アレクサンドリア図書館(Bibliotheca Alexandrina)

「アレクサンドリア図書館」のご紹介

 

人類史上最古と言われる図書館はいくつかの説があります。その中でも最有力の説が、およそ2,300年前にエジプトのアレクサンドリアに作られたアレクサンドリア図書館です。諸説ありますが、幾多の争いによって破壊され、焼失してしまい次第に衰退していったようです。しかし、2,000年以上が過ぎた21世紀に入ってすぐに完成した新しい「アレクサンドリア図書館」は、古代の図書館があったとされる場所に建設されました。

「アレクサンドリア図書館」の設計者

 

「アレクサンドリア図書館」の建設は建築競技会によって担当する建築家が決まりました。その競技会(コンペティション)で見事優勝を勝ち取ったのが、ノルウェーの建築事務所「スノヘッタ」でした。この事務所は、1961年にドイツで生まれたクレイグ・エドワード・ダイカースと1958年にノルウェー南部のカルモイ島で生まれたケティル・トラエダル・トーセンが設立しました。正式に「スノヘッタ」が事務所として開設されたのは1989年で、その年に「アレクサンドリア図書館」の企画を遂行することが決まりました。「スノヘッタ」は、建築設計の事務所と都市景観などを専門とする会社が1つになって出来た企業です。現在は、建物の設計だけでなく、大規模な物は都市計画や公園など景観を整えるランドスケープを手掛け、小さな事柄は家具のデザインやインテリアデザインなど、多種多様な面で多くの技術者が活躍しています。「アレクサンドリア図書館」で使用されている調度品も手掛けています。会社名の「スノヘッタ」はノルウェー南部のドヴレフィエル山脈の標高が2,286mの最高峰の山の事です。頂上が4つあり、会社を構成する分野を表しているような美しい山体をしていて、会社のロゴマークもその山を意匠化したデザインになっています。「スノヘッタ」が手掛ける企画は公共の施設が多く、オペラハウスなどのホールや博物館や美術館もあり、近年では社名と同じ山を見るための施設を完成させています。

「アレクサンドリア図書館」の所在地

 

「アレクサンドリア図書館」はエジプトアラブ共和国の第二の都市で、「地中海の真珠」や「地中海の花嫁」と称されるアレクサンドリアの海岸沿いに建設されています。紀元前3世紀頃に都市として建設され、その時の王の名を冠した名前が付けられ、都市が建設されて以降のおよそ1,000年間はエジプトの首都を務めていました。この都市には長い歴史があり、地中海に面する地理的条件も良いことから幾度も戦火に見舞われてきました。しかし、多くの遺跡や歴史的建造物も残されています。この街は、長さが約6,650kmある世界一長いナイル川の下流で、地球上で一番広いデルタ地帯の北西に位置しています。デルタの東側は、紅海から地中海に繋がるスエズ運河が建設されている地域です。首都カイロ近郊から始まるナイルデルタは、南北160kmで東西は240kmの広大な面積を持っていますが、高低差は16mしかありません。その為、川が氾濫し、洪水を起こすことが度々ありました。しかし、肥沃な土地が広がり、数千年続く農業地帯となっています。現在は大型の動物はほとんど生息していませんが、希少種を含む多種の鳥類が生息しています。また、古代エジプトの様々な意匠に使われてきた蓮の花は現在も秋になると開花しています。気候は比較的穏やかで、夏季でも30℃を越えることは少なく乾燥していて、冬季は10℃を少し上回り、年間の降水量のほとんどがこの時期に降る雨です。

 

「アレクサンドリア図書館」の特徴

 

地中海に向かって沈み込んでいく巨大な円柱のような印象がある建物が、2002年に完成した「アレクサンドリア図書館」です。直径が160mで、一番高い部分は地上から43mある、平たい円柱のような見た目をしています。屋根の部分は、最古の文字と言われる楔形文字のような、たくさんの三角形が並ぶ形に区切られていて、海の方に向かって傾斜しています。強い日差しがある地域なので、北に向かって傾いた屋根に区切られた所は天窓になっていますが、直接日光が差し込むのではなく、間接的に入る光が館内を明るくしています。また、夜間には館内の明かりが三角に漏れて美しい形状になっています。街の方から見る建物の南側は普通の建物のようで、外壁はナイル川の治水のために作られた巨大なダムがある、アスワン地域から切り出されている灰色の花崗岩が使われています。4,000個以上の花崗岩のブロックで覆われたこの壁には、古代の失われた文明で使われていたものから、現代の地球上で使われている、あらゆる文字が刻み込まれています。館内の床は木材が使われ、最大2,000人が利用できる広大な図書の閲覧ホールは、幾何学的に区切られていて、天井の傾斜に合わせてテラス状になっています。また、高い天井を支えるたくさんのコンクリート製の円柱は古代の神殿を思い浮かべさせてくれます。

「アレクサンドリア図書館」のまとめ

 

「アレクサンドリア図書館」は1988年に建設のための建築競技会が行われ、建設工事が始まったのは1995年で完成までに7年の歳月が流れました。古代のアレクサンドリア図書館が建っていた所とされる場所で、様々な遺物が出土しています。それらを納める博物館も併設され、プラネタリウムや美術館も入っています。稀少本なども含め、現在の蔵書は世界規模で見ても多いのですが、いずれは古代の図書館と同じく世界で最大の規模に育てられるようです。

 

 

 

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