人工大理石と人造大理石と天然大理石との違い

人工大理石とは

人工大理石は、アクリル樹脂やポリエステル樹脂を主成分とする人工素材であり、天然の大理石や石の粉末などは含まれていません。主にキッチンの流しや洗面台、浴槽などで、天然大理石の代替品として広く使われています。

人工大理石は加工性や着色性に優れており、型があれば大量生産が可能で、コストパフォーマンスも高いです。そのため、住宅用流し台などで特によく使われています。しかし、天然大理石と比較すると柔らかく傷つきやすく、熱にも弱いです。また、メーカー品では型が必要なため、特注品には対応が難しい場合もあります。

また、主成分が樹脂であるため、天然大理石の高級感や風合いはなく、無機的な印象になりやすいです。また、人工大理石は可燃物であり、燃焼すると不完全燃焼により有毒ガスが発生することにも注意が必要です。

しかし、近年では天然大理石や従来の人工大理石を上回る耐熱性、耐水性、耐摩耗性などを持つ人工の大理石模様の素材が開発されています。これらの素材は、鉱物粒子を焼結させたセラミックストーンや、石英と樹脂を真空振動プレスで仕上げたクォーツストーンなどと呼ばれています。これにより、テーブルや天板などの用途において、従来の天然大理石やアクリル系の人工大理石に加えて新たな選択肢が増えました。

人造大理石とは

人造大理石は、天然の大理石を粉砕し、セメントや樹脂で固めて作られる半人工素材です。この素材はセメントテラゾーと呼ばれるセメントで固めたタイプと、レジンテラゾーと呼ばれる樹脂で固めたタイプがあります。主に大理石の代替品として広く使用されてきました。

人造大理石は研磨作業が必要なため、複雑な形状の浴槽などには適しておらず、主に板状の製品として外構や壁材、床材、テーブル材などに使用されます。一部では高圧なプレスによる締め固めや真空引きによる水分の排除を行うことで、高強度で耐久性のあるセメントテラゾーも製造されています。これにより、人造大理石は多様な用途に使用されるようになりました。

日本では通常、テラゾーと言えば人造大理石のセメントテラゾーを指します。セメントテラゾーは、1960年からハリウッドのハリウッド大通りとヴァイン通り沿いの歩道の床に使用され、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームとして知られる観光名所には2,000以上の星型のプレートが埋め込まれています。これらの星形プレートを含む床材は、セメントテラゾーという人造大理石の素材で作られています。

その後、日本でもおしゃれなテラゾーが公共施設などで使用されるようになりました。地下鉄の駅のコンコースや美術館、学校など、広い公共スペースの床にテラゾーが床材として使われるようになりました。さらに、公共のトイレにもテラゾーが使用されるようになり、駅のトイレや学校のトイレなどでは、トイレブースの間仕切りやライニングトップにもテラゾーが使用されました。トイレブースは40mm厚のテラゾーで作られていました。

一度はトイレでの使用が主だったため、テラゾーには「不潔」「うす汚い」「低級」「下品」といったイメージが広まってしまいました。しかし、1980年代前半に倉俣史朗さんが考案した「スターピース」と呼ばれるカラーガラスのチップが入ったテラゾーが登場し、このイメージを払拭する役割を果たしました。スターピースは当時、ISSEY MIYAKEのブティックなどで使用され、大きな話題となりました。これによってテラゾーのイメージが一新され、再び人々の注目を集めることとなりました。

 

セメントテラゾー

 

レジンテラゾー

 

ハリウッド ウォーク オブ フェーム

 

テラゾーとは

terrazzo イタリア語でテラッツォ

「テラッツォ」はイタリア語で「テラス」を意味します。テラスは建物の一部であり、主に家屋から突き出した部分を指します。さまざまな形態がありますが、一般的には1階に設けられます。テラスという言葉は「盛り土」を意味するため、通常の地面よりもやや高くなっています。テラスは屋内と窓や扉で繋がっており、周囲を枠や柵で囲む場合もあります。屋根がある場合もあれば、ない場合もあります。ただし、2階以上にある場合はバルコニーやベランダと呼ばれます。また、屋上にある広場をテラスと呼ぶこともあります。

 

天然大理石の特徴

天然大理石とは学問的に、
第1分類:変成岩、第2分類:接触変成岩、第3分類:結晶質石灰岩に分類される石種が多いのですが、
第1分類:堆積岩、第2分類:化学的沈殿岩、第3分類:石灰岩に属するトラバーチンやペルリーノ、
第1分類:火成岩、第2分類:深成岩、第3分類:蛇紋岩に属するグリーン色のジャモンと呼ばれる石材なども天然大理石と呼んでおります。

厳密に言うと、それらの石材をまとめて天然大理石とは呼べないのですが、見た目大理石と言える柄の石材で、 天然石100%のものを天然大理石と総称します。

天然大理石は細孔と呼ばれる微細な穴が無数に存在します。これらの細孔は、岩石の内部に閉じ込められた水分が蒸発してできたものと言われています。細孔には水分が入り込んで汚れが付着することがあり、これが天然大理石のシミとして現れます。

細孔には、閉孔と開孔の二つの状態があります。閉孔は石の内部に小さな穴があり、外部と通じていない状態です。一方、開孔は細孔が外部に通じている状態です。閉孔に水分がたまるとカビやコケの発生の原因となり、開孔に水分がたまると色ムラなどの原因となることがあります。

石材を切断したり、研磨する際には大量の水が使用されますが、完全に水分が蒸発するまでには時間がかかります。天然大理石は乾燥して出荷される場合でも、細孔が存在するため、空気中の水分が常に細孔の中に出入りします。外部で使用する場合や雨季には、自然に水分が細孔に入り込むため、天然大理石はそのまま放置すると劣化していく可能性があります。そのため、天然大理石の適切な保護やメンテナンスが重要です。

 

 

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