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「真珠採りの道博物館と入り口」のご紹介
栄えた時期があっても様々な要因で衰退してしまうことは、どんな事柄でも起こります。 特に産業の面では地域の経済や人々の生活に大きな影響を与えます。しかし、長い年月が経つと、昔栄えた産業の名残がその地域の歴史として語られる文化財となる事もあります。「真珠採りの道博物館と入り口」は、遺跡として残されたいくつもの建造物を守るためと、その歴史を伝えるための施設です。
「真珠採りの道博物館と入り口」の設計者
「真珠採りの道博物館と入り口」を手掛けたのは、スイスの建築家ヴァリレオ・オルジャティです。スイス近代建築の礎を築いた建築家の父親を持つ彼は、1958年にスイス東部にあるクールと言う街で生まれました。現在でも世界でトップクラスと謳われるチューリッヒ工科大学で建築を学び、30代の初めころに最初の事務所を開設しています。数年間スイスで活動した後に、アメリカのロサンゼルスでスイス出身の建築家と共に働いていました。ロサンゼルスにいた3年間は、彼にとって建築家としての方向性と考えに大きな影響を与えたようで、大学で受けた教育より重要な時間を過ごしたと語っています。建築だけでなく多様な芸術作品を解釈するために、作者の思想や経歴、その作品が作られた背景などは二の次で、構成や色、形など作品そのものの品質を重要視する事と、あくまでも自然体であることが大事だと考えています。建物を利用する人々が建物に押し付けられるのではなく、自由な感覚で自然に使える事が建物の役割と考えています。ヨーロッパの複数の国とアメリカの大学で教鞭を執り、イギリスのロンドンやメキシコの首都、日本の東京で彼の作品展が開催されています。現在は、妻と共にスイスの東部にあるフリムスと言う小さな町に事務所を置いて、スイスを中心にアメリカやヨーロッパの他の国でも活躍しています。
「真珠採りの道博物館と入り口」の所在地
「真珠採りの道博物館と入り口」はペルシャ湾に浮かぶ島国バーレーン王国の都市、ムハッラクにあります。バーレーンは西にエジプト、東はカタールに面していて、淡路島より少し大きいくらいの主島であるバーレーン島と大小30以上の島々で構成されています。サウジアラビアとは1986年に開通した全長約25kmのキング・ファハド・コーズウェイと繋がっています。建設の費用は全額サウジアラビアが賄っていたことから、道の名称は当時のサウジアラビア国王の名前が冠せられました。10km大規模な堤防道路と15kmの橋で構成されていて、大型の船舶が航行できるように橋の途中は橋梁が高くなっている部分が設けられています。道のほぼ中央には人工島が建設されていて、展望台や出入国管理事務所が設置されています。ムハッラクは国で3番目に大きな街で、20世紀の前半までは首都を務めていました。バーレーン島の北東にある国内で2番目に大きなムハッラク島の本島側に位置していて、現在の首都であるマナーマの対岸になります。この地域では、4,000年以上前から真珠が採取されていて、19世紀には最盛期を迎え、国の経済を支える大きな産業でした。品質の良い天然の真珠が採れていましたが、真珠の親貝の減少や日本で真珠の養殖技術が確立されたことから次第に衰退していきました。国の経済は石油が見つかったことから、原油の採掘に推移していきました。真珠採取のために建設された建物群などは2012年に国で2番目のユネスコの世界遺産となっています。
「真珠採りの道博物館と入り口」の特徴
「真珠採りの道博物館と入り口」は、2019年に完成した「真珠採りの道」を覆う天蓋とその歴史を伝える博物館で成り立っています。100年以上前の産業に使われていた複数の建物と、それらを繋いでいた石畳の道は潮風に晒されて風化して行きました。加えて強力な日光がそれに追い打ちをかけています。これらの遺跡を守るために建設されたのが「真珠採りの道博物館と入り口」です。遺跡と同じような色合いの赤系とグレー系の色をしたコンクリートで作られていて、全て、現場で製造された打ち放しのコンクリートで、型枠の後はそのまま残されています。この地では現場打ちのコンクリートで建設する方法が行われていなかったため、その技術もこの建設時に伝えられました。数多くの柱が遺物を傷つけないように建てられていて、そのうちのいくつかは「風の搭」と呼ばれる中が空洞の柱になっています。風の搭は屋根のある煙突のような形で、空気の流れを作り出すために設置されていて、敷地内の気温を下げる効果があります。10mの高さに作られた平たい屋根のような天蓋には、家の形を簡略化したような大小の5角形の穴が開けられていて、自然光を提供していて、どこかを指し示す矢印のような光を床に映し出しています。博物館の建物は比較的小さく、天蓋に開けられた穴と同じような形を、90度横に倒した形状になっていて、独特な印象を与えています。
「真珠採りの道博物館と入り口」のまとめ
潜水夫達が通ったパーリング・パスと呼ばれる「真珠採りの道」はおよそ3.5kmにわたります。今ではこの地の真珠の採取は禁止されていますが、かつては世界有数の産出を誇り、品質も最高級でした。その歴史を伝える遺跡を守るために建設された「真珠採りの道博物館と入り口」は、その遺跡と同じ時間を過ごしてきたように見える構造物です。
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