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「ロイヤル オンタリオ博物館」のご紹介
古代に於いては雑多な珍しい品物を陳列していたような部屋を「驚異の部屋」と呼んでいて、博物館の発端となっていると言われています。そのような様々な物を収蔵している博物館でも、特に重要な物品がある場合には、それを全面に押し出すこともあります。「ロイヤル オンタリオ博物館」は、世界でも量、質ともに最高級に値する鉱物を収蔵していて、新しく建設された建物の外観はクリスタルをイメージして作られました。
「ロイヤル オンタリオ博物館」の設計者
「ロイヤル オンタリオ博物館」のデザインと設計を手掛けたのは、1946年にポーランドで生まれたアメリカ人のダニエル・リベスキンドです。彼の両親は第二次世界大戦のときのユダヤ人迫害であるホロコーストの生存者でした。13歳の時に最後の移民船と言われた船でアメリカへ渡り、19歳でアメリカの市民権を取得しました。その後、アメリカの有名な私立学校で高名な4人の建築家から建築を学びました。大学では主に建築の歴史や理論を学び、研究していたので、卒業後も建築に関する研究を続けていました。建築の理論家や様々な大学での教鞭が主な活躍の場であった為、「建築しない建築家」とも呼ばれていました。1989年にスタジオ・ダニエル・リベスキンドを立ち上げ、建築家としての活動を始めました。彼の初めての建築物は52歳の時に完成しましたが、それ以来、特に博物館を多く手掛けるようになっています。また、舞台美術の分野でも活躍し、オペラなどの舞台装置や衣装のデザインも手掛けています。他にも世界中の様々なデザイン会社や事務所と協力して、オブジェや家具などのインテリアデザインも行っています。近年では、ニューヨークにあるロックフェラーセンターの前に設置される、巨大なクリスマスツリーのトップを飾る星をデザインしています。オーストリアに本社を置く、スワロフスキーのクリスタル300万個が使われた素晴らしい煌めきを持つ星です。
「ロイヤル オンタリオ博物館」の所在地
カナダの南部に位置するオンタリオ州の州都トロントに「ロイヤル オンタリオ博物館」が建設されています。トロントは、北米五大湖の一番東にあるオンタリオ湖の西岸にあるカナダ最大の都市で、以前は国の首都を務めたことがあります。トロントの語源にはいくつかの説がありますが、先住民の言葉で、「人々が集まる場所」または、「水の中に木が立っている場所」と言う説が一般的です。「水の中に木が立っている場所」と言うのは、ある先住民族がこの地域の湖で魚を囲い込むために木を植えていた史実によるものです。また、最初にこの地で交易を始めたのがフランス人の商人で、後にイギリスからの入植が増えた事から、様々なフランス語や英語の表記が入り混じっているとも言われています。この地はヨーロッパから人々がやってくる前から、湖沿岸の細長い砂洲があることで、天然の港を形成していたので交易の拠点となっていました。18世紀の終わりに「ヨーク」と言う名前の町が作られ、19世紀半ばには人口が1万人に満たない状態で市制が施行され、トロントと名づけられました。オンタリオ湖からセントローレンス川を下り、大西洋に船で航行できるようになってからは、貿易を中心とした商業が発展し、現在では高層ビルが立ち並ぶ大都市となっています。
「ロイヤル オンタリオ博物館」の特徴
「ロイヤル オンタリオ博物館」は、最大かつ重要な収蔵物である鉱物を意識したクリスタルを思い描いたような外観の建物です。初代の建物から生まれ出るように伸び出してきた形になっていて、レンガ造りの少し厳つい建物と近未来的な外観を備えた建物が、絶妙なコントラストを作り出しています。最高5階建ての5つの建物で構成されていて、水晶のクラスターを彷彿させる形状になっています。鋼鉄製の骨格に外壁はアルミ製で、各所にはめ込まれているガラスが建物全体を都会的なデザインのステンドグラスのように見せています。設計者は当初のデザインで建物全体をガラスで覆いたかったようですが、出来上がった形を見ると、外観の形と相まった鋭いガラスの部分が強調されたようになっていて効果が大きくなっているようです。先が尖った形になっている為、「光るビーコン」とも紹介される事もあり、設計者の得意とするデザインでありながら、「ロイヤル オンタリオ博物館」の個性も作り出しています。内部は小さな部屋をたくさん作るのではなく、全体に広い空間となっていて、各階や各フロアを繋ぐ階段や橋のような通路からも、色々な展示物を垣間見ることが出来るようになっています。
「ロイヤル オンタリオ博物館」のまとめ
1912年に最初の博物館が完成しましたが、およそ1世紀を経て建物が老朽化し、収蔵物も増えたことから、建物の拡張が計画されました。2007年に拡張工事が終了して新しい「ロイヤル オンタリオ博物館」に生まれ変わったこの建物は、多額の寄付をした人物の名をとってマイケルリーチン・クリスタルと呼ばれています。しかし、市民は親しみを込めてこの博物館を「ROM(ロム)」と呼んでいます。古いものと未来へ続くような外観の「ロイヤル オンタリオ博物館」は再生も意味する姿となって再び開館しました。
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