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G381のしらべ
石材となった御影石は色々な色があります。しかし、石材にする前、山から最初に採石する時には、どんな色の石が眠っているのかわかりません。例えば、「山の中に転がっている苔むした石を割ったら素晴らしい色をしていた。」と、言うこともあるでしょう。御影石の「G381」は木々の葉の色をした御影石です。
「G381」の原産地
御影石の「G381」が採石されている中華人民共和国の山東省は、古くから中原(ちゅうげん)と呼ばれる華北平原の一部である平地の広がる地域です。中原は黄河の中、下流域に当たり、古代文明の一つである黄河文明の栄えた場所でもあります。しかし、山東省には中国国内で色々な意味を持つ有名な山岳地帯もあります。「泰山(たいざん)」と言う、歴史的に重要な役割をはたしてきた神聖な山です。「泰山国家地質公園」と言うジオ・パークに指定され、ユネスコの世界ジオ・パーク・ネットワークに認定されていて、早くから世界遺産(複合)にも認定されている山です。秦の始皇帝を始め、歴代の何人かの皇帝が即位の報告と、天下泰平を感謝する「封禅(ほうぜん)」の儀式が行われていたのが泰山です。但し、儀式の内容は極秘とされていたので、詳細は不明となっています。標高は1,500mほどで、古来より麓から山頂まで続く石段が設置されていて、今も歩いて登る事が出来ます。現在は、中腹まで車で登り、山頂までのロープウェイも設置されています。
「G381」の特徴
「G381」は、中国産でも種類の少ない緑色をした御影石で、「チャイナ・グリーン」と呼ばれることもあります。色の濃さで名称が変わることもあり、石目が細かく色の濃い石材が「万年青」と呼ばれています。黒と濃い緑色をした粒子が多く、白やグレーの粒は少なめの石で、全体的にはモスグリーンのような深い緑色をしています。また、石目が大きめで、色が薄い石を「森林緑」と言う事があります。緑色の粒子は「万年青」と同じくらいの色合いですが、入っている量が少なく、白やグレーの塊が多く入っていて、全体では色が薄く感じられるような見た目になります。中には、緑の部分が非常に少ない石もあります。彩色のある御影石の特徴として、地表から深くなるに従って色が薄くなる傾向にあります。地表に近い所で採石された御影石は、その石の色をはっきりと見ることができます。「G381」は色の濃さによって、好まれる使用方法が異なっているようです。
「G381」を取り扱う時の留意点
中国産の御影石にはナンバーと通称があります。
中国産の御影石のGは花崗岩の英語であるグラニットの意味です。最初の数字が産地の「省」を示しています。「3」は山東省産の数字です。ナンバーだけでは商業的に味気ないのか、通称名や別名もあります。「G381」も「森林緑」とか「万年青」と呼ばれることがありますが、特に「チャイナ・グリーン」と言う名は中国の他の産地の御影石でも使われることがあります。購入する時には名称だけでなく、ナンバーも確認することをお勧めします。追加で購入されるような場合には注意が必要です。
彩色のある石について
「G381」は美しい緑色をした御影石です。しかし、無彩色の石でも見た目の色の違いがある事から、緑などの彩色のある石の場合には色の濃さや雰囲気の違いが大きく現れる事があります。加えて「G381」の場合には薄めの色の石と、濃い色の石のイメージがかなり違うので、大量に使用される場合にはこの事を念頭に入れておいてください。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「G381」に適した製品
色の濃さで通常よく使われる方法が変わってきます。
濃い目の「万年青」
銘版や表札など、サイズは小さくてもインパクトのあるものに使われています。「G381」の深い緑は品格を上げる役にも立ち、上品で高級なイメージを持たせることができます。また、彫刻を施したオブジェや石造品も作られていて、芸術性の高い作品や製品になっています。ダークグリーンの「G381」で作られた装飾品が一つでもあれば、お部屋の雰囲気も引き締まって、品のある空間になるのではないでしょうか。
薄目の「森林緑」
専ら建材に使われています。緑とグレーの中間にあるような色なので、表面のツヤの有る無しの差があまり出ません。壁や床に白や薄いグレーの石と組み合わせた、スタイリッシュな施工例もあります。薄目の「森林緑」とは言え、白い色と組み合わせると緑の色が通常以上に引き出されているようです。「G381」の柔らかい緑色は、落ち着いた空間を作り出す事の出来る良い素材となるでしょう。
「G381」のまとめ
御影石は石材の商業的な名称で学問上では数種類の岩石がありますが、一般的には花崗岩が多いようです。世界的には英語の花崗岩を表すGranite(グラニット、グラナイト)を使います。語源はラテン語で種子を表す単語で、花崗岩の見た目が様々な色と大きさの種をちりばめたように見えることからきているようです。その様な事柄から、「G381」は緑と黒と白の種が散らばる石とも言えます。その種は、生活空間を彩る素晴らしい素材となって、花開いているのではないでしょうか。
現在、閉山となっています。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…11495円
400角…11495円
300×600…11505円
600角…17810円
2022年12月のしらべ
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