「ヴィトラ・ハウス」のご紹介
スイスの家具やインテリアのブランドである「ヴィトラ」の工場と展示場、美術博物館などが建つヴィトラ・キャンパスは、スイス国境のすぐそばにあるドイツの町にあります。
世界中の著名な建築家の手による建物が散在するヴィトラ・キャンパスのメインとなる建物が「ヴィトラ・ハウス」です。
「ヴィトラ・ハウス」の設計者
ドイツとフランスの国境に近いスイスの街バーゼルが出身地の、ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンが「ヴィトラ・ハウス」を手がけました。彼らは幼馴染で、同じ学校で学び、故郷に帰ってから共同で「ヘルツォーク&ド・ムーロン事務所」を設立しました。彼らの作る作品は、その都度違う雰囲気のあるもので、彼らの特徴と呼べるものはありません。大きな依頼を受けると、建築場所にふさわしいと思える建物を作るために様々な芸術家と共同で外観などのデザインを考えています。特徴の無いのが彼らの特徴で「自分たちの作品だと知られる必要はない。」と言っています。知名度を上げるために建物を作っているわけではないと、彼らは考えています。彼らの作り出す建造物は、サイズの大小にかかわらず、誰もが目を見張るような斬新な外観をしています。常識にとらわれない発想で、思いのままに使われる素材が彼らの手によりまったく新しい壁や柱となって表れます。彼らの生み出す建築物は、見るだけでも楽し気な気分にさせる効果があるようです。
「ヴィトラ・ハウス」の所在地
ドイツ連邦共和国とスイス、フランスの3つの国が国境を接している、ヴァイル・アム・ラインと言う町にヴィトラ・キャンパスがあります。広大な敷地の中にある建物の一つが「ヴィトラ・ハウス」です。ライン川の東沿いのこの町はたいへん古い歴史を持ち、8世紀にはヴァイルと言う名前が記録に残っています。ドイツの有名な「黒い森」の近隣地域で、ブドウの栽培に適した気候になっています。近年では、1989年にスイスの家具メーカーである「ヴィトラ」社が広々とした敷地に工場と様々な建物を建築して「ヴィトラ・デザイン・ミュージアム」を作りました。町の各所にヴィトラの椅子をデザインしたオブジェが据え付けられ、「椅子の町」と呼ばれるようになりました。また、冷涼な気候がブドウの栽培に適していることから、15世紀からブドウの栽培とワインの醸造が行われています。特に赤ワインはトップクラスの良質なものが生産されています。このような特産品は町の誇りともなりえる査証に、この町の紋章は、ライン川を示す川とブドウの意匠となっています。
「ヴィトラ・ハウス」の特徴
「ヴィトラ・ハウス」の第一印象は、キュートな姿をしていることです。まるで積み木を無造作に重ねた様な建物で、家の形を簡素にした五角形の細長い建物が5層に重ねてあります。いわゆる切り口に見える部分は全面ガラスで、屋内はとても明るく、夜になるとかわいい五角形が浮かび上がります。通常の窓に当たる部分はありませんが、切り口の五角形が思いの外大きいので、自然光は良く入ってきます。一つ一つは単純な細長い形なのでシンプルなデザインに見えますが、組み合わされた形を見ると、まるで巨大なパズルを見ているような感覚に陥ります。5層になっている建物は、基本的に同じ形の作りになっています。しかし、一つ一つわずかな違いがあります。例えば、一番下にある層の入り口の形は他の切り口部分と違って、五角形の家の形をわずかに押しつぶしたような形になっています。また、ファンシーな見た目に反して、かなり大きい建物となっています。屋内の各層はヴィトラ社のショールームになっていて、キッチンやリビング、寝室などテーマに沿った家具を展示しています。内装は木製の床や階段があり、外観とマッチした温かい家の雰囲気を醸し出しています。
「ヴィトラ・ハウス」のまとめ
「ヴィトラ・ハウス」はショップやカフェレストランも備えていて、広大な敷地にあるミュージアムの見学などで疲れた人々が一息つくことができます。ヴィトラ・キャンパスには有名な建築家の手による様々な建造物があります。ここに来る為に乗ってくるバスが止まる停留所も、とてもファッショナブルです。他にも、世界中に名を馳せていた女性建築家の手による消防署や、日本人建築家の手掛けた会議センターなど、見ごたえのある建物があちこちで見られます。この町は静かで小さな国境の町ですが、世界でも注目されるデザインの町です。「ヴィトラ・ハウス」はその一翼を担っています。
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