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ベルデフォンテン(Verde Fountain)のしらべ
広大な砂漠の近くで、深い森林の色をした御影石が採掘されています。イタリア語で緑を意味する「ベルデ」の名前を持った、御影石のベルデフォンテンをご紹介します。
「ベルデ・フォンテン」の原産地
南アフリカ共和国の南、喜望峰のあるケープタウンから約300km北上した所に、「苦い泉」と言う意味を持つ名前のビターフォンテイン村があります。ここが御影石の「ベルデ・フォンテン」が切り出されている場所です。南アフリカ共和国には首都の機能が3つに分けられていて、採石場のある西ケープ州の州都であるケープタウンは立法府を擁する首都の一つです。この地域では、古くから地下資源の採掘が行われています。特に、採石場の近くにある銅の鉱山は、19世紀頃には世界で最大規模と言われていました。気候は、南半球なので日本とは季節が逆になりますが、緯度が高いので四季も見られます。太古からの豊かな自然が残されている地域で、特に植物相が豊富なことが特徴的な地域です。世界遺産にも登録されている「ケープ植物区保護地域群」は、狭い範囲にアフリカ全土のおよそ20%に及ぶ植物が生育しています。ここにある数千種以上の植物の内、半数以上が固有種であり、多くの種が絶滅の危機に瀕していることも特筆されています。
「ベルデ・フォンテン」の特徴
緑系の御影石は種類が少ないのですが、その代表とも言われる石が「ベルデ・フォンテン」です。黒っぽい緑系のベースに深い緑と白い色があります。石目は大きめのものが多く、結晶の大きい火成岩の一つであるペグマタイトと言われる岩石です。この岩石は構成鉱物が花崗岩と同じものが多いので、石材としては、巨晶御影または、鬼御影と呼ばれる種類の御影石となっています。長石や石英が緑泥石の影響によって、濃い緑色から青味を帯びた緑色になっています。深い緑色の中に見られる薄い緑や白い斑は、花が咲いたようにも見えます。また、「ベルデ・フォンテン」には紫蘇輝石と言う、光の当たり具合によって銀色や紫色に反射する鉱物も含まれているので、日光や照明の種類によってはとても綺麗に見える石材です。石目が大きめの物は、硬い性質の御影石の中でも割と加工しやすいようです。しかし、大理石ほどではありませんが、若干の吸水が見られることがあります。全体的には耐久性や摩耗にも強く、使う場所をあまり選びません。
「ベルデ・フォンテン」を取り扱う時の留意点
色の雰囲気について
「ベルデ・フォンテン」のように、彩色のある濃い色の御影石は色の雰囲気や濃さに違いが出る可能性があります。濃い緑色の中に薄い部分もあるので、尚更その傾向が高くなります。大量に使用する際には、サンプルや画像だけで全ての「ベルデ・フォンテン」を判断することは難しいと思われます。自然の産物であることを念頭に入れて利用してください。また、採石場が複数あるので、可能であれば採石場の情報も確認するとよいでしょう。
床面に使用される場合の注意点
濃い色合いの「ベルデ・フォンテン」は床材としても安定感を与えることのできる石材と言えます。床や階段の踏み板として使用される時に注意する点があります。屋外や屋外とつながりのある場所では特に注意が必要です。ツヤのある表面加工の石を使われると、雨などによって濡れた場合に滑りやすくなります。足元の安全の為にも、ツヤを抑えた少しザラついた表面にされることをお勧めします
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凹凸があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色味が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「ベルデ・フォンテン」に適した製品
価値ある緑系の御影石は住宅を装うのにぴったりです。
玄関
三和土(たたき)に使われます。ジェットバーナー仕上げの加工をしたものをメインに、鏡面仕上げの石を組み合わせてモザイク模様に仕上げる施工例があります。ジェットバーナー仕上げでしたら、滑りにくいので土間の床に使っても安心できます。上り框にも同じベルデフォンテンを使えば、統一感も得られるでしょう。木造の住宅に深い緑が良く似合います。
マンション
外壁にも使われますが、ロビーの片隅にあり、かつ重要な役割を持っているオートロックの制御盤が納めてあるところに使用されています。「ベルデ・フォンテン」のほどよい緑の濃い色が、目立ちすぎず、しかも存在を主張できるものに仕上がっています。ロビーの雰囲気を壊すことも無く、訪れる人を迎える設備を納めるものとして「ベルデ・フォンテン」は最適な素材と言えるのではないでしょうか。
「ベルデ・フォンテン」のまとめ
アフリカ大陸の南端に近い場所で採石されている御影石の「ベルデ・フォンテン」は、森や草原を思い起こさせる深い緑色をしています。採石場のある地域には多種多様な草花が育ち、希少な花々も多く生育しています。このような特徴のある地域で採石される「ベルデ・フォンテン」が、それらの植物たちを連想することのできるボタニカルな色をしているのは言うまでもないことなのかもしれません。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…18423円
400角…18423円
300×600…18440円
2022年12月のしらべ
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