目次しらべ
「アドベンチャー グローバル スクール」のご紹介
子供たちにとって学校は勉強するだけの場所ではありません。もちろん色々な学問を学習することは、学校の重要な役割です。しかし、友達や先生だけでなく色々な人との関りも、成長する上では大事な事ではないでしょうか。「アドベンチャー グローバル スクール」は子供たちが学習するだけでなく、自分たちで様々な使い方を考えることのできる校舎です。
「アドベンチャー グローバル スクール」の設計者
「アドベンチャー グローバル スクール」の設計を手掛けたのは、チュンシン(マジック)・クワンとケンリック・クウォンの二人が共同で設立した「オリエント・オクシデント・アトリエ」と言う建築事務所です。マジック・クワンは香港で生まれ、香港とカルフォルニアの大学で建築を学びました。学業を終えてから、十数年間はロサンゼルスや香港の建築事務所で経験を積みました。その後、日本の建築家、隈研吾の事務所に設計士として登録しています。ケンリック・クウォンは、香港とパリで建築を学びました。彼はボランティア活動も行っていて、ボランティアや教育に建築は重要な要素となり得ると考えています。彼は、「アドベンチャー グローバル スクール」の常任理事の1人でもあります。彼らの会社名の「オリエント・オクシデント・アトリエ」は漢字で表現すると「東西建築」となります。オリエントは東洋を、オクシデントは西洋を意味する単語で、彼らの建築理念の一つである、洋の東西を問わず、融合させるようなデザインを行うと言う意味合いが込められています。また、自然との調和も目指しています。他にも建築地の地域柄を考慮して、その地の伝統や材料を大事にしながら、最新の技術や素材も使う柔軟な考え方をしています。
「アドベンチャー グローバル スクール」の所在地
「アドベンチャー グローバル スクール」が建設されているのは、カンボジア王国の西部に位置するバッタンバン州のスヌーンと言う小さな村です。この村は、州都のバッタンバンから南西に約20㎞の農村地帯にあります。バッタンバンと言う地名は、この地域に伝わる伝説から付けられ、「杖を失う」と言う意味があります。州の面積の三分の二以上が山と密林に覆われていて、州の東にあるトレンサップ湖から流れ出るサンカー川が肥沃な大地を作り上げています。しかし、この川は、度々氾濫も起こしています。州都のバッタンバンは、11世紀の頃にアンコール王朝とも呼ばれているクメール王朝の頃に建設された街です。サンカー川に沿って道が付けられたことで、18世紀の頃には交易の重要な拠点と成長してきました。主な産業は農業で、「カンボジアのライスボウル」とも呼ばれる国の米どころとなっていますが、耕作地は小さな田んぼがほとんどです。バッタンバン州は隣国タイとの国境を接する州で、近年まで内戦や政治不安で不安定な地域だった事から、国内で一番貧困層の多い州となっています。この事を打開するために「アドベンチャー グローバル スクール」を始めとする、特に子供たちに対する支援が世界中から送られています。
「アドベンチャー グローバル スクール」の特徴
周囲を畑に囲まれた「アドベンチャー グローバル スクール」は、手作りと言ってよい校舎です。まるで公園などに設置されているジャングルジムのような、細めの鉄骨で組まれた建物のように見えます。基本の骨組みは、床と屋根を支える為のコンクリート製の構造物です。それに沿うように鉄製のフレームが組まれて壁の役割を果たすようになっています。フレームは二重になっていて、特に屋内側は水平にも垂直方向にも板を取り付けられるようになっています。この枠組みは、欲張りな構造と紹介される事がありますが、壁であり、棚やロッカー、窓にもできる、使用者の思いで好きなように使える事を表しています。一番外側は、ガラスや地元産の木材で作られた板で覆われていて、不規則な市松模様のように見えます。建物自体は高床式のようになっています。これは、この地域が日常的に洪水に見舞われる事が想定されていて、階下は通常、屋根のある広場のような使われ方がされています。建物のほぼ中央に、幅の広い階段状になった部分が作られています。ここにも地元の木材が使用されていて、室内に行くための階段として使われますが、段差が2通り作られているので、半屋内の部屋としても使うことが出来ます。
「アドベンチャー グローバル スクール」のまとめ
「アドベンチャー グローバル スクール」の建設に当たっては、この学校に通う子供たちの意見も取り入れられました。校舎が完成する前に、すでにこの学校での学習が始まっていたのです。自由な発想で使うことが出来る校舎は、子供たちの創造力も養うことが出来ます。また、建物を作る段階では、自分たちの家を作ったり、修理をしたりする技能を持つ地元の人々も協力しています。この地域の伝統的な家の作り方も取り入れたこの学校は、本当の意味で地域住民の手作りと言っても過言ではないでしょう。「アドベンチャー グローバル スクール」はその名の通り、世界中からの支援で建設された様々な事柄を学び、冒険できる学校と言えるのではないでしょうか。
コメントを残す