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「キューブハウス・ロッテルダム」のご紹介
個性的でキュートな住宅があれば「中はどういう風になっているのだろう？」とか、「住みやすいのかな？」とか気になるのではないでしょうか。一目見れば誰でもそう思ってしまいそうな集合住宅が、ヨーロッパの都会にあります。かわいい住宅の「キューブハウス・ロッテルダム」をご紹介します。
「キューブハウス・ロッテルダム」の設計者
オランダ人のピエト・ブロム（ピート・ブロム）が「キューブハウス・ロッテルダム」を設計しました。アムステルダムのヨルダーン地区と言う労働者階級の人々が暮らす町で1934年に生まれました。大工や製図工として働いていましたが、25歳の時にオランダの著名な建築家の下で本格的に建築を学びました。
1962年に子供たちの教育の場のプロジェクトで、オランダのローマ賞を受賞しています。ローマ賞は元々中世フランスの芸術家に贈られていた賞で、オランダでは若手の建築家や芸術家に贈られている賞です。彼の理念は、建築物はそこに住む人や使う人の物であって、建築物そのものを誇示しない事でした。住みやすいことを一番に考えた結果が彼の作品に現れているようです。住み心地の良い家を作ることを目標としていましたが、キューブハウスが完成した15年後にデンマークの地でこの世を去りました。
65歳と言う若さで亡くなった彼の活動を紹介した博物館が、オランダの東部にあるヘンゲローと言う町に建てられ、2013年に開館しました。
「キューブハウス・ロッテルダム」の所在地
「キューブハウス・ロッテルダム」は、オランダ王国の首都であるアムステルダムに次ぐ第二の都市、ロッテルダムの中心部に建っています。この街は、スイスを起源とする６か国を流れるライン川と、フランスを起源とするマース川、スヘルデ川の3本の川が北海に注ぐデルタ地帯に発展してきました。中世には、すでに大西洋の貿易の為の港湾都市として栄えていた地域で、19世紀に新たな運河を作り、大型の船が港の奥にも簡単に入港できるようになりました。それにより益々発展していきましたが、この発展が仇になり、第二次世界大戦の時の爆撃で旧市街と港が壊滅状態になってしまいました。しかし、この状況を逆手に取ってまっさらな土地を実験場として、建築家やデザイナーの腕試しができる街になりました。実験的な街づくりの場となったロッテルダムには、目を引く建造物や、新しい試みを持って作られた建物が多く、世界でも注目される都市となっています。
「キューブハウス・ロッテルダム」の特徴
行儀のよい大きなロボットが並んで「ようこそ、いらっしゃいました。」と、お辞儀をしているように見える集合住宅が「キューブハウス・ロッテルダム」です。黄色に塗られたキューブの部分が、かわいいイメージの集合住宅です。さいころの角を下にした見かけの、大きいサイズの2棟と38個の立方体が並んでいます。1984年に完成した「キューブハウス・ロッテルダム」は都市の中の「村」または、「集落」を作る、と言う概念を持って建てられました。従って、ここには住宅だけでなく、1階部分には店舗やオフィス、学校なども備えています。また、設計者のピエト・ブロムの理念の一つにある「都市の屋根」に沿った形状も面白いものがあります。高床式とも言われる太い柱の上に居住スペースのあるキューブが載せられていて、下の開放部分に道路や通路が通っています。45度に傾けられた住宅部分は、採光が良いような作りでとても明るい部屋になっていて、下に向いた窓からは、通りを見下ろすようなイメージがあります。屋内が気になる人が多いため、一部屋は見学できるように公開されていて、大きいサイズの2棟は、泊まることのできるホテルとしての部屋もあります。上から見た青い屋根とキューブの並びも面白いものになっています。
「キューブハウス・ロッテルダム」のまとめ
「キューブハウス・ロッテルダム」は、市街地のほぼ真ん中で交通量の多い三本の道路をまたいで建っています。その為、歩道橋としての機能も持っています。また、中庭のような場所があり、その場で上を向くと屋根の重なり具合から星形の空が見えます。近隣には市立図書館やショッピングセンターの独創的な建築物がたくさん建っています。「キューブハウス・ロッテルダム」は、その中にあっても、完成から30年以上経っているとは思えないほど、斬新で見どころ満載の建物です。
余談ですが、最初の「キューブハウス」はオランダ南部のヘルモントと言う町に劇場を取り囲むような形で作られました。中心部にあった劇場は火事で失ってしまいましたが、無事だったいくつかの「キューブハウス」は現在も住人がいます。また、カナダのトロントには「キューブハウス」に触発された建築家が建てた、そっくりな外観の家が建っています。
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