「アヴィーチー アリーナ」のご紹介
都市に埋め込まれたボールのような建物があります。世界で最大級と言われる球形のアリーナが「アヴィーチー アリーナ」です。建設の依頼主はストックホルム市で、建設当初の名称は「ストックホルム・グローブ・アリーナ」でした。2008年には10年間の契約で電気通信会社のエリクソン社がスポンサーとなり「エリクソン・グローブ」と改名されました。契約が終了した時に、若くして亡くなった社会問題の1つを解決するために活動していたアーティストの名前に変更されました。しかし、市民は単に球形を表す「グローブ」または、「地球儀」と呼んでいます。
「アヴィーチー アリーナ」の設計者
「アヴィーチー アリーナ」を手掛けたのは、1916年にスウェーデンのヘデモラと言う町で生まれたアンダース・ベルグです。生まれた町から南東に約150km離れたストックホルムにある、王立工科大学で建築を学びました。卒業してからの8年間は2人の建築家が運営する事務所で経験を積み、その後の更に8年間はその内の1人の建築家のパートナーとなって建築事務所を運営していました。1958年に独立して、「アンダース・ベルグ・アーキテクコントロール」を開設しました。彼は、多くの大型建築を手掛けていて、公共施設や企業のビル、大型商業施設などを設計しています。中でも、1960年代にスウェーデンの大手電気通信企業と関わるようになってからは、更に活躍の場が増えていきました。しかし、1980年代に入って間もなく、会社のリーダーを退くことになりました。彼が手掛けた作品のほとんどは首都のストックホルムに現在も建っていますが、2008年に92歳で天寿を全うしています。
「アヴィーチー アリーナ」の所在地
「アヴィーチー アリーナ」は、スウェーデン王国の首都であるストックホルムに建設されています。北欧で最大級の都市で、複雑な地形のために水辺が多く、「北欧のヴェネツィア(ベニス)」とも呼ばれている美しい街です。西にメーラレン湖があり、東側はバルト海に面しています。メーラレン湖は国で3番目に大きな湖で約7,800の島々がありますが、ほとんどは小さな岩の塊くらいの大きさです。氷河の影響によって出来た、この地域の海岸線で特徴的なフィヨルドと同じ経緯で出来た湖なので、湖岸も入り組んだ複雑な形をしています。本来はバルト海からの海水も流入していた為、汽水域もありましたが、現在はストックホルムにある橋を兼ねた水門によって隔てられています。市街地は、メーラレン湖の終わりから、バルト海のストックホルム群島の始まりのような場所にあり、複数の島で構成されていて、街には多くの橋が架けられています。加えて、水流をコントロールするために運河も作られています。その為に街全体が水に浮かんでいるような印象があります。このような環境なので、自然が豊かではありますが、たくさんの公園も作られています。その中には国で最初の国立都市公園も含まれています。また、この街はおよそ70の博物館や美術館があり、その数が世界で最も多い都市となっています。
「アヴィーチー アリーナ」の特徴
世界最大の球形建築物が「アヴィーチー アリーナ」です。1989年に完成したスポーツや音楽イベントなどに使用できる総合的なスポーツ文化施設です。直径が110mで高さは85m(通常のビルで、およそ28階分)の世界最大の球形の建築物です。この大きな球を支えているのは、赤道と呼ばれている球の半分の高さまである湾曲した48本の鋼鉄製の柱です。赤道の部分にはメンテナンスのための通路も設置されています。外壁はアルミニウムで覆われていて、高さが半分の位置までは、たくさんの丸い窓が取り付けられています。頂上の付近には4角い天窓が放射線状に114カ所取り付けられています。これらの窓は非常な悪天候にも耐えられるようになっていて、館内の密閉を保てるようになっています。球形であることの利点がいくつかありますが、その1つに降雪による積雪が少ない事が挙げられます。また、スポーツの観戦では13,850人を収容出来、音楽イベントなどでは最大で16,000人を入れることが出来ます。このように観客の収容人数も容易に増減できることも利点の1つです。2010年には、外球に沿って2台のゴンドラが頂上まで行き来できる、「スカイビュー」が取り付けられました。鉄道用のレールを使い、ガラスで覆われた球形のゴンドラが20分かけて「アヴィーチー アリーナ」の外側を上下します。現在、改装の計画もあり、常に変化し続ける建物となっています。
「アヴィーチー アリーナ」のまとめ
「アヴィーチー アリーナ」は、スウェーデンの国土を太陽系に見立てた太陽に位置しています。約200万分の1の縮尺で、全国に太陽系の惑星やその衛星の模型を設置しています。太陽から1番近い水星は2,9km離れた市立博物館に設置されていて、7,6km離れた自然史博物館には直系65cmの地球と18cmの月が展示されています。最遠は太陽系外縁にある準惑星で、北に912km離れた街に設置されています。惑星だけでなく、彗星や太陽系外から来たと言われる「オウムアムア」も設置されていて、現在も新しい天体が加えられています。この企画は天文学者と物理学者の2人の提案で、「アヴィーチー アリーナ」の前を自転車で通り過ぎた時に思いついたという事です。「アヴィーチー アリーナ」は、球形建築物として世界最大級ですが、ここを中心とした太陽系の縮尺図も世界最大となっていて、2重の意味の特大サイズを持っている建物と言えるのではないでしょうか。
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