エルプフィルハーモニー(Elbphilharmonie)

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「エルプフィルハーモニー」のご紹介

中央ヨーロッパの北寄りにある都市は海から100kmほど離れていますが、大きな港を備えています。港の周辺にはいくつかの大きな倉庫が前世紀まで使われていましたが、現在は輸送手段も変わり、使われなくなっています。近年、街の経済の一端を担っていた倉庫が、文化の中心の1つに生まれ変わりました。赤茶色の倉庫の上に乗せられた建物が、川の流れを写し取ったような「エルプフィルハーモニー」です。

「エルプフィルハーモニー」の設計者

「エルプフィルハーモニー」のデザイン、設計を担当したのは、ドイツの南西の端にある都市のバーゼルに本拠地を置く建築事務所のヘルツォーク&ド・ムーロンです。この事務所は、現在、ヨーロッパ、アメリカ、アジアの各地にいくつかのオフィスを構え、数百人のスタッフが働く世界的な企業となっています。1978年に2人の建築家、ジャック・ヘルツォークとピエール・ド・ムーロンによって設立されました。彼らは共に1950年フランスとスイスの国境に接するドイツの街、バーゼルで生まれ、子供時代には同じ学校で学んでいました。2人とも生まれ育った街の芸術や歴史的建造物などに大きな関心を持っていて、スイスにある有名な工科大学で建築を学びました。彼らは、後にこの大学で教鞭も執っています。事務所の開設当時から過度の装飾を施さないデザインで、素材にこだわった作品を作り出していました。建築事務所として半世紀近い活動の中で、多くの作品を世に送り出してきましたが、その活動の中で使われた様々な物を整理、収納して広く研究や教育のために活用してもらうための「カビネット」を2015年に開設しています。カビネットは3つに分けられていて、40カ国以上の数百にのぼる企画のためのスケッチや図面、模型などが収められた「建築」と、彼らが収集した芸術作品を展示する「アート」、バーゼルの写真家が撮った写真を収納、展示する「写真」があります。彼らの功績は街の発展にも大きく寄与していて、建築界のノーベル賞と呼ばれるプリッカー賞の受賞者12人が手掛けた建物がバーゼルの街やその周辺に建っています。

「エルプフィルハーモニー」の所在地

「エルプフィルハーモニー」は、ドイツ連邦共和国第二の都市、ハンブルクを流れるエルベ川の畔に建設されました。この街の正式名称は「自由ハンザ都市ハンブルク」と言います。「ハンザ」とは、中世ヨーロッパに中央や北ヨーロッパの都市を繋いで交易を行っていた商人の組合の事を指しています。当時の中心的な都市の中には、現在も「自由ハンザ都市」を名乗っている街がいくつかあります。街の中心にはエルベ川が流れていて、特徴的な地形を形作っています。エルベ川は、全長1,000km以上あり、所々に堆積物が溜まる沖積平野が形作られ、中流から下流域へと変わる地点に最大規模の三角州が形成されました。北海から約100km離れているにも関わらず大きな三角州が形成されていたことから、9世紀にはすでに港が作られていました。しかし、当時の皇帝が正式に港の開港を宣言したのは12世紀の事で、水運を利用した交易によって自由ハンザ同盟の中心的な街へと発展してきました。それ以来、港の整備が続けられ、現在は国内最大の港に成長し、ヨーロッパでも3番目に大きな港となっています。エルベ川の砂州であった所にはいくつもの埠頭が建設されていて、川の水深を深く保つための浚渫工事も行われています。その結果、大型のタンカーやコンテナ船、大型客船もこの街まで来られるようになっています。

「エルプフィルハーモニー」の特徴

 

「エルプフィルハーモニー」は、当初の完成予定から数年後の2017年に完成しました。赤煉瓦の大きな元倉庫の上に乗せられた、波打つような印象を持つ煌めく建物で、コンサートホールを中心とした複合施設です。この地域には、ユネスコの世界遺産に登録されている倉庫群の「シュパイヤーシュタット」があり、「エルプフィルハーモニー」が乗る倉庫も倉庫群の建物と同じような構造になっています。19世紀に三角形の敷地に建設された「カイシュパイヒャーA」は第二次世界大戦で破壊され、1963年に同じ場所に新しい倉庫が建設されました。軟弱な砂州の中に1,100本以上の杭を打ち、その上に建設された倉庫は基礎のしっかりした建物で、「エルプフィルハーモニー」の重量を支えるのに十分だと考えられました。建物の高さは110mですが、倉庫の部分が30mで、「エルプフィルハーモニー」は西側の高い部分が70m以上あり、東側に行くにしたがって少しづつ低くなっています。屋根は、波頭の立つ水面のような形になっていて、スパンコールと呼ばれている円形の穴開きのアルミパネルが5,800個使用されています。建物を覆うガラスは、1,100枚以上の特殊な物が使われています。1枚の幅が4~5m、高さは3mあり、反射と熱吸収を抑える効果がある印刷されたシートを間に挟んだ安全ガラスになっています。また、U字型の開口部が全体にちりばめるようにおよそ100枚が取り付けられています。これらのガラスは、強力な嵐にも絶えられるようになっています。コンサートホールは、日本人の音響設計家が一役買っています。ホールの内壁には、再生紙と石膏を混ぜ合わせた、全て形の違う1万枚のパネルで覆われています。

「エルプフィルハーモニー」のまとめ

 

エルプとは、そばを流れるエルベ川の事で、「エルプフィルハーモニー」は、市民からは「エルフィ」と親しみを込めて呼ばれています。川から見上げる姿が大型帆船のように見える「エルプフィルハーモニー」は、開館して1年ですでに数多くの人々が訪れていて、素晴らしい船出を切ったと言えるのではないでしょうか。

 

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