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ティノスグリーン(Tinos Green)のしらべ
エーゲ海に浮かぶ、青と白に彩られた島から、綺麗な緑の大理石が産出しています。ティノスグリーンと呼ばれる、美しい木々の色を映した、大理石のご紹介です。
「ティノス グリーン」の原産地
ギリシャ共和国の東側に広がるエーゲ海は地中海の中でもたくさんの島が浮かぶ海域です。ギリシャ本土の南東部にあるキクラデス諸島は、200以上の島々で構成されていて、その中の一つ、ティノス島で「ティノス グリーン」は採石されています。
抜けるような青空と、真っ白い建物が絵画のように美しい島です。多くのビーチと山岳部に構成されたこの島にも古い歴史があります。キリスト教の聖地があり、パナギア・エヴァンゲリストリア聖堂には巡礼者が後を絶ちません。「ティノス グリーン」をはじめ、大理石や花崗岩など、多くの様々な石材に恵まれているので、住宅や道も石で造られています。数多くの風車やハト小屋など、時代を感じさせる石造りの白く美しい建造物が島のあちらこちらに点在しています。
このような美しい環境は、素晴らしい芸術家をたくさん生み出してきました。特にこの島では、職人技と呼べる芸術品が創り出されていて、「ティノス島の大理石細工」としてユネスコの無形文化遺産に登録されています。
「ティノス グリーン」の特徴
「ティノス グリーン」は一般的に大理石として紹介されていますが、学問上では蛇紋岩と言う岩石です。地色は深い緑色をしている事が多く、その中に白い脈のような網目模様がたくさん入っています。蛇紋岩を構成している主な鉱物は、濃い緑色の蛇紋石と、薄い緑か水色に見える水滑石(すいかっせき、ブルーサイト)と方解石です。これらの鉱物の入り方や、量によって色の濃さや模様に違いが出てきます。
地質学上は、蛇紋岩と大理石は違いますが似通った所もあります。蛇紋岩に見える白い部分は、方解石と言って炭酸カルシウムが主成分で、大理石を構成する物質と同じ物です。また、研磨することで滑らかな美しい面を作り出せることも同様です。欠点も似た所があって、比較的やわらかい部類の石ですから傷が付きやすいです。日本産の蛇紋に似ていることから、人気の高い品種の石材となっています。とても割れやすい岩石で、疵が多く、大きいサイズの石はなかなか採れません。
「ティノス グリーン」を取り扱う時の留意点
風化を受けます
岩石ではありますが、繊細なところがあります。蛇紋岩は含水鉱物(がんすいこうぶつ)の一つで、岩石が出来上がる過程に於いて水分を含んでいる石です。その為、蛇紋岩の多い山では、雨が多く降るとがけ崩れなどが頻繁に起こります。
このような特徴がある事から、屋外では風雨にさらされると、割と短期間で風化作用を受け、色が白っぽくなってしまいます。また、傷も付きやすいので、屋外に使用する時は、しっかりとしたコーティングを施して表面を保護してください。
お手入れは中性で
お手入れの際には、極力洗剤は使わない方がいいです。しかし、拭いただけでは取れない汚れは、中性洗剤を薄めてから使用してください。
「ティノス グリーン」の構成鉱物である炭酸カルシウムは、酸やアルカリに非常に弱く、溶け出してしまう可能性があります。このような性質があるので、表面のツヤが取れてざらついた感じになり、色が抜けたようになってしまいます。洗剤を使った後は、速やかに硬く絞った柔らかい布で水分を拭き取ってください。
「ティノス グリーン」に適した製品
内装材
壁や床の一部分に、アクセントをつけるために使われます。例えば、エレベーターホールの扉の周りを、ぐるりと囲むように使うことでインパクトも強くなり、目を引くスペースになります。また、廊下などに薄い色の大理石と一緒に使い、色々なパターンで組み合わせた使い方もできます。1色使いと比べて、様々な表情を作る事ができるので、モダンな感じやエレガントな雰囲気など、使用する場所に相応しい内装に仕上がるのではないでしょうか。
インテリアなど
「ティノス グリーン」は色が濃く、美しい石なので、オブジェや飾り時計などが作られています。細工が容易なことから、小さいサイズの雑貨品も作られています。デスク周りのステーショナリーや、アメニティグッズなど、ちょっとした小物使いがお洒落な空間にしてくれるのではないでしょうか。深い緑色は上品なイメージがあるので、カフェテーブルの天板にも利用されています。また、大理石の様々な色を利用して、モザイク模様を作り出すこともできます。モザイクを施した天板のテーブルは、ハイカラなイメージで、室内のよいポイントになるでしょう。
「ティノス グリーン」のまとめ
緑色は、目に優しい色とか癒しの色と言われています。身の回りに草木のような緑があると、気持ちが安らぐのではないでしょうか。日本で大層好まれていると言われる色の「ティノス グリーン」は、公共の建物にも各所で使われています。有名な所では、東京都庭園美術館があります。マントルピースや棚の天板に使用されています。レトロな雰囲気に囲まれた素晴らしい美術館です。時代を感じる事の出来るハイカラを、ここで見ることができます
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
300角…23147円
400角…23150円
600角…32309円
2022年11月のしらべ
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