「熱交換器ヴァジェツカ」のご紹介
人々が過ごしやすいようにと設置された装置でも、技術の進歩によって不要となることはよくあります。不要になった施設を取り壊すことは簡単ですが、まだ使える部分があれば無駄にはできないと考えた人々がいました。「熱交換器ヴァジェツカ」は以前、地域の人々に暖かい暮らしを提供していた設備でしたが、現在は人々の暮らしに彩を添えることのできる文化施設として生まれ変わりました。
「熱交換器ヴァジェツカ」の設計者
「熱交換器ヴァジェツカ」の改装を手掛けたのは、スロバキアの建築事務所「アトリウム・アーキテクティ」です。アトリウムとは、大きな建築物の中の中庭のような場所で、色々な設備を備えたり、様々な目的で利用されています。この事務所は、1991年に国で2番目に大きな都市であるコシツェで開設されました。1953年に生まれたドウシャン ブラークを始め、多種多様な知識を持つ人々によって運営されています。ドウシャン ブラークは首都のブラティスラバの工科大学で、建築と都市計画を学びました。国の公認建築家となった年に事務所を創設し、今世紀に入ってからは、いくつもの賞を受賞しています。現在はコシツェの工科大学で後進のために教鞭を執っています。この事務所には、建築家や都市計画、構造学、美術などの専門知識を持つ多くの人々が関わっています。それぞれの知識を組み合わせて様々な問題に取り組み、独自の表現を追及して、複雑ではない簡素な解決策を生み出しています。人と社会環境や自然との関係性を探り、想像力を持って慣習にとらわれない自由な発想で多様な問題に取り組んでいます。
「熱交換器ヴァジェツカ」の所在地
「熱交換器ヴァジェツカ」は中央ヨーロッパの国、スロバキア共和国第二の都市コシツェにあります。スロバキアは周囲を5つの国と接する内陸の国です。ヨーロッパでは歴史の中で国家形態が変化した国が多く存在しますが、中でも特に幾度も国家形態が変わってきた国で、1993年から現在の共和制国家となっています。首都は西の端に位置し、オーストリア国境に接するブラティスラバです。コシツェは国の東にある都市で、ハンガリーとの国境に近い場所です。13世紀に初めて地名が記録されましたが、交易の要所であったために古くから幾度も戦いの場となっていました。しかし古い建物もたくさん残されていて、街の中心部は国の保護区になっています。中世の頃に建設された大聖堂や貴族の屋敷、劇場など、多くの歴史的建造物が古くからある通りに沿って建っています。この街は近年、文化的都市として注目を浴びています。2013年にはフランスの都市と共に欧州文化首都に選ばれ、年間を通して様々な行事が開催されていました。欧州文化首都は、ギリシャが提案した事業で、1985年から欧州連合が都市を指定して集中的に文化事業を執り行います。これに倣って、欧州スポーツ都市もあり、この街は2016年に選ばれています。同じ年からスロバキアの国際映画祭である「アートフィルム国際映画祭」が、この街で開催されています。この映画祭は、国が現在の政治形態になった年に創設され、中断することなく毎年開かれている世界で最長の映画祭となっています。
「熱交換器ヴァジェツカ」の特徴
「熱交換器ヴァジェツカ」は、2013年にコシツェが欧州文化首都に選ばれたことによる企画の1つでした。何といっても目を引くのが玄関横の壁です。普通は建物の壁を登ったりはしませんし、犯罪に問われることもあります。しかし、この建物には壁を登るための装備が整えられています。灰色の壁には色とりどりの小さな突起が付けられていて、1番高い所には子供でも安全に登られるようにロープを架けるところも取り付けられています。元々の建物は小さな立方体でした。その立方体を覆うように作られたコンクリートの壁が、色々な角度から三角形に切り取られたデザインで、まるでトゲトゲの巨石のように見えます。壁のコンクリートの色はそのままの灰色なので、なおさら岩のようです。通りに面した窓からは、切り取られた壁を通して三角形の風景を見ることができます。屋内は悪く言えば殺風景です。鋼鉄の骨組みや天井の鉄板の板、階段も鋼鉄で作られています。床はコンクリートが敷かれただけのところや1部ガラスの床もあります。これらの色彩の無い部屋は、そこで行われる創作活動の邪魔をしないように考えられた景色です。屋上の床は板張りのテラスになっていて、人の背丈ほどの壁で周囲が取り囲まれているので、一種独特な屋外空間になっています。ここは、小規模のコンサートなどの野外活動に利用されています。
「熱交換器ヴァジェツカ」のまとめ
世界中の暖房を必要とする地域では、地域暖房と言う設備が整えられている所がたくさんあります。ヨーロッパでは古くから様々な方法でこの設備が運用されています。技術の進歩によって、エネルギー消費の少ない方法なども開発されて、以前の設備が不要となることもあります。住宅地の商業スペースに隣接して建っていた地域暖房の施設は、住民の文化活動を支援することのできる新たな姿となりました。しかし、それまでの貢献も忘れないように「熱交換器」と言う名称が残されたのが「熱交換器ヴァジェツカ」です。
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