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G603のしらべ
中国産の白御影石で、古くから一番多く輸入されているのが「G603」と呼ばれる御影石です。採石場が港に近いおかげで輸送コストが抑えられるため、リーズナブルな価格を実現している石種です。様々な所で使われているので、とても身近な御影石です。
「G603」の原産地
中華人民共和国の南部に福建省という自治区があります。その海岸に面した地域に泉州市があり、「G603」の採石場は泉州市の中の一地区、晋江市と言う所にあります。海を隔てて対岸には台湾が見える地域です。泉州は海に面していて、天然の良い湾に恵まれた地形をしていたことから、海のシルクロードの起点となっていた場所です。また、8世紀頃の遣唐使が荒波を超えてたどり着いていたのも泉州の港でした。このように古来より交易の拠点であったことから、泉州の人々は古くから商才に恵まれ、世界中で活躍している華僑や華人と呼ばれる人々の主な出身地となっています。現在この地域では製紙業や磁器、服飾などの軽工業が盛んで、特に靴の生産は中国国内でも三本の指に入るほどの規模です。もちろん採石もこの地の経済を支えています。名産品としては中国四大酢と謳われる、もち米を使った濃厚な味わいの「烏酢(うす)」と言う名の黒酢があります。有名な中国茶の一つ、「鉄観音茶」の一大生産地もこの地域にあります。
「G603」の特徴
「G603」は、中国産の御影石の中では古くから大量に輸入されてきた石種です。白御影石と言われていますが、見た目は薄いグレーをしています。白い粒の間にある黒い粒子の色が漆黒に近く、他の白御影石に比べると多く入っている為に、広い面で見ると薄い灰色に見えます。御影石のほとんどは学問上では花崗岩ですが、「G603」は厳密に言うと「花崗閃緑岩(かこうせんりょくがん)」と言う石で、石を構成している大部分の鉱物が一般的な御影石と違います。石目は多少粗く、吸水率が高いです。その為、サビと呼ばれる御影石を構成している鉱物の影響で、茶色のシミが浮くことがあります。したがって、屋外にはあまり向かない石材となります。採石場の上層部で採れる石は色も白く、彫刻用などの為にヨーロッパに向けて輸出されているようです。埋蔵量も多く、大きいサイズの石材も採石されています。しかし、昔から大量に採石してきたので、最近では採石量も減ってきています。複数の採石場がありますが、中には閉山している所もあるようです。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「G603」を取り扱う時の留意点
白系の御影石はシミや汚れなどが目立ちます
御影石の構成物質の中には様々な鉱物も含まれています。その中の主に鉄分が、水分によってサビになる要因となっています。「G603」は御影石の中では吸水性が高いと言う欠点があります。そう言うことから、長期間風雨にさらされると茶色のシミが浮き出ることがあります。白い色に茶色が付くととても目立ちます。このような状態になった時には、専門家にメンテナンスをお願いすると元のような状態にできる事もありますが、完全にサビが取り切れない場合もある事を念頭に置いてください。
名称や番号について
中国産の御影石は記号で呼ばれることが基本です。しかし、わかりやすいように別名が使われることも多々あります。「G603」は「ライトグレー御影石」又は「パダンホワイト」などの名前で呼ばれることもあります。似たような番号がたくさんあるので、間違えないためにはこのような措置も必要かもしれませんが、どちらも確認してから購入する事をお勧めします。
「G603」に適した製品
床、壁、テーブルなど予算の少ないときにおすすめです。
建造物の床や壁材として
表面の加工方法で使い分けます。床に鏡面加工の石材を使うと傷が付きやすくなります。なにより水濡れした時は滑りやすいので、バーナー加工など表面がザラついた加工の石材を使用することをお勧めします。「G603」は色味が違う事はあまり起こり得ませんが、表面にツヤの無い加工でしたら、簡単に均一な色にできます。壁には鏡面加工の物の方が艶やかで美しい表面になるので、屋内の雰囲気も一段と良くなるでしょう。
インテリア雑貨など
一般家庭でも使える、オブジェや置物が作られています。最近ではキャラクター物や、かわいい動物などの形を模した物がインターネット通信販売などで売られています。サイズもいろいろあるので、使う場所によって選ぶこともできます。「G603」は薄い無彩色の石なので、どのような空間でも違和感なく置くことができます。このような石のオブジェが一つでもあれば、イメージアップの役にも立つのではないでしょうか。
「G603」のまとめ
御影石は日本での石材の名称です。世界的には花崗岩として流通していますが、「G603」は「モンゾ花崗岩」と称されている事もあります。「モンゾ花崗岩」は「花崗閃緑岩」の事で、月の石にも多く含まれている「斜長石(しゃちょうせき)」が大部分を占める石です。また、「斜長石」は青い遊色の美しい鉱石の「ラブラドライト」と基本的に同じ鉱物でもあります。このような事実を知ると、「G603」は自然の大きさを感じる事の出来る石材と言っても過言ではないのかもしれません
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…7716円
400角…7716円
300×600…7723円
600角…11190円
ビシャン仕上げ
300角…11180円
400角…11180円
300×600…11190円
2022年11月のしらべ
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