「スコットランド議事堂」のご紹介
議事堂と聞けば堅苦しいイメージがありますが、国や地方自治体における様々な事柄を議論、決定する場所なので軽々しい建物ではありません。しかも、当該の国や自治体を象徴するような建造物となっていることも多々あります。数百年の空白期間を経て再開された議会の為に建設された「スコットランド議事堂」をご紹介します。
「スコットランド議事堂」の設計者
スペインに生まれ世界に名を馳せた建築家、エンリック・ミラージェス(エンリック・ミラレス・モヤ)と、イギリスの老舗建築企業「RMJM」の共同プロジェクトとして「スコットランド議事堂」が設計されました。ミラージェスは、1955年バルセロナで生を受け、2000年45歳の若さで病に倒れこの世を去りました。短い年月を駆け抜けるように幾多もの建築物を手掛けました。
富山県にも彼が携わった展望台があります。彼が若くして様々な作品を手掛けることが出来た理由の一つに、バルセロナの歴史的事情があったようです。1970年代にあった出来事が要因となって文化の中心になった事と、1992年にオリンピックが開かれた事です。当時は様々な建築物が作られ、若手にも多くの活躍の場が与えられました。
その中でも最大の作品が「スコットランド議事堂」です。しかし彼は、議事堂の完成を自分の目で見ることはなかったのです。その他にも、完成した姿を見ることができなかった建造物がいくつもあります。今、彼は建築家として初期の頃に手掛けた墓地に埋葬されています。
「スコットランド議事堂」の所在地
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(イギリス)を構成している4つの国(カントリー)の一つである、スコットランドの首都エディンバラ(エジンバラ)市に「スコットランド議事堂」は建っています。
スコットランドは、グレートブリテン島の北側のおよそ三分の一を占め、エディンバラ市はその南端に近い所です。太古に噴火した火山の溶岩の上に出来ているので強固な地盤となっていることから、有史以前から人が定住していた形跡があり、とても長い歴史のある地域です。
その時々には争いごともありましたが、常に様々な権力の中心的な役割を果たしている街です。その為、時代を象徴するような建築物も多く建てられ、様々な年代のものが残されています。
また、北海に通ずる湾に面しているので、高緯度の割には温暖な気候で、海運による商業の中心地でもありました。現在もイギリス国内に於いて、ロンドンに次ぐ経済の中心地となっています。
18世紀頃には人口過密になり、それを解消する為に新しい街が作られました。現在、新旧市街は世界遺産にも登録され、多くの観光客を呼び寄せています。
「スコットランド議事堂」の特徴
18世紀に廃止されたスコットランド議会は、300年の時を隔てて2000年に再開されました。それに伴い、新しい議事堂を建設することになりました。
2004年に完成した斬新なデザインの議事堂ですが、白を基調としたアースカラーの落ち着いた色と、木材を多用することで威厳を保っています。上から見ると、白い花びら、若しくは葉が舞うような雰囲気があり、半数はガラスで作られているので、自然光の採光ができるようになっています。防犯を兼ねているのでしょうか、窓の外側は直線を多く使ったデザインで、いろいろな幾何学模様を作り出しています。
このデザインはスコットランドの有名な画家による「スケートをする牧師」の絵をモチーフにしていると言われていて、建物の随所に使われています。議会場は天井の高い広々とした空間があり、壁の上部はガラス張りで自然光が入り、とても明るい会議場となっています。
椅子やテーブル等の調度品は木製のものが使われ、温もりを感じさせることができます。また、議員の個室と言える部屋がたくさん作られている建物には、多くの木の葉を題材としている、サイズの違う同じデザインの出窓が作られています。
「スコットランド議事堂」のまとめ
「スコットランド議事堂」は、上空から見ると白い花弁のように見える建物です。首都と聞けば大都会のイメージがありますが、自然も多く残され、議事堂のそばには古代の宮殿も建っています。古い物と新しいもの、人工的な物と自然の木々が混在している場所です。
「スコットランド議事堂」は事前予約が必要で、一部撮影できない箇所もありますが、観光客でも無料で見学ができるようです。議事堂と言うと一般には近寄りがたい感じがしますが、ここは親しみを持てる場所でもあるようです。
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