アルファ オメガ スクール(School of Alfa Omega )

「アルファ オメガ スクール」のご紹介

 

「全ての子供は天才である」という考え方を元にした学校が東南アジアの国の村に建設されました。地域に根差した学校であることも重要な要素でしたが、予算は少なく、工事期間も長くは取れない、建設地も硬い地面ではないという様々な困難が待ち構えていました。その解決方法は、地域に根差した学校は、地域で作ることにありました。インドネシアの「アルファ オメガ スクール」は、近隣の職人が近くで採取できる素材を使って建設しました。

「アルファ オメガ スクール」の設計者

 

「アルファ オメガ スクール」は、インドネシアのジャカルタに事務所を置く「RAW(リアルリッチ・アーキテクチャ・ワークショップ)」が設計を手掛けました。この事務所はリアルリッチ・シャリーフが2011年に開設しました。彼は1982年にジャワ島の東に位置するインドネシア第二の都市のスラバヤで生まれました。父親は建設業を営んでいて、幼い頃は父親の仕事の関係でバリ島やジャカルタで育ちました。家業の建設業は、彼の祖父が始めた小さな建設業の店が始まりで、子供のころから父の仕事を見ていたことが、後の進路に繋がりました。ジャワ島西部の内陸にあるバンドンの大学で建築を学び、大学を卒業した後にインドネシアの建築事務所や、ロンドンの著名な建築事務所で経験を積みました。大学を出てからの彼は、多くの建築設計競技会に参加していましたが、なかなか優勝は勝ち取れなかったようです。建築家として数年間の実務をこなした後、オーストラリアの大学で都市計画を学んでいます。彼の建築に対する理念は、幼い頃の生活と結びついているところがあります。建築に関わる様々な専門家や職人との連携を大事にしています。また、文章を書くことが好きだと言っていて、いくつかの本を執筆しています。

「アルファ オメガ スクール」の所在地

 

「アルファ オメガ スクール」は、インドネシア共和国のジャワ島西部にある村に建設されました。インドネシアは非常に多くの島々で構成される国で、その数は17,000以上と言われています。その中で人の住む島は半分以上の1万に上り、およそ16,000の島には名前が付けられています。首都のジャカルタを擁するジャワ島は、世界で最も人口密度が高い島と言われていて、国民の半数以上がジャワ島で暮らしています。この国は4つのプレートが接している場所であり、なおかつ、環太平洋火山帯の1部でもあることから120以上の活発な火山が噴煙を上げています。加えて、地震活動も活発で、近年でも大きな地震により甚大な被害を受けています。赤道直下に位置していることから、熱帯性の気候で、東西に長い国なので地域ごとに多少の違いがありますが、雨季と乾季に分かれています。多くの島々には熱帯雨林が広がっていて、国土の約半分が森林です。森林が豊かなことで、生物の多様性も豊富で、国土の約2割が自然や生物の保護区に指定されています。「アルファ オメガ スクール」が建つバンテン州最大の街タンゲラン市は、首都ジャカルタの西側に広がっています。ジャワ島の工業地帯で、国の主要空港のスカルノハッタ国際空港があります。ジャカルタから約20kmと近いことから、首都のベッドタウンとして人口が増えています。

 

「アルファ オメガ スクール」の特徴

 

2017年に完成した「アルファ オメガ スクール」は、元々、沼地や水田だった場所に建設されています。東京ドームのグラウンドくらいの広い敷地に、4棟の校舎が放射状に建てられています。建設地は湿地帯ですが、自然の環境をそのままにするため、敷地を土壌改良するのではなく、建物を湿地でも大丈夫な方法で建設されています。基礎になる部分は2mの高さのコンクリート柱が使用されていて、その上に建物が乗るような形の、高床式になっています。床は3層になっていて、基礎の柱の上に鋼鉄製の波状になった板が乗せられ、その上にコンクリートが流され、さらにその上に竹を使った床が敷かれています。基本の骨組みはコンクリートと鋼鉄製の柱ですが、それ以外は、現地で手に入る素材が使われています。内壁や天井には竹が使用されました。東南アジアには多くの種類の竹があり、成長が早く、柔軟で腐敗しにくい性質を持っています。屋根は近隣で採取できるニッパヤシの葉が使用された茅葺になっています。ニッパヤシは茎の無い木で、古くからこの地域で使われてきた素材です。外壁は多孔質のレンガを使って組み上げられています。1年中気温の高い熱帯の地域でありながら、人工的な空調は使われていません。高い天井と多孔質のレンガが自然に空気の流れを作り出すようになっています。2階の外廊下は幅が広くとってあり、熱帯の激しい雨から階下を護るように出来ています。

「アルファ オメガ スクール」のまとめ

 

「アルファ オメガ スクール」は、設計者の熱意と発想、職人との連携などで、建設に係る様々な問題を解決していきました。豪雨や地震などの自然災害を考慮して、補修のことも考え、建設のための素材は近隣で手に入る物が使われました。その結果、少ない予算でも素晴らしい校舎が出来上がりました。そして、この地の気候を鑑みた結果、わずか半年で完成させました。地域の子供たちのために、地域の人々が尽力して完成した学校が「アルファ オメガ スクール」です。

 

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