PPGプレイス(PPG Place)

「PPGプレイス」のご紹介

 

大都市にいくつもの超高層建築物が建っていることは、近年では当たり前と言っても過言ではありません。超高層ビルの定義には様々な基準がありますが、100mを超えるビルが世界で初めてアメリカのニューヨークに建設されてから1世紀以上が過ぎています。現在は1,000mを超えるビルも建設されていますが、「PPGプレイス」は他と一線を画し、中世のお城を彷彿とさせながらも近未来的な印象も持っている高層ビルです。

「PPGプレイス」の設計者

 

「PPGプレイス」を手掛けたのは、近代アメリカ建築の代表の1人フィリップ・ジョンソンとポストモダン建築に寄与していたジョン・バージーが率いていたジョンソン/バージー アーキテクツです。1906年にオハイオ州で生まれたフィリップ・ジョンソンは、ハーバード大学で哲学を学んでいた頃に巨額の富を手にしていました。大学を卒業後にヨーロッパを周り、古い物から新しいものまで多様な建築物に触れる機会がありました。1930年頃から様々な建築史家や建築家と関わることがあり、モダニズム建築に大きな興味をそそられ、1940年に建築を学ぶために再び大学に入り、建築家を目指しました。ジョン・バージーは1993年にシカゴで生まれ、インディアナ州の大学で建築を学びました。彼は母校の大学で評議員や建築学部の委員会メンバーも務めていました。1968年にジョンソン/バージー アーキテクツをニューヨークのマンハッタンで設立してからは、アメリカ国内のポストモダン建築に大きく貢献しています。装飾性のほとんどないモダニズム建築と違い、洗練された装飾を施した建築物は多くの人に受け入れられ、数多くのビルなどを手掛けていました。1991年にフィリップ・ジョンソンが退社した後に、いくつかの不都合が重なって、ジョン・バージーの建築事務所は倒産し、彼は建築界から退きました。フィリップ・ジョンソンは2005年に彼のガラスの家で亡くなり、ジョン・バージーはカリフォルニアで静かに過ごしています。

「PPGプレイス」の所在地

 

「PPGプレイス」は、アメリカ合衆国の北東部に位置するペンシルベニア州の都市、ピッツバーグに建設されています。この街は、北米で2番目に長いミシシッピ川の支流の中でも最大規模のオハイオ川が始まる場所に広がっています。街の北東から流れてくるアレゲニー川と南東から流れるモノンガヒラ川が合流してオハイオ川になっています。2つの川が合流する三角形の地域は「ゴールデントライアングル」と呼ばれ、経済の中心地となっていて、三角形の突端はペンシルベニア州立の公園が作られています。比較的大きな2つの川が流れていることから非常に起伏に富んだ地形で、街には勾配の急な坂道がたくさんあります。街の中を移動する手段として、ケーブルカーが運行していますが、徒歩で移動するための階段がたくさん設置されています。年代の古い物から近年に作られたものまで、細かく分けると数百箇所にも上っています。川幅も広く、他の地域からの水運も街が設立される前から利用されてきました。アメリカの独立戦争後に急激な発展を遂げたのもそのためです。この街に最初に起きた産業は川を利用した水運の為の造船業でした。その後、ガラス製造が始まり、鉄鋼業などの金属産業が発展してきました。このような産業は現在もこの街の経済の一端を担っていますが、近年では先端技術や先端科学を使った産業も盛んになっています。

 

「PPGプレイス」の特徴

 

「PPGプレイス」は世界最大規模の塗装企業PPGインダストリーズ(旧ピッツバーグ プレート ガラス カンパニー)の本社社屋として建設された建物群です。3年かけて1984年に完成した建物群で、40階建てのガラスのお城に見えるビルが中心となっています。高さ166mのビルを中心として、14階の建物と4つの6階建ての建物で成り立っています。1番の特徴は、全ての建物がガラスで覆われていることです。依頼主のPPGインダストリーズ社で製造されている透明で反射率の高いガラスが19,750枚使用されています。四角いガラスの建物を取り巻くように細い塔のような部分が作られていて、ガラスを繋ぎ合わせるためのアルミニウムの方立(ほうだて)と呼ばれる部材が、ガラスの色合いと美しいコントラストを引き出しています。外観の形状と共に色合いからも中世ヨーロッパのお城のような印象を持ち、細く見えるガラスの尖塔は、全部で231あります。特に中心のビルの上に見える尖塔群は王冠のようにも見えて、「ピッツバーグの上空を彩る王冠の宝石」と呼ばれています。尖塔をつけたことによって壁が平坦ではなく、凹凸をつけた形になっているので、光や熱の反射をうまく利用することが出来るようになっています。建物と建物の間にある敷地は様々な色の花崗岩でモザイク模様が描き出され、1番面積のある中庭には設計者がデザインした、ピンクの花崗岩で作られた記念碑のような構造物が建てられています。

「PPGプレイス」のまとめ

 

「PPGプレイス」はピッツバーグで一番美しい建物と呼ばれています。1番高いビルの大半にはPPGインダストリーズの本社が入っていますが、他の建物には小売店や飲食店などが入っているので、一般市民も利用することが出来ます。街のランドマークと共に観光名所の1つにもなっている「PPGプレイス」は、ポストモダンの建築物と言われていますが、シンプルな中に気品も見える建物と言ってよいのではないでしょうか。

 

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