ビルバオ・グッゲンハイム美術館(Guggenheim Museum Bilbao)

「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」のご紹介

たった一つの建物が街の活性化に貢献することがあります。観光資源と言えるものが無い街には、ビジネス以外で訪れる人はあまりいません。そのような街に、素晴らしい美術館が作られました。所蔵している美術品はもちろんですが、「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」は建物そのものも芸術作品の一つと言える美しい外観をしています。

 

「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」の設計者

フランク・オーウェン・ゲーリー(Frank Owen Gehry)

どんな職業でも言えることですが、第一人者と呼べる人はほんのわずかです。その少数の人達には、天賦の才能と言う恵まれたものがあったかもしれませんが、大多数の人は努力も惜しまなかったはずです。建築家のフランク・オーウェン・ゲーリーは、建築学はもとより、都市計画なども学びました。近年では奇抜なデザインを実際に使える建築物にする為の構造計算に、コンピュータのソフトウェア技術を使い、航空力学や機械設計など様々なソフトを応用しています。彼は自分の思い描いたものを現実にする為に学び、アイディアを出し、知識を駆使しています。また、実際に建物を作るための素材の選定は、様々な実験なども行い、実用可能かどうかを見極めています。

21世紀に入ってからは、素晴らしいデザインセンスを装飾品にも反映しています。2006年から世界的に知名度の高いジュエリーブランド、ティファニーのリングなどのデザインを手掛けています。彼の建築作品にも通ずるモダンなイメージのアクセサリーが作られています。

 

「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」の所在地

スペイン王国のバスク州ビスカヤ県ビルバオ市に「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」があります。この街は地元言語のバスク語でビルボと呼ばれています。大西洋に面したこの街の名前は、「川と入江」や「美しい浅瀬」と言う意味の言葉が語源であると、現在も様々な意見があるようです。

古来よりバスク地方の中心地でしたが、良い港に恵まれた事と、ビスカヤ県で採掘される鉄鉱石のおかげで製鉄業も盛んになりました。品質の良い鉄をヨーロッパ中に輸出して発展してきましたが、20世紀の終わり頃にはそれらの産業が衰退していきました。観光においては、大西洋に面した地域で良いビーチもありますが、さしたる資源のない地域でした。しかし、アメリカに本拠地のある「グッゲンハイム財団」がこの地に美術館を建造したことによって、一気に観光客が押し寄せてくるようになりました。スペイン国内はもとより、世界中から訪れる人が絶えません。一度は衰えたように見えたこの街は再開発に力を注ぎ、2018年にはヨーロッパの最優良都市に選ばれています。

「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」の特徴

建築家のフランク・オーウェン・ゲーリーが手掛けた、初めての美術館で、1997年に完成しました。彼の得意とするメタリックな外見をしています。曲線と直線を自由自在に使い、中に納めてある美術品にまったく劣らない建築物となっています。チタニウムとガラスと石灰岩で作られた「船」と例える見方もあります。すぐそばを流れるビルバオ川に架かる橋の赤いゲートと、無機質なイメージの美術館が、素晴らしいコントラストを写しだしているのも見ものです。昼には陽の光を反射してシルバーに、夜はライトアップでゴールドに見え、色々な顔を持ち合わせています。巨大な金属のリボンが風に流れるようなメタリックな外観とは裏腹に、屋内は木材や石材をふんだんに使って、自然の温もりを感じさせる雰囲気があります。独特な見た目を作り出しているのは、33,000枚のチタンパネルで、彼のデザインを忠実に再現するために様々なサイズの物が作られています。ビルバオの都市再生の当初に作られた「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」を皮切りに、多くの建造物が作られ、見事に街を再生させたことから、「ビルバオ効果」と言う言葉も生まれています。活気のある街に、近未来的な建築物が更なる元気を加えているのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」のまとめ

「グッゲンハイム財団」は複数の美術館を持っていますが、「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」は、中でもひと際輝く美術館です。その証左に幾つかの映画に舞台として使われています。また、この建物を建設することができるコンピューターゲームもあり、かなり再現度が高いものになっています。この美術館は、現実でもバーチャルでも称賛できる数少ない建築物と言えるでしょう。

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