「ビオムセオ(自然史博物館)」のご紹介
街にある1つの施設がその街に大きな影響を及ぼすことはよくあります。しかし、1つの建築物がその建物の目的に関わらず、街の活性化に繋がることは多くはありません。世界的にも有名な建築家が手掛けた博物館は、依頼主がその建築家のそれまでの功績を重視して設計を依頼しました。その博物館は、依頼主の期待通りの外観になり、多くの人を引き付けています。「ビオムセオ」は、生物多様性を紹介し、その重要性を説いた博物館です。
「ビオムセオ」の設計者
「ビオムセオ」の設計、デザインを担当したのは、他に類を見ない特徴と色彩で彩られた多くの建築物を生み出しているアメリカの建築家、フランク・ゲーリー(フランク・オーウェン・ゲーリー)です。彼は1929年にカナダの都市、トロントで生を受けました。両親は共に東ヨーロッパ系のユダヤ人で、彼が生まれた時の名前は、フランク・オーウェン・ゴールドバーグでした。彼の作品によく使用される素材に金属の板や金網状のものがありますが、それは彼の幼少期の背景にあります。彼の祖父は小さな金物店を営んでいて、小さなころから金属製の様々な素材や物が身近にありました。また祖母は、その店で使われた木材の切れ端などを使って箱庭のようなモノを作り、彼を大いに喜ばせていたそうです。幼少期のこのような日常が、彼の生み出す作品に多大な影響を与えていたことが伺えます。様々な仕事を経験した後に建築の道を選んだのは、自分は何が好きで、どんなことに心が躍るのかを考えた結果と彼は言っています。子供の頃に父親と共に絵を描くことを楽しみ、母親は美術館に連れて行ってくれたり、音楽を聴く楽しみを教えてくれた事と、祖父母との思い出が建築家になった糧となったようです。彼の作品には、奇想天外な形で色鮮やかなものもあり、必ずしも全ての人が賞賛しているわけではありません。しかし、少なくとも他とは一線を画す1つのスタイルを生み出していることは間違いなく、多くの賞賛も浴びています。
「ビオムセオ」の所在地
「ビオムセオ」は、地球上にある3大洋のうち2つの大海を結ぶパナマ運河の入り口に建設されています。パナマ運河は、パナマ共和国の首都であるパナマ市に太平洋側の入り口があります。パナマの国土は、南北アメリカ大陸を繋ぐパナマ地峡に位置していて、長さは800km弱で、幅は最大でも180kmに及ばない細長い地形をしています。南北両アメリカ大陸から伸びる山脈に繋がる山岳地帯が国土のほとんどを占めていて、パナマ運河のある地峡で2つに分かれています。西に接するコスタリカとの国境近くには、国内最高峰の標高3,000mを越えるバル火山が聳えています。この国の経済はパナマ運河がほとんどを担っています。20世紀の初頭に完成したパナマ運河は、この地がヨーロッパの国によって発見された時から計画が持ち上がっていました。最終的に建設を完了させたのはアメリカ合衆国です。そのような経緯から21世紀直前まで運河はアメリカが管理していました。また、スペインの植民地だった歴史もあって、国の公用語はスペイン語で、パナマ独自の通貨は存在していますが、通常はアメリカドルが通貨となっています。その為、独自通貨の紙幣は発行されていません。運河の入り口に位置するパナマ市は、中米でも最大規模の都市ですが、近隣にはメトロポリタン自然公園があり、豊かな生態系を育んでいます。熱帯雨林の公園の中には、200種以上の鳥類を始め、50種近い哺乳類など多種多様な動物が生息しています。また、植物相についても貴重な土地で、国内ではほぼ消滅してしまった、熱帯地方の雨季と乾季に分かれる気候の地域に広がる太平洋熱帯乾燥林が存在していて、300種近い様々な植物が繁茂しています。
「ビオムセオ」の特徴
2014年に完成した「ビオムセオ」は、設計者の得意とする形状と色彩がふんだんに盛り込まれ、依頼者が希望した効果が余すことなく発揮された建物です。1番の特徴は都市の高層ビル群を背景にした豊かな色彩です。コンクリートと鋼鉄製の柱、カラフルな屋根は波型のステンレス板が使われています。この建物の1番重要な部分は屋根です。色彩は元より、訪れる人に快適な環境を提供するためには、この地域の気候を考慮することが大事です。強烈な太陽光と熱の伝達を最小限に抑え、エネルギー消費を抑えることが考えられています。屋根の構造は5層に分かれていて、雨季に対応するために防水性も高くなっています。波型のステンレス板とそれに密着させるアルミ箔、防水のためのゴム素材の板、分厚い断熱素材と最上部のカラフルな色合いのアルミ板で構成されています。アルミの板は、南アジアのタイで自動車の塗装技術を応用してタイで塗装されています。屋根を支える梁は、熱帯雨林の樹木を表していて、屋根を葉に例えると、梁は木々の枝のように広がっています。屋根の建設だけで、40,000本以上のステンレスねじと100,000本以上のカラーねじ、塗装には2トン弱の塗料が使われました。また、屋根の形状は不規則に見えますが、度々起こる熱帯性の暴風雨に対して建物を守るように計算されています。
「ビオムセオ」のまとめ
赤、オレンジ、黄色、緑、青の鮮やかな色は万人の目を引く色合いですが、これは街に隣接する自然公園の豊かな生物相を表しています。加えて、この地域の先住民族の伝統や多彩な文化を表現し、太古の南北アメリカを1つに繋いだ要の役割を担うこの地も表しています。2つの大海を繋ぐ運河の入り口に建つ「ビオムセオ」は、まさに生物の豊かさを表している建物と言えるのではないでしょうか。
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