「クウェート給水塔群」のご紹介
地球上の様々な場所に都市がありますが、その全ての都市が住みやすい自然環境の所とは限りません。中には、過酷な自然環境であっても都市の営みが続いている街もあります。知恵を働かせ、人々のより良い暮らしを提供するために様々な技術も開発されています。中東の乾燥した気候の街に建設された「クウェート給水塔群」は、人々が生きていくために欠かせない設備ですが、街のランドマークにもなっています。
「クウェート給水塔群」の設計者
「クウェート給水塔群」の設計を担当したのは、スウェーデンの建築家、スネ・リンドストローム(スネ・アドルフ・リンドストローム)です。彼は、1906年にスウェーデンの南端に近い都市であるマルメで、実業家であり軍の将校でもあった父親の元に生まれました。20歳の時に王立の工科大学に入学して、5年間建築を学びました。その後、当時ドイツにあった、近代美術やモダニズム建築の先駆者を多く輩出した美術系の学校で更に建築を学んでいます。学校を卒業してから、当時は国で1番大きな建築事務所に就職しました。30代に入ってすぐに、国の機関で都市計画を担当し、首都ストックホルムの1地域の再開発に関わっていました。2年間、国の機関で働いた後、ストックホルムに本社を置く建設企業に入社しました。その会社で主任建築家として働いていた時に「クウェート給水塔群」のデザインの元となる給水塔を手掛けています。スウェーデン語で「スヴァンペン(キノコ)」と名付けられたその給水塔は、国の南部にある内陸の街に建設されました。その給水塔のデザインは、国内の他の地域や複数の国に建設された給水搭の元となりました。1959年からの10年間は、国の第二の都市、ヨーテボリにある工科大学で教鞭も執っていました。国の近代建築の一端を担っていた彼は、1989年に83歳で人生の幕を下ろしています。
「クウェート給水塔群」の所在地
「クウェート給水塔群」が建つクウェート市はクウェート国の首都です。ペルシャ湾の最奥に位置するこの国は、イラクとサウジアラビアに挟まれた四国より少し小さい面積で、いくつかの島も国土として領有しています。最大の島であるブービヤーン島とは、橋が架けられていて車でも移動できるようになっています。冬季の温度は10℃を下回ることもありますが、1年を通して降水量が非常に少ない乾燥した気候です。特に夏の間の5ヵ月ほどは、ほとんど雨が降らず、最低気温でも30℃を上回る期間があります。このような気候であることから、淡水を獲得するために海水を利用した多くの淡水化プラントが稼働しています。この国は、世界で最初に淡水化プラントで作られた水を、一般家庭に向けて飲料水として供給しました。経済を担っているのは石油産業ですが、肥料の輸出も貢献度の高い品目となっています。首都のクウェート市とその周辺には、国の人口の約8割が居住しています。18世紀の初めころは小さな漁村でしたが、18世紀中頃に起こった戦いの影響で商業の街になりました。街の北側にはクウエート湾があり、比較的安全と判断した当時の商人たちが、交易の拠点としたことから、街の規模は次第に大きくなっていき、現在のような大都市へと発展してきました。
「クウェート給水塔群」の特徴
海水を淡水化した水を貯めて水の安定供給を目指して計画された「クウェート給水塔群」は、市内の5個所に合計31基が建設され、1976年に完成しました。給水塔は、地形と周辺に居住する人口などを配慮して、1個所に6基から9基が設置されました。高さもそれに準じて30mから40mの間になっています。角度の低い円錐を逆さまにした形の水槽が巨大な円筒の上に作られています。この形がキノコのように見えることから、マッシュルームタワーと呼ばれています。逆向きの円錐の最上部の直径は32mです。逆円錐になっているのは、貯められた水が少ない動力で円滑に各戸へ供給できるようにと考えられた結果です。1基に貯水できる量は、オリンピックで使われる競泳用のプール1杯分より多くなります。鉄筋コンクリートで造られていますが、より強度を上げるためにプレストレス構造が採用されています。これは、コンクリートの弱点を補完するために、強度の高いワイヤーを内蔵した構造です。逆円錐形の傘の部分は、地上で型枠が組まれてから円柱の上に乗せられ、砂漠で収集された砂利と混ぜ合わされたコンクリートが流し込まれました。型枠は次の搭の建設に使用されるため、形の正確さと工期の短縮が可能になりました。搭は青と白のストライプに塗装され、街の地形が平坦であることから、遠方からでもよく見えるようになっています。
「クウェート給水塔群」のまとめ
当初、6個所に給水塔を建設する予定でしたが、最後の搭の建設はそれまでと違ったデザインが求められ、「クウェート給水塔群」の設計者と同じ企業に勤務する彼の妻が設計しました。「クウェート給水塔群」の下には巨大なキノコの傘が作る日陰ができることから、公園が作られています。5個所のうち2個所は搭の設計者が在籍していた建設企業が請け負い、残りはクウェート市が整備しました。「クウェート給水塔」は市民生活に欠かせない施設であると共に、その根元に日陰を作り、人々に過ごしやすい場を提供しています。
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