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「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」のご紹介
大学では様々な分野の学習や研究が行われています。多くの研究者は得意とする専門の分野で日々研究に力を注いでいます。その反面、専門外の事となると全くわからないこともたくさんあるようです。しかし、専門外だからこその着目点や疑問があり、専門家では思いつかない事柄もあります。南半球にある都市の大学では、専門分野の垣根を取り払って柔軟な研究が出来るように配慮した施設があります。「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」は未来に向かって進む印象のある建物です。
「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」の設計者
「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」を手掛けたのは、オーストラリアのメルボルンに本拠地を構える「ライオンズ アーキテクチャ」です。1996年に開設されたこの事務所は、オーストラリアの5人の建築家によって共同で設立されました。その内の3人は兄弟で、祖父の代から建築関係の職業に就いている家系の生まれです。両親は共に建築家で、「ライオンズ アーキテクチャ」のメンバーではありませんが、彼らにはもう1人建築家の兄弟がいます。「ライオンズ アーキテクチャ」の前身とも言える「リヨン&リヨン」は、キャメロンとコーベットのリヨン兄弟が1981年に作った建築事務所でした。キャメロンが政府の建築に関するアドバイザーとして多忙になってきたことで、一旦は事務所を離れました。その後コーベットとキャリーのリヨン兄弟が「ライオンズ アーキテクチャ」を開設することになり、すぐにキャメロンも参加しました。また、ニール・アップルトンとエイドリアン・スタニックの二人も加わり、現在も創設者として活動しています。彼らは、学校や病院、裁判所などの公共の施設を多く手掛けています。それぞれに得意とする分野があって、「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」はニール・アップルトンが主体となって手掛けました。残念なことに創設メンバーの1人、キャメロン・リヨンは2018年に亡くなっています。
「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」の所在地
オーストラリア連邦のビクトリア州モナッシュ市にモナッシュ大学のキャンパスがあります。この街はオーストリア南部の大都市、メルボルンの南東に隣接していて、1994年に2つの市が合併して出来た街です。「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」は市の南部にあたるクレイトン地区に建っています。この地域は、先住民であるアボリジニの狩場があった所で、現在のポート・フィリップ湾にも近い場所です。19世紀頃には農地の広がる場所で、当時すでに大きな街であったメルボルンの食糧地帯となっていました。1961年にモナッシュ大学が開校されてからは、学術地域として発展してきました。モナッシュ大学は国内でも最大規模の公立大学で、国内は元よりアジアやヨーロッパにもキャンパスがあります。卒業生の中には政治家や学者など、各界の著名な人物を多く輩出しています。このような学術地域なので、世界中から移住してきた人が多く暮らしています。特にアジアからの移住者が多く、中国からの移住者は市の人口の1/4と一番多く、オーストラリアで生まれ育ち、この街に住む人とほぼ同じ割合になっています。また、多くの企業が研究施設を置き、モナッシュ大学と連携を取っている会社もあります。
「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」の特徴
「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」の建物の第一印象は鋭い鋭敏なイメージのある外観ではないでしょうか。鉄筋コンクリート製の4階建てで、延べ床面積は2万平方メートルもあります。単純な四角い建物では無く、3方向に向いた不規則な形をしています。その為、見る方向によって鋭い楔のような形や、鋭角を多用した幾何学的な見た目にもなって様々な印象を持っています。外壁は黒っぽい色に塗られ、ガラスも濃い色に見えるので、斜めに取り付けられている幾筋ものアルミプレートが白く見えて、更にシャープな雰囲気になっています。外壁に取り付けられているアルミの板は、複数の溝が付くように製造された物が使われています。これはアルミニウムクラッディングパネルと言って、建物の保護や耐火性を高めると共に、外観のデザイン性を上げる効果もあります。屋内は広い空間が作られていて、研究室と事務空間などの境があいまいになるようにな作りで、異分野の研究者や学生などが自由に議論を戦わせたり、お互いの研究成果を披露できるようになっています。様々な分野の研究者が専門外の事から新たな発想を得られるようにと、配慮した結果です。現代の研究施設には欠かせない多くの設備が整っていますが、特に重要な電力に関しては省電力を心掛けた設備と共に、停電しないと謳われている設備が投入されています。
「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」のまとめ
2013年に完成した「モナッシュ大学ニューホライズン ビル」は、大学構内の裏側に当たる位置に建てられています。モナッシュ大学は、構内のどこにも裏側になる場所が無いようにしたいと考えてニューホライズン ビルを建設しました。この建物は、近年の建築物によく言われる持続可能な条件がいくつも整えられています。このように環境に配慮した建築物に与えられる、2003年から開始した評価機関のオーストラリアグリーンビルディング評議会によって最高値の6つ星を獲得しています。
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