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コンブランシャン(Comblanchien)のしらべ
世界でも有数の高級ワインを生産している地域では、高品質の石灰岩も産出しています。
首都が花の都と呼ばれるフランスで切り出されている石灰岩は、華やかな雰囲気を持つ石です。「コンブランシャン」は、採石場のある町が誇りを持って町と同じ名前を付けている石灰岩です。
「コンブランシャン」の原産地
フランス共和国の北東部にある、コート=ドール県のコンブランシャンと言う町で石灰岩の「コンブランシャン」が採石されています。
この地域は、世界的にも有名なフランスを代表するワインの産地であるブルゴーニュ地域圏の入り口と言われる所です。上質なワインを作るためには、良質なブドウの栽培が必要となりますが、この地域の土地は石灰質のやせた土壌となっています。
しかし、ワイン用のブドウ栽培には肥沃な土地は向かないと言われています。やせた土地に加えて、夏は暑く乾燥し、冬は比較的暖かく、降水量が多い気候なので、ブドウ栽培には最適な地域となっています。
フランスは農産品の品質を保証するAOCと言う規格があり、この地域では小さな村単位や個人の畑単位でAOCを取得しています。生産されるワインの多くが赤ワインですが、世界でも最高級なワインもこの地域で作られています。また、首都であるパリに流れるセーヌ川の源流があり、パリの飛び地となっているその水源地は、首都から250㎞以上も離れています。
「コンブランシャン」の特徴
炭酸カルシウムを50%以上含む堆積岩を石灰岩と言い、石材としては、ライムストーンと呼ばれています。
炭酸カルシウム以外の様々な鉱物が含まれることによって、石の色が変わってきて、不純物が少ない石灰岩は、ほとんどの場合白い色をしています。
食品の乾燥剤や土壌改良剤として利用される石灰が白い色をしているのはそのためです。
「コンブランシャン」は、主成分である炭酸カルシウムの含有量が非常に多い石灰岩と言われていて、ライムストーンの中でも緻密で硬く、高品質な石種となります。古生代と呼ばれる地質学上の時代には、生物多様化の兆しがみられてきました。
「コンブランシャン」は、その頃に生きていた海洋生物由来の石なので、化石が含まれることもあります。その場合でも大きな化石が含まれる事はあまりなく、粒状の小さな塊となって見られます。色は基本的にはベージュに分類されますが、薄いピンクに見えるものもあります。
コンブランシャンはライムストーンとしては珍しく、ジェットバーナー仕上げが可能な石材となります。
「コンブランシャン」を取り扱う時の留意点
名称について
「コンブランシャン」は、フランス産のライムストーンの代表的な石です。緻密で硬くライムストーンの中でも最高品質な石で、一部では大理石として紹介される事もあります。
見た目の違いによって、化石の混入の無い物では「コンブランシャン クレア(明るいと言う意味)」や、たくさん入っているもの「コンブランシャン ムシェテ(フランス語で、まだら)」などに分けて名称を変えている事があります。
また、ピエール・ド・コンブランシャンや、ロンサードなど、全く違う別名が付けられる場合もあります。ほとんどの場合、複数の名称が表記されていますし、産地の表示もあるので、確認されるとよいでしょう。
色について
基本的に「コンブランシャン」は、薄いベージュ系の石灰岩です。
しかし、天然の石なのでわずかに色の違いもあります。濃い色のものはありませんが、薄いピンクに見える石やライトグレーに見える石もあります。
また、それによって呼び名が変えられている場合もあります。自然の産物であることを念頭に入れて利用してください。
「コンブランシャン」に適した製品
造形物
石灰岩は柔らかい部類の石材ですので、美術品の素材に利用されます。
また、壁材に様々なレリーフを施した物もあり、柄の少ない「コンブランシャン」でも表情豊かな壁を作り出すこともできます。
採石場のあるコンブランシャンの町の周辺には、切り出される前の石灰岩を掘り出して巨大とも言える作品を作っている芸術家もいて、現地の一部では採石場がそのままアトリエ兼ギャラリーのようになっている場所もあります。
床材
「コンブランシャン」は、緻密で硬い高品質のライムストーンです。
柔らかい物が多いとされる石灰岩ですが、床材としても耐える品質と言われています。本磨きと呼ばれる表面を鏡のように磨き上げた「コンブランシャン」はとても美しい物ですが、床に使うと、雨などで濡れた場合には滑る可能性があります。ツヤを抑えた加工の物を使用するか、両方を使って安全性もデザイン性も高い床に仕上げる事も出来ます。
いずれの場合も適切なコーティングを施すことで美しさが長持ちします。
「コンブランシャン」のまとめ
フランスが誇る、世界でも最高品質で最高級なワインが創り出される地域で切り出されている石灰岩の「コンブランシャン」は、国内の主要な場所に使われています。
首都パリの国際空港、シャルルドゴール空港や、世界有数の美術館、ルーヴル美術館にも使用されています。
採石場のある町と同じ名前の石灰岩「コンブランシャン」は、この地域で生産されている高品質のワインと同様、町の人々が自信を持って世界に送り出していると言えるのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税別、運賃別)
400角…34961円
400×600…36378円
2024年3月のしらべ
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