スルイシュイス(Sluishuis)

「スルイシュイス」のご紹介

 

西ヨーロッパに含まれるオランダは、ヨーロッパの中でも国土の狭い国です。それに反して、人口は多く、必然的に人口密度が高くなっています。加えて、最高地点でも標高が1,000mを越えるところのない平坦な地形となっています。そして、国土を広げるために、中世の頃からポルダーと呼ばれる干拓が盛んに行われてきました。多くの人々が快適に暮らせるように、この国ではたくさんの集合住宅が建設されています。近年完成した集合住宅は、名前の通り、水辺に浮かぶような印象のある建物です。「スルイシュイス」とはオランダの言葉で「水門の家」という意味があります。

「スルイシュイス」の設計者

 

「スルイシュイス」の建設は、自治体が立てた企画の方針に従って設計されたいくつかの案から決められました。建設設計競技会で優勝を勝ち取ったのは、デンマークの首都コペンハーゲンに本拠地を置くBIG(ビャルケ・インゲルス グループ)とオランダの都市ロッテルダムに事務所を構えるバーコード アーキテクツが共同で立てた提案です。BIGは、デンマークの建築家であるビャルケ・インゲルスが率いる企業で、コペンハーゲンの他、ヨーロッパやアメリカ、アジアなど世界各国にオフィスを構える世界でも指折りの建築事務所です。2006年に開設されてから多くの集合住宅や公共の施設を手掛けていますが、ビャルケ・インゲルスが掲げる理念によって、斬新な印象を与える建物が作り出されています。近年叫ばれる持続可能について、彼は独自の考えを持っていいます。持続可能の為に何かを犠牲にしたり、妥協することは解決になっていないと彼は考えているようで、それを表現した建物が一風変わった見た目になっています。バーコード アーキテクツはオランダの建築家ディルク・ピーターズが創設した建築事務所です。彼は、スイスの著名な建築家が率いる事務所や、オランダのロッテルダムに本拠地があるレム・コールハースが運営するOMAを経て、2009年に独立してバーコード アーキテクツを開設しています。ヨーロッパの高名な建築家の元で経験と関係を作り上げてきた彼の事務所は、集合住宅や公共の施設を手掛け、いくつかの事務所と共同で大規模な企画を遂行しています。現在彼はオランダ国内のいくつかの大学や建築専門の学校で教鞭も取っています。

「スルイシュイス」の所在地

 

「スルイシュイス」はオランダ王国の首都、アムステルダムにある複数の人工島で構成されるアイブルグ地区に建設されました。アムステルダムは、アムステル川が注ぐエイ湖に面していて、およそ1,000年前から行われている干拓によって作られました。エイ湖は、北海と大規模な堤防で仕切られた、アイセル湖とそれに続くマイケル湖の更に奥にある湖です。エイ湖には数多くの人工島が建設され、人口密度の高い都市に住む住人に快適に暮らせる場所を提供しています。干拓や人工島の建設によって街の中には縦横に運河が流れていて、1部はユネスコの世界遺産に登録されています。アイブルグ地区の建設は20世紀の中頃に2人の建築家によって提唱されましたが、自治体は内陸側に街を広げることを計画していました。しかし、政策の方針が変わり、1997年に人工島の建設が決定されました。実際の建設は1999年に始まり、21世紀に入ってから人々が移住してきました。島には住宅だけでなく、公園や運動施設、人口の砂浜などが整備されました。また、初等、中等の学校も建設されています。第一段階の工事は終了していますが、更にいくつかの人工島の建設が進められています。

 

「スルイシュイス」の特徴

 

2022年に完成した「スルイシュイス」は、水門の家と言う名に相応しい建物です。水の上に浮かんでいるようにも見える集合住宅で、400戸以上の住宅が入っています。上から見ると中央が空洞の四角い建物ですが、陸側は上部から斜めに切り取られ、湖側は下部が斜めに切り取られています。その為、湖側の家の1部は床の下が水面になっていて、様々な方向や角度から見ても同じ形には見えない建物となっています。中央部が空洞になっていることから、最上階は元より一番下の部屋にも自然光が入るようになっています。また、建物の内側は小型ボートが係留できる桟橋が備えられ、中庭も作られています。建物は地面の上に建設されるのでは無かったため、大型の重機などが作業できるように仮設の人工島が作られました。水面から高さが50m以上ある斜めに切り取られた部分は、柱で支えるのではなく、背骨に見立てられた暑さが50cmあるコンクリートの壁で支えられています。建物の基礎には、地盤の沈下を防ぐことと、建物の垂直を支えることを目的として、60mの深さまで杭が打ち込まれています。これにより、駐車場は地下に作ることが出来ました。外壁はアルミの板で覆われています。未加工なので、光の反射は抑えられ、建物の重量も少なくすることが出来ました。持続可能な建物にするために、屋上には太陽光パネルが設置され、窓ガラスは3重構造になっています。加えて、建材は極力、リサイクル材や、再利用可能な素材が使用されています。

「スルイシュイス」のまとめ

 

陸側から「スルイシュイス」に入るためには橋を渡らないといけませんが、橋を渡って斜めに切り取られた部分に作られた階段を上がり、屋上に作られた遊歩道からエイ湖とアムステルダムの風景を楽しむことができます。完成当初は住人以外は利用できませんでしたが、依頼者の自治体の要請で市民に憩いの場を提供できるようになりました。

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