「ミラドール」のご紹介
古来より外敵から家族や一族を守り、助け合いながら生活すると言う理由で、大規模な住居で共同生活を送っていた記録が世界各地に残されています。中にはユネスコの世界遺産に登録されている集合住宅もあります。現代の集合住宅は、土地の有効利用目的で建造されることが多いようです。「ミラドール」は、ヨーロッパの都市に建つ巨大な窓のような集合住宅です。
「ミラドール」の設計者
MVRDVと言う建築家のグループが、「ミラドール」を設計しました。1991年に設立された建築事務所で、オランダのロッテルダムにオフィスを構えています。MVRDVの由来は、設立メンバーの名前から取っています。ヴィニー・マースのM、ヤコブ・ファン・ライスのVとR、ナタリー・デ・フリースのDとVです。ヴィニー・マースとヤコブ・ファン・ライスはオランダの著名な建築事務所の出身です。
彼らの作る建物は、風変りな外見のものが多いのですが、わざわざ奇抜にするのではなく、空間の有効利用を考えるとそういう形になるそうです。人々が住むための家を作ることが建築家のそもそもの仕事であると考えている彼らが、その建物を使う人々が、いかに心地よく利用できるかを考慮した結果が一風変わった形に現れているのでしょう。
建築される場所の様々な条件や、多様な使用目的、周囲の環境に負担をかけない事などを考え併せて従来のやり方に囚われない発想からユニークな建築物が生まれています。彼らの作品は、ヨーロッパはもとより、世界の40か国以上で見ることが出来ます。
「ミラドール」の所在地
スペイン王国の首都で国内最大の都市、マドリードに「ミラドール」は建っています。ヨーロッパの西端に位置するイベリア半島のほぼ中央部にあり、周辺にある複数の街と合わせて構成している首都圏の中心的な街です。太古から人が住んでいた古い歴史のあって、街の名前の由来はアラビア語で水の源と言う意味の「アル・マジュリート」と呼ばれた、マンサナーレス川が近くにあった為です。
現在のマドリードはスペインの中でも最大の観光地となり、国内外から大勢の人々が訪れています。中世の建造物が多く残され、お城や教会をはじめ、各種の広場があり、周りを取り囲む建物に時代を感じさせるものがあります。
街の中心部にあるプエルタ・デル・ソル(太陽の門の意味)は、中世における城壁の一部でしたが、現在は街一番の繁華街となっています。また、その昔は王室の狩猟場だった場所が、国内で最大面積のカサ・デ・カンポと言う公園になり、遊園地や動物園などを備えた市民の憩いの場を提供しています。
「ミラドール」の特徴
古い建造物が数多くある街に、突然現れた巨大なおもちゃのブロックのような集合住宅で、2005年に完成した22階建ての建物です。一番目立つのは、地上40mの位置にある大きな空洞部分です。
遠くから見ると四角い建物の窓の様に見えます。この空間は、いわゆる中庭のような役割があり、住民の憩いの場にもなっていて、子供たちの遊び場など屋外での活動が行えるようになっています。高い所が苦手な人には不向きですが、ほぼ透明なフェンスで囲まれているので、空中を散歩しているような印象があります。
「ミラドール」とは展望台とか見晴らし台と言う意味があり、マドリードの素晴らしい眺望と街の北側に連なるグアラダマ山脈の姿を見ることが出来ます。全体の形は言ってみれば薄い箱状で、南東方向と北西方向が広くなっています。
外観は広い方と狭い側の違いはありますが、同じ見た目なので、正面と言われる面はありません。色も特徴的な感じになっています。九のブロックにわけられている住宅部分は白やグレーのモノトーンですが、通路や階段が赤い色になっていてアクセントとなっています。
「ミラドール」のまとめ
まるでブロックパズルのような「ミラドール」は、マドリードの低所得者用の集合住宅ですので街の郊外に建っていますが、そのおかげで自然の景観は良いものになっているようです。高層住宅はたくさんありますが、空中公園の様な場所がある建物は他に類を見ないでしょう。
家族向けから一人用までの156戸の住居が入っている集合住宅ですが、共同の場所とは言え広い空間がある建物は、一戸の住宅の狭さを補っても余りあるのではないでしょうか。
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