい浜辺もありますが、壮絶な断崖も多く、荒々しい自然も見られます。
20世紀の後半には国がこの地域をリゾート地として開発する事を決め、現在は国の内外から多く観光客が訪れる場所となっています。
「アンタルヤ ライム」の特徴
薄いベージュやクリーム色、アイボリーと色々な表現で表されるのが、ライムストーンの「アンタルヤ ライム」です。
基本的にはベージュと紹介される事が多いようです。ライムストーンは、海洋生物の残した殻や骨格などの炭酸カルシウムが主成分なので、化石の見られる石も多く存在しています。
「アンタルヤ ライム」にも化石が入っていますが、大きく見えるものはあまりありません。小さな粒状のものが多く、地色より少し濃い物が点々と見られます。ツヤのある本磨きと呼ばれる表面加工の石板を近くで見ると、ドット柄のような粒子が見られますが、ツヤの無い水磨きの石や、離れて見ると模様の無い均一の石に見えます。
石材の中でもライムストーンは柔らかく脆い性質がありますが、「アンタルヤ ライム」は化石の混入も少なく、小さい物が多いので、どちらかと言うと硬い部類に入ります。従って、高品質で床材などでも耐える石種と言えます。
「アンタルヤ ライム」を取り扱う時の留意点
繊細な石です
石材で言われるライムストーンと大理石は共に学問上では石灰岩です。しかし、石が出来る過程に於いてマグマなどの高温にさらされた大理石と違い、ライムストーンは太古に生きていた海洋生物の殻などが降り積もって固まった石なので、一見硬そうに見えますが、実はとてもデリケートな素材です。
石材の中では柔らかい石なので、加工が容易であると言う利点がありますが、逆にちょっと硬い物をぶつけたり、少しの高さから落としたりしただけで簡単に傷がついてしまいます。丁寧な取り扱いを心掛けてください。
吸水しやすい
先に述べたように「アンタルヤ ライム」は堆積岩の仲間で、脆い性質を持っています。加えて、大きなものはあまり見かけられませんが、化石も入っています。その為、目には見えないほどの小さな隙間がたくさんあります。その隙間に水が入り込んでしまうと、シミになる事があり、ひどい場合にはカビが生える可能性もあります。
「アンタルヤ ライム」は薄い色なので、シミになるととても目立ってしまいます。水のかかる可能性のある場所に使用する場合には、撥水処理など、適切なコーティングを施すことをお勧めします。
「アンタルヤ ライム」に適した製品
装飾用
石灰岩は柔らかく加工が容易な石材なので、様々なカットやレリーフなどが施された物が出回っています。「アンタルヤ ライム」は、柔らか味のある薄めの色合いなのでどんなところにも使える素材と言えます。
小ぶりものでは、階段の手すりや柱、花台なども作られています。
また、実際に暖炉として使わなくても飾り棚として使えるマントルピースも意匠を凝らしたものが作られています。
内装材
石灰岩は床には不向きと言われる事がありますが、「アンタルヤ ライム」は比較的硬い部類なので床にも使われます。
大きな柄と呼べるほどの模様も無いので、広い壁部分にも使いやすい石種です。
自然な色合いが、落ち着いた雰囲気と安らげる空間を演出してくれるのではないでしょうか。
「アンタルヤ ライム」のまとめ
石灰岩は出来上がる過程が二種類あります。古代の海に生息していた生物が残した殻や骨格が降り積もって固まった生物由来の石と、水に含まれている石灰質が沈んで固まった石です。
石材として利用されるのは生物由来の石灰岩ですが、「アンタルヤ ライム」が切り出されているトルコには、「パムッカレ」と言う石灰質が沈殿して出来上がった巨大な石灰棚が美しい光景を見せてくれる場所があります。石灰質の地形によく見られる洞窟の鍾乳石も同じような過程で出来る石灰岩です。このように石灰岩だけでも様々な種類があります。
「アンタルヤ ライム」がライムストーンとして人々に利用されている事は、自然の恵みを享受していると言えるのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税別、運賃別)
本磨き、水磨き
400角…13386円
400×600…13701円
600角…16063円
2022年11月のしらべ
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