MUSAC

「MUSAC」のご紹介

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨーロッパには多くの教会や礼拝堂があります。それらの建物には、神様に祈りを捧げる場にふさわしい荘厳な雰囲気があります。それに加えて美しい場所でもあり、日の光がステンドグラスを通して屋内をきらびやかに彩ります。スペインの街にあるカスティーリャ・イ・レオン現代美術館「MUSAC」は、そのステンドグラスに負けないほどの色が外観を装っています。

「MUSAC」の設計者

「MUSAC」は数多くの美術館や博物館、図書館などをデザイン、設計しているマンシーリャ+トゥニョン アルキテクトスが手がけました。ルイス・モレノ・マンシーリャ(1959~2012)とエミリオ・トゥニョン(1958~)の二人が1992年にスペインのマドリードに開設した建築事務所です。双方共にマドリードの生まれで、同じ建築大学で学び、スペインを代表する著名な建築家の事務所で共に働いていました。彼らの作り出す建物は基本的にシンプルな形のものが多く、美術館や博物館、図書館、市役所など公共の施設を多数手掛けています。

直線の美しさを表すような作品を彼らは「空間アイコン」と呼び、地域の活性化を促す要因となれるような建物を生み出しています。また、母校をはじめ、いくつかの学校で教鞭も取っています。彼らの作品は建築物であり美術品でもある、と言う査証にスペインの由緒ある美術や芸術家に授けられる賞を受賞しています。2012年にルイス・モレノ・マンシーリャが52歳と言う若さでこの世を去ってからは、エミリオ・トゥニョンが事務所をそのまま運営して、さらに多くの作品を世に送り出しています。

左ルイス・モレノ・マンシーリャ  右エミリオ・トゥニョン

「MUSAC」の所在地

「MUSAC」は、スペイン王国の北部に位置するレオンの市内にあります。この街の起源は、古代ローマ時代にまでさかのぼり、ローマ軍の恒久的な基地が作られたことから、街として発展してきたと言われています。10~13世紀にかけては、イベリア半島の北西部に広がる「レオン・アストゥリアス王国」と言う名の独立した国でした。その当時の首都であったレオンには宮殿や大聖堂が作られ、今日まで残されています。中でもレオン大聖堂は、世界でも最大級のステンドグラスがあり、威厳と優雅さを備えた建造物で、信者や観光で訪れる人が後を絶ちません。
また、議会の庁舎は昔の宮殿の一つが使われています。他にも、19世紀に住宅として建造されたカサ・デ・ボティネスは、永遠に完成しないと言われていたサグラダファミリアの設計者であるアントニオ・ガウディの初期作品として有名で、現在でも地方銀行の本店として使用されている建物です。近隣には大自然の美しさを満喫できるところもあります。長大な時間をかけて自然が作り出した彫刻とも言える鍾乳洞や、石灰岩が浸食されてできた奇岩の連なりを見ることができます。

「MUSAC」の特徴

「MUSAC」の基本は白いコンクリート製の建物ですが、正面玄関の周りはカラーサンプルをバラバラにしてつなぎ合わせたような、とてもカラフルな外観となっています。2005年に完成した美術館で、正面から見える壁の部分に全部で42色の色ガラスがはめ込まれています。色の組み合わせはランダムになっていますが、グラデーションを作り出しているような所もあります。その他の面のガラス壁は乳白色をしていて、白いコンクリートと融合したような色の壁になっています。平面の形状も少し変わっていて、四角い建物をちょっとだけゆがめた形になっています。言い換えれば、緩やかな波型を直線で表すようなイメージがあり、直線的な揺らめきを引き出しているような形を作り出しています。上から見るとよくわかるように、四角形をずらしてゆがめたような形態です。そのような形状になっていることから、屋内の部屋の壁は直角にはなっていません。通常の四角い部屋の壁は90度の角度がありますが、わずかに鈍角になっている所や、鋭角になっている壁ばかりの建物です。いくつかの小さい建物を連結している形で、複数の空き地部分が完全な中庭となっています。

 

 

 

 

 

 

 

「MUSAC」のまとめ

多くの色を使ったものは「まるで虹の様」と言われることがよくあります。「MUSAC」に使われている色は鮮やかな色ではありません。しかし、並べる順序などのせいでしょうか、とても鮮明な色に見えるので、まるでマジックのようです。このような色鮮やかな玄関で観客を出迎えるのは、現代の芸術品を納め、展示する建物として相応しいのではないでしょうか。

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