【大理石の物語3】タージマハルはなぜ建てられた?愛と大理石の物語

古代ギリシャでは色が与えられ、
ルネサンスでは素材の美が追求された。

そしてタージマハルでは、
大理石は「愛」を表現する建築へと昇華した。

タージマハルは「愛」から始まった

世界遺産としても知られ、世界中から多くの観光客が訪れる建築である。

インドを代表する建築であり、大理石建築の最高傑作の一つとされている。

インド・アグラの世界遺産タージマハルは、白大理石でできた究極の愛の墓廟。1631年、ムガル皇帝シャー・ジャハーンが最愛の妻ムムターズ・マハル(宮廷の宝石)の死を悼んで建設を命じた。ムムターズは14人目の子供を出産中に36歳で亡くなり、皇帝は深い悲しみに暮れたという。

なぜこれほど巨大な大理石建築が作られたのか

建設は1632年に始まり、約20年(1653年完成)をかけた。2万人以上の職人・労働者が関わり、建築家ウスタード・アハマド・ラハウリーが設計を主導。

どのように大理石は運ばれたのか

白大理石はラージャスターン州マクラーナの採石場から約360km離れた場所から運ばれた。1000頭以上の象、牛車、特別に作られた荷車が使われ、15kmの土手道や滑車システムで資材を上げた。赤砂岩はファテープル・シクリから、宝石(翡翠、水晶、トルコ石など28種類)は中国、スリランカ、ペルシアなど世界中から集められた。

完璧な美を生んだ建築技術

建物は完璧な左右対称。中央のドームは高さ約35m、4本のミナレット(尖塔)が囲む。内部のムムターズの棺と皇帝の棺は、繊細な象嵌細工(ピエトラ・ドゥーラ)で花やアラベスク模様が施されている。外壁の大理石は光を反射し、朝焼けや月明かりで色を変える幻想的な美しさを持つ。

タージマハルが持つ意味と現在

完成後、シャー・ジャハーンは息子アウラングゼーブに幽閉され、アグラ城の塔からタージマハルを眺めて余生を過ごした。黒大理石で自身の墓を作り、対称のもう一つのタージマハルを建てる夢もあったが、実現しなかった。財政負担が大きく、帝国の衰退を招いた側面もある。

現代ではUNESCO世界遺産として厳重に保存され、年間数百万人の観光客が訪れる。環境汚染による黄変対策や、洪水対策が課題だ。月夜のタージマハルは特にロマンチックで、「愛の力で石が動く」象徴として語り継がれる。

エジプトのピラミッドや他のモニュメントも大理石を使うが、タージマハルは「すべて大理石」のスケールと宝石の豪華さが圧巻。悲恋の物語が石に刻まれ、訪れる者に永遠の愛を想起させる。インド旅行のハイライトとして、必見の建築だ。

プロから一言

白大理石は美しい反面、汚れやすく、
屋外ではメンテナンスを前提とした設計が重要になります。

特に雨や排気ガスの影響で変色するため、
使用場所と仕上げの選定が非常に重要です。

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(用途や環境に合わせた大理石の選定もご提案可能です)

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