ファラトゥ ジギヤソ孤児院(Falatow Jigiyaso Orphanage)

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」のご紹介

 

20世紀も終わりに差し掛かった頃、西アフリカの国の首都で1人の乳児を保護した人物がいました。その人物の家はその後、様々な年齢の子供たちが安心できる場所となりました。その話を伝え聞いたフランスにある自治体の長が、その人物に会って話を聞き、孤児院を建設することが決まりました。「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」は人道支援の1つとして建設されました。

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」の設計者

 

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」を手掛けたのは、フランスに事務所を置くF8アーキテクチャです。この事務所は、「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」の建設が決まった時に建築家や技師が協力するため、2011年に開設された建築事務所です。建築家のニコラ・デルームと公園などの景観を整える景観建築家のクリスティーヌ・ヴェルジュ、建築技師のピエール=エマニュエル・ユアルデルの3人は「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」の計画を知って、お互いに協力することになり、効率の良い方法として会社を立ち上げました。彼らは、近年よく聞く持続可能とは少し違う、建設地の気候の特性を生かしたバイオクライマティックと呼ばれる建築を目標にしました。バイオクライマティックとは、人工的なエネルギーを使わないで、吹く風や降る雨など、自然のエネルギーを利用することです。この試みは様々な分野で大きな関心を引きました。彼らの建築に対する考えは、建築や都市計画、景観に関わる事柄は多岐にわたり、密接に絡み合っていることから始まっています。それらを細部にわたって検討し、より良い方法を生み出すために多種多様な専門家と協力しています。

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」の所在地

 

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」は、アフリカ大陸の北西部に位置する内陸の国であるマリ共和国の首都、バマコの南約50kmの所にある小さな村に建設されました。マリは、地球上で最大の面積を誇るサハラ砂漠が国の北部に広がり、国土の半分以上が砂漠地帯となっている国です。しかし、アフリカ大陸で2番目に長いニジェール川の中流が国土の南部を流れていて、飲料水や農業用水などの水資源を提供しています。ニジェール川はギニアを水源として北東へ流れ、マリ国内でほぼ90度曲がり、南東方向へ向きを変えてナイジェリアから南大西洋に含まれるギニア湾に注ぎます。首都のバマコは国の南西部に位置し、ニジェール川の両岸に街が広がっています。ニジェール川は古くから水運に利用されていて、バマコは重要な交易の拠点として栄え、13世紀から17世紀に存在していたマリ帝国の時代でも重要な街の1つとなっていました。1960年にフランスから独立してからは人口が増え続け、近年では都市の成長率がアフリカで最も高くなっています。しかし、その弊害もあり、インフラの整備などが追いつかない状態になっています。この街は赤道より少し北に位置するため、1年を通して平均気温が30℃を上回ります。気候は雨季と乾季に分かれていて、6月から9月の4か月間に多くの雨が降ります。逆に12月から3月の間は乾季にはほとんど雨が降りません。また、雨季の直前は気温が非常に高くなります。

 

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」の特徴

 

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」は、フランスからの人道支援によって2012年に完成しました。継続して子供たちを受け入れ、育てるためには多くの費用がかかります。その費用を削減するために、この建物には室温を下げる目的の電化製品は使わないことが条件の1つでした。この地域は年間を通して気温が30度を上回ります。その為、様々な工夫が考えられましたが、結果的に古くからこの地域で建設されてきた工法と素材が使われました。この孤児院は、子供たちの暮らす部屋や勉強する部屋、医務室や食堂など、いくつもの部屋が中庭を中心にして作られる、マリや西部のアフリカで古来より作られてきた家族の住む家を参考にして建設されています。赤道近くの強烈な太陽熱の吸収を抑えるために、屋根は2重になっています。建物の平坦な屋根の上に空間を開けて、もう1つの屋根が作られています。上の屋根は波型の鋼板が使用され、建物より大きく張り出すように取り付けられているので、外階段や、建物同士の間も覆うようになっています。壁には、H型のコンクリートに、この地域で古くから使用されているバンコと呼ばれる土壁にする材料が詰められています。バンコは断熱性が高く、泥と穀物の殻を混ぜて作られるので、いつでも補修ができます。また、1番外側の壁は日光の直射が最大になるので、ガビオン(蛇篭、じゃかご)が使用されています。ガビオンは鉄線で編まれたカゴに砕石を詰めた立方体で、山の斜面を保護したりする場合によく使われています。このような措置が取られたお陰で、1年のうちでも特に気温が高い時期に、屋外と屋内の気温差が20℃もあったことが実証されています。照明などに使われる電気は、屋根に設置された太陽光パネルによる発電で賄われています。飲料水は深さ数十メートルの井戸から汲み上げられ、排水は処理されて農業用水などに使われています。

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」のまとめ

 

「ファラトゥ ジギヤソ孤児院」の名称にあるファラトゥは、この孤児院を建設するきっかけとなった人物の名前を表しています。そして、ジギヤソは、この国で古くから使われている言語で、「希望」を表しています。この孤児院の名称は、不運にも孤児となった子供たちに、少しでも明るい未来が訪れるようにと考えて名付けられたのではないでしょうか。

 

 

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