テラ ロッジホテル(Terra Lodge Hotel)

「テラ ロッジホテル」のご紹介

 

近年では、環境問題や資源の有効活用の為に様々な物が再利用されたり、再び資源として利用するために再生されたりしています。しかし、元々資源の乏しい場所では、古くから生活の知恵として色々な物が素材として活用されています。大西洋の広大な海原に浮かぶ島々では資源を再利用することは当然のことで、新しい建物の建材として多くの物が新しい建物の一部として生まれ変わっています。「テラ ロッジホテル」は、再生した素材でできているようには見えない建物です。

「テラ ロッジホテル」の設計者

 

「テラ ロッジホテル」を手掛けたのは、アフリカ大陸の西に点在する島々で構成されるカーボベルデに事務所を置く、ラモス カステラーノ アーキテクトスです。この事務所は、エイローザ・ラモスとモレノ・カステラーノの2人が運営しています。エイローザ・ラモスは、1976年にカーボベルデのサント・アンタン島で生まれ、ポルトガルで1番長い歴史を持つコインブラ大学で建築を学びました。彼女の建築に対する理念は、建設地の文化や、地理的な環境に重きを置き、その地の技術と、そこで入手できる素材を活用することです。建物の目的を明確にしたシンプルなデザインが多く、おだやかな雰囲気のある作品を生み出しています。モレノ・カステラーノは、イタリア最大の島サルディーニャ島で1977年に生まれ、イタリアの中部にある都市のフィレンツェの大学で建築を学びました。彼は、様々な素材の新しい使い方を考え、建設地の風景にも新しい形を与えるような建物を作り出しています。また、社会の変化や人々の求めるものに柔軟に対応できるように努めています。事務所のあるカーボベルデは小さな島で構成されていて、資源の少ない所です。経済的に裕福ではありませんが、手元にある素材と技術、そして知恵を働かせ素晴らしい建物を生み出しています。加えて、鮮やかな色遣いの作品が多く、見ていて楽しくなるような建物を作り出しています。

エロイーザ・ラモス

「テラ ロッジホテル」の所在地

 

「テラ ロッジホテル」は、カーボベルデ共和国のサン・ビンセンテ島にあるミンデロと言う街に建設されています。この国は大西洋に浮かぶ10の島と8つの小島で構成されている火山群島で、アフリカ大陸の最西端から約600kmに位置しています。この距離は沖縄本島と九州との間に近い距離です。15世紀にポルトガルの探検家によって発見されるまでは稀にアフリカの漁師が訪れていたようですが、住む人はいませんでした。発見後は、長い間ポルトガルの植民地でした。1975年に独立してからは、アフリカ諸国で最も安定した民主主義の国となっています。10の島のうち9つは人が住んでいて、その中で4番目に小さい島がサン・ビンセンテ島です。大きさは石垣島より少し広いくらいですが、人口は2番目に多い島です。ミンデロは島の中心で、ポルト・グランデと名付けられている天然の港があります。この港は水深が深く、古くから大西洋を横断する船舶の重要な寄港地となっています。低緯度でも気温はあまり高くはありませんが降水量が非常に少ないため、生活に必要な水は海水の淡水化プラントで賄っています。天然資源に乏しい所ですが、良い港に恵まれていたため、様々な国の船員によって持ち込まれた文化が融合して、独特の文化が育っています。

 

「テラ ロッジホテル」の特徴

 

「テラ ロッジホテル」は、紛れもなく地産地消と呼べる建物です。加えて、リサイクル品の新しく効果的な使い方の模範的な例と言えます。1年のうちで雨が降る日がほとんどない気候の場所であることが、この建物の特徴的な外観を作ることができた要因です。このホテルは、カーポべルデ共和国が植民地だった頃の古い歴史的に価値のある建物をそのまま使い、その建物を中心として新しい要素を付け加えて完成されました。建設の為に使われた素材は、島で使われていた様々な物が再利用されています。1番目につくベランダや椅子などの家具、床材には電線を巻く木製のドラムを解体した木材が使われています。照明器具などの小さな金属製品は、地域で日用品を製造している職人が作りました。他にも、門扉には様々な金属の缶を切って平らにしたものが使用されています。元の建物と周囲の地形をそのまま利用しているので、石段や木製の橋で各部屋に繋がるようになっています。石段や石壁には地元で採石される石材が使われ、正に地産地消と言える建物です。各部屋のベランダは建物から突き出た大き目の出窓のような形で、日本家屋にある障子の桟を思い起こさせるような形状になっています。ガラスなどははめ込まれていないので、風がそのまま部屋に入り、空調のためのエネルギーは不必要となっています。ベランダには、不規則に見える位置に木の板が所々に取り付けられていて、必要に応じて強い日差しを遮ることができるようになっています。

「テラ ロッジホテル」のまとめ

 

「テラ ロッジホテル」の依頼者は登山の案内をしている人で、ホテルが立つ島の北西に隣接する島に聳える山々を登るための訪問者を迎え入れる事を1番の目的としています。この島は生活用水が貴重なことから、宿泊する人にも極力水の使用を控えることを求め、雑排水の再使用にも理解を求めています。「テラ ロッジホテル」は、その名前が表す通り、地球環境を考える良い見本となる建物となっています。

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