クロサイ アカデミー(black rhino academy)

「クロサイ アカデミー」のご紹介

 

自然の中で自然を学ぶことは、理論と実践を兼ね備えた素晴らしい試みです。しかし、自然を甘く見ていると大変な事になる可能性があるのも事実です。安心して子供たちが学べる場所の安全を確保しているのは、古くから伝わっている方法でした。「クロサイ アカデミー」は、建設地の近隣で古来より受け継がれてきた集落の作り方を参考にして建設されました。

「クロサイ アカデミー」の設計者

 

「クロサイ アカデミー」を手掛けたのは、アフリカ西部にあるナイジェリア出身のクンレ・アデイェミです。彼は、1976年に国の北部にあるカドゥナという街で生まれ育ちました。父親は、20世紀の後半にナイジェリアの北部で地元民が経営する初めての建設会社を運営していました。国で最大の都市であるラゴスの大学で建築を学びましたが、その途中で父親の友人のための家を設計しています。ラゴスの大学を優秀な成績で卒業した後は、ナイジェリア国内で建築家として活動を始めました。26歳の時に、オランダの世界的に有名な建築家が率いる建築事務所に入社して、およそ9年間、様々な企画に携わりました。その間に、アメリカの大学でも建築を学び、アメリカのニューヨークファイブの1人と共に故郷の国の都市における様々な問題を研究していました。2010年に彼は、OMAを離れて自らの建築事務所のNLÉをオランダのアムステルダムに開設しています。NLÉとは、彼の故郷の言語であるヨルバ語で「家」を表す単語です。彼と彼の事務所であるNLÉは、主に発展途上にあると言われる国々の都市に注目しています。なにも手を打たないと無制限に拡大してゆき、かつ、急速に成長していく都市のあり方に懸念材料が多く見かけられます。それらの問題に目を向け、その地の住民と共に解決方法を見つけ出そうとしています。

「クロサイ アカデミー」の所在地

 

「クロサイ アカデミー」はアフリカ大陸の南東部にあるインド洋に面したタンザニア連合共和国のカラトゥに建設されました。アフリカ大陸の中でも特徴的な地形のある国で、大陸を分断するような大地溝帯の南端に位置しています。大地溝帯は大まかに3つに分けられていて、その3つ全てが国土の中に存在しています。そのような地理的特徴のある国なので、雄大な自然が存在しています。アフリカの最高峰であるキリマンジャロ山が国の北東部にそそり立ち、最大の湖であるヴィクトリア湖が国の北部に広がっています。赤道と南回帰線の間にあるため、熱帯性の気候で、雨季と乾季に分かれ、降水量は年間を通してかなりの量になります。多くの野生動物が生息していて、世界的にも有名なセレンゲティ国立公園を始めとする数多くの野生動物の保護区があります。カラトゥの町は国の北部に位置しています。この町は、大地溝帯の中で最大のグレートリフトバレーの中にあるマニャラ湖国立公園と、世界最大の休火山と言われるンゴロンゴロクレーターを中心としたンゴロンゴロ自然保護区の間にあります。このクレーターは数百万年前に噴火した火山によって形成されたクレーターで、現在は多くの動物が暮らす場所となっています。クレーターの底には複数の泉があって、雨の少ない乾季でも水が湧き出ていることから、貴重な水源となっています。

 

「クロサイ アカデミー」の特徴

 

2018年に完成した「クロサイ アカデミー」は、小中学生のための寄宿学校です。勉強するための校舎や生活のための寮、遊びや運動のための広場など、様々な施設が整えられています。ンゴロンゴロクレーターの近くに建設されていて、アフリカの大自然のまっただ中で暮らす場所となっています。そのような立地条件であることから、野生動物からの安全を確保する為の古来よりの工夫が施されています。広い敷地の中は大まかに3つの島に分けられています。生活のためのライブアイランド、勉強のためのラーニングアイランド、遊びや運動のためのプレイアイランドです。基本的に建物はレンガ造りとなっていて、要所要所にレンガで組まれたアーチの形を利用した窓や、壁が作られています。このアーチはカテナリー曲線と呼ばれる、ロープや鎖などの両端を持って垂らしたときに出来る曲線で、窓枠として使われたり、緩やかな傾斜のある敷地であることから設置された擁壁と柱を繋ぐ場所に使われています。寮の建物は東側に大きく開いた窓があって、朝日が昇ってすぐに陽が差し込むようになっています。敷地のほとんどは、元々あった土地の形状がそのまま利用されていて、勉強のための複数の教室棟は、傾斜のある土地にそのまま格子状に配置されています。平坦に整地されているのは運動のためのグラウンドだけです。また、設計者のチームは寮や教室で使われる家具も作っています。

「クロサイ アカデミー」のまとめ

 

「クロサイ アカデミー」は、この地に昔から住んでいるマサイ族の集落の作り方を参考にして建設されました。多くの野生動物が生息している地域で生活することは、危険と隣り合わせでもあります。そのような土地で暮らすために、マサイ族の人々は様々な知恵を駆使して村を築いてきました。住居や倉庫などの建物や、家畜の囲いなどが点在する村の周囲を、茨やトゲのある植物で囲って野生動物が侵入しないようにしていました。そのような建設方法を参考にして、未来を担う子供たちが自分で考えながら成長する手助けをしているのが「クロサイ アカデミー」です。

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