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「アース ハウス 大地の家」のご紹介
太古の昔から地球上の様々な場所で地中に暮らしていた人々がいます。日本でも地面に穴を掘って屋根を乗せた「竪穴住居」の遺跡が各地で発見されています。他にも、崖を掘っていくつもの部屋を繋げた住居や、洞窟の中に住んでいた人々がいました。いつの間にかそのような場所で暮らす人々は少なくなってきましたが、災害から身を守ったり、エネルギー消費が少ないことから近年では見直される例もあります。「アース ハウス 大地の家」もその1つで、地球と共に暮らす家と言われています。
「アース ハウス 大地の家」の設計者
「アース ハウス 大地の家」を考案したのは、スイスの北東部にあるザックスという農村で1943年に生まれたピーター・ヴェッチです。彼は、隣国のリヒテンシュタイン公国との国境に近いこの村で子供時代を過ごし、10代の終わりころに農業の専門学校を卒業しています。その後、見習いの製図工として数年働いた後に国立の芸術アカデミーで建築を学びました。学校を卒業してから、スイスとドイツの建築事務所で経験を積み、1974年に独立して自らの建築事務所を開設しました。その頃から「アース ハウス 大地の家」という理念の住居を考え出していました。それは、地面の上に建物を作ると、空気の中に建築物があり、自然環境の様々な要因によって劣化が早くなると考えでした。そして、彼が思いついたのは、建築に対する独自の解釈によって、地面の中に住むのではなく、土地と一緒に暮らすと言う考え方でした。その住居は、自然環境に対する負荷を極力減らし、自然災害に強い建物となりました。地面に住むと言うと昔に帰ったように思われますが、最新の技術も取り入れた進歩的な建物となっています。最終的には風景と同化して、景色の1部となり、自然の中に取り込まれるようになります。彼の作り出すこのような住居はスイス国内だけでなく、世界中に建設されて、現在は100棟近い家が完成しています。付け加えるならば、彼は普通の四角い家も設計しています。
「アース ハウス 大地の家」の所在地
「アース ハウス 大地の家」は世界中の様々な場所に建設されていますが、設計者が事務所を構えるスイス連邦のディーティコンに作られている家は特徴をよく表しています。この街は国の北部にあり、首都チューリッヒの北西近郊に広がっています。チューリッヒ湖から始まるリマト川沿いで、古くから水運の要所として栄えて来ました。基本的には下流に流す方法の水運で、片道航行となっていましたが、ライン川に向けて多くの物資がはしけで運ばれていました。今は大型の船の航行はありませんが、小型の船は様々な現場で使われています。近年では陸上輸送で大きな役割を果たす街となっています。ヨーロッパ最大規模の鉄道操車場がこの街に作られています。第二次世界大戦後に首都近郊の自治体がチューリッヒ都市圏に加わり、この街もその1自治体に含まれました。リンマッタル操車場は、1966年に最初の工事が始まり、徐々に規模が大きくなって、現在は到着線が18、出発線が16あります。その間にある貨車の仕分け線は64もあり、広大な敷地に数多くの線路が敷かれています。このような大量の貨車を遅滞なく振り分けるために最新の技術が使われ、事故を防ぐ仕組みもコンピューター制御で行われています。
「アース ハウス 大地の家」の特徴
完成して数年後には大地と同化したように見える住宅が「アース ハウス 大地の家」です。建設方法は通常の建物と同じように地面の上に建てられます。平らな地面に金網状の骨組みがデザインに合わせた設計通りに組み立てられ、そこにコンクリートを吹き付けて形作られます。骨組みが金網状なので、曲線を多く取り入れた有機的な形になり、依頼主の好みと建設用地の形状で、どのような形にも対応できます。設計者は極力直線を使わないようにしているため、天井や壁の部分は緩やかな曲線を帯びています。ただし、あくまでも住宅なので、床は段差はあっても平らになっています。建物を作るときに掘られた土は、最終的に屋根の上に置かれ、時間の経過とともに草が生え、家全体が丘陵の1部となるようになっています。その見た目は丘の斜面に掘られた住居の様で、ファンタシーに出てくる生き物の住処を思い起こさせます。地面の中にあるような感じで、屋内が暗くなる印象がありますが、大きな窓がたくさん取り付けられ、複数の天窓もあるので、日中は人工照明は不要になっています。分厚い壁と緩やかな団子状の屋根は強度が高いため、嵐や地震などの災害にも強い家になります。また、地中の温度変化の低さを利用して、夏は外気より低い地下の温度を利用し、冬は屋内の暖かい空気が冷える事を土の層が防いでくれます。また、家自体が可燃性の低い素材で出来ているので、防火性も高くなっています。
「アース ハウス 大地の家」のまとめ
「アース ハウス 大地の家」はその名の通り大地と合体している家です。でも、完成してすぐに一体化するわけではなく、時間が必要となります。一見すると変わった家ですが、安心して気持ちよく生活できるように、細かな配慮と綿密な計算が行われています。人間も地球に暮らす生物の1つとして「地球の家」とも言われるこの家で暮らすことは、まさしく「地球と共に暮らす」と言う「アース ハウス 大地の家」の理念に適っているのではないでしょうか。
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