「マリーナベイ・サンズ」のご紹介
新しく建設される街には最新の技術を駆使した設備や建物が作られています。そこでは、数多くの多様な目的を持った建物を有名無名は問わず、多くの建築家が手掛けることになります。南アジアの国では、大規模な埋め立て工事が終わってたくさんの目新しい建物が出現しました。その中でひと際目を引く建物が「マリーナベイ・サンズ」です。
「マリーナベイ・サンズ」の設計者
「マリーナベイ・サンズ」を手掛けたのは、イスラエルで生まれ、カナダで育ち3つの国の国籍を持つモシェ・サフディです。1938年に当時イギリスの統治下にあったイスラエル北部の街で生まれた彼は、10代の半ばまでその街で育ちました。カナダのモントリオールへ家族で移住してから、高等教育を受け、建築を学ぶために大学へも進学しました。大学を卒業する前に書いた論文には、すでに現在の彼の理念が表されていました。彼の作る建築は正真正銘、それまでに誰も思いつかなかった建物でした。もちろん、誰も見たことのない建築物を作り出しています。大学を卒業してすぐにモントリオールで開催された万国博覧会で、彼の初めての作品が出来上がった時には、誰もが驚きました。その建物には、専門家も思いつかなかった工法が考案されていました。その後も、「マリーナベイ・サンズ」に見られるように高層建築物を単体で作るのではなく、複数の建物を統合できるような建築や、密林の中にある滝のような大量の水が流れ落ちる空港などを生み出しています。型破りな見た目の建築物が多く作り出されていますが、全てに意味があって、目立つためではないようです。彼が率いるモシェ・アーキテクツは本拠地をアメリカのボストンに置き、故郷のエルサレムや青年時代を過ごしたモントリオールをはじめ、アジアにも複数のオフィスを構えています。
「マリーナベイ・サンズ」の所在地
シンガポール共和国は、マレーシアがあるマレー半島の南端沖に浮かぶ複数の島で構成されています。本島と呼べるシンガポール島と60以上の島々があり、国土面積は小さい国です。「マリーナベイ・サンズ」は、シンガポール島の南側を開発した新たな土地に建設されています。1969年に島の南部沿岸を埋め立てて、新たな土地を獲得するための開発事業が始まりました。埋め立て工事自体は1992年に完了していますが、その後も追加の様々な工事が行われています。2008年にはマリーナ湾を堤防で仕切って淡水化し、街の貯水池に作り変えました。元々マリーナ湾は海に面していて、シンガポール市内を流れる5つの川が流れ込んでいました。いくつかの川は大量の降雨によって氾濫し、洪水を起こすことが過去には何度もありました。マリーナ バラージと呼ばれる堤防が完成したことで水量の調節ができるようになって、洪水の被害を抑えることもできるようになりました。埋め立てで増えた土地によって国土は2割以上も増加しました。この地域はマリーナ ベイと名づけられ、仕事の場や住居、娯楽施設など、複合的に使われています。また、シンガポール自体が高度に開発されていることで、元々の自然が残されている場所がわずかしか残っていないことを考慮して、多くの緑地帯や公園が作られています。
「マリーナベイ・サンズ」の特徴
「マリーナベイ・サンズ」は、1度見たら忘れられない形をしています。現実に建設されているとは信じがたい形状ですが、このような形になったのには理由があります。3つの55階建ての建物の上に、まるで舟のような形をした構造物が乗っています。船頭が櫂を操って水辺を走らせる単純な形の細い舟のような形状で、スカイパークと名付けられています。3つの高層建築物が単独で建っていれば、一端地上階に降りなければ隣の建物に入れませんが、最上階のスカイパークからでしたら、どの建物にも下まで降りることなく移動できます。最新の技術と慎重な計算によって、1番北側の建物から65mもはみ出し、見ごたえのある舟となっています。見かけはほっそりしていますが、全長は340mあり、大型の旅客機4機が駐機できる広さがあります。スカイパークの名前の通り、250本以上の樹木が植えられ、多数の植物が栽培されています。また、プールが3つ設置されていて、その下部には可動する繋ぎ目が接続されています。この地域は夏季に大型の低気圧よる強い風が吹くこともあるので、建物の動きに対応できるよう最大で50cm動けるようになっていて、スカイパークが壊れることを防いでいます。加えて、埋立地であることを考慮して、経年で地盤が沈下することも想定されています。3つの建物はそれぞれわずかに形が変えられていますが、基本的には同じような構造になっています。特徴的なことは、下層部分が広がっているため、ほっそりとした印象があります。2枚の板を合わせたような、下部が少し広がった形になっていて、エレガントなドレスのようです。
「マリーナベイ・サンズ」のまとめ
「マリーナベイ・サンズ」は、その個性的な形が多様な人々の創造性に影響を与えている建物です。例えば、ゲームの舞台に使われたり、映画のいろいろな場面に登場したり、アニメーションの映画にも使われています。建設中に世界規模の金融危機もあって、計画通りには完成しませんでした。その為に2009年にオープンする予定が、段階的に3回のオープン行事が行われ、全てが完成したのは予定より2年遅れの2011年のことでした。このような困難もありましたが、今ではマリーナベイの魅力あるランドマークとなっています。
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