建築・文化記事
建築は、石や木といった素材だけでつくられるものではありません。
その土地の気候や地形、歴史、宗教、思想、そして人々の暮らし。さまざまなものが重なり合い、一つの建築が生まれます。
ここでは、石材や建築物そのものから少し視野を広げ、建築を取り巻く自然・文化・歴史・思想について紹介します。
森と木の物語
森はどのようにつくられ、木々はどのように生きているのでしょうか。
森の構造から樹木の生き方、木と人間との関わり、そして建築材料としての木までをたどります。
風水と建築 「天・地・人」から空間を考える
風水を単なる方位や吉凶としてではなく、「天・地・人」の関係から空間を考える思想として読み解きます。
地形、地質、水、風、気候、人間、そして建築。自然環境と人間のつくる空間がどのようにつながっているのかを、図とともに紹介します。
ピラミッドの秘密 4500年前、人はどうやって巨大な石の山をつくったのか
約4500年前につくられたクフ王の大ピラミッド。約230万個もの石は、どのように切り出され、運ばれ、積み上げられたのでしょうか。
石灰岩と花崗岩、大回廊、正確な方位、そして現代の調査によって発見された「Big Void」や「North Face Corridor」まで、巨大な石造建築に残された謎を「石」と「建築」の視点からたどります。
ピラミッドとナイル川
砂漠の中に立つピラミッド。しかし4500年前、その周囲には現在とは異なるナイル川の水の風景が広がっていました。
失われた古代の支流「アフラマト支流」、トゥーラの石灰岩、アスワンの花崗岩、そして石を運んだ船。ピラミッドを「石」だけでなく、「大地と水の建築」として読み解きます。
方位学と建築
人はなぜ、建物をつくるときに東西南北を意識してきたのでしょうか。太陽や星、ピラミッドの方位、中国の長安、平城京の都市計画などから、建築と方向の関係をたどります。
鬼門と裏鬼門、住宅の家相、そして現代建築の日照や風まで。「文化としての方位」と「環境としての方位」を分けながら、方角と建築の長い関係を考えます。
九星気学
一白水星から九紫火星までの九つの星と、木・火・土・金・水の五行。そして九宮と方位。九星気学では、方角だけではなく「時間の巡り」も重ねながら、人と空間との関係を考えてきました。
方位学からもう一歩進み、九つの星、五行、九宮、本命星・月命星などをたどりながら、東アジアに受け継がれてきた「天・地・人」の世界観を見ていきます。

四柱推命
生まれた年・月・日・時を四つの「柱」とし、十干と十二支、陰陽五行を組み合わせて人を捉える四柱推命。そこには、時間と自然と人間を一つのつながりとして見る東アジアの伝統的な世界観があります。
風水が土地や環境という「地」を見るものだとすれば、四柱推命は生年月日時という「天」と人との関係を見るものとして整理できます。占いの結果ではなく、その背景にある暦、陰陽五行、天・地・人という文化と思想をたどります。

相似象とは ― 天・地・人から自然の破壊と建築を考える
山、丘、森、住宅、そして人。自然の中で起こる変化は、それぞれ独立しているのでしょうか。「相似形」と「相似象」の違いから、自然環境における破壊の連鎖を考えます。
スカイチー、グランドチー、天・地・人、そして大地や水の流れ。自然と建築を切り離さず、大地から都市、建築、人の暮らしへとつながる環境の見方をたどります。
ルーブル・ストリーム ― ガラスのピラミッドとパリを貫く都市軸
ルーブル美術館のガラスのピラミッドから、地下の逆ピラミッド、凱旋門、そしてラ・デファンスのグランダルシュへ。
パリを貫く「歴史軸」をたどると、そこには建築と建築を結ぶ壮大な都市の流れが見えてきます。
ルーブルと歴史軸の約6.3度のずれ、グランダルシュの約6.3度の回転、地上と地下に向かい合う二つのピラミッド。
建築・都市計画として確認できる事実をたどりながら、風水、相似象、ジオマンシー、陰陽という視点を重ね、「ルーブル・ストリーム」という都市の見方を考えます。

空間を流れるエネルギー ― ホテル建築に見る光・色彩・チー
超高層ホテルの内部には、ロビー、巨大なボイド、客室、レストラン、アスレチックプール、メディテーションROOMなど、さまざまな性格を持つ空間が広がっています。
それらを個別のデザインとして見るのではなく、天空から降り注ぐ光、水面の反射、大地を感じさせる石、色彩、人の動線、そして「チー」という考え方によって、一つの連続した空間として捉えていきます。
「ジオマンシア・カラープランニング・コンディション」という考え方をもとに、スカイチー、グランドチー、マグネティックチー、ボイドを貫く光、イエローベースの色彩計画などをたどりながら、建築の中を流れる目に見えるもの、そして目には見えないものについて考えます。
都市を貫く流れを見た「ルーブル・ストリーム」から、今度は一つの建築の内部へ。
光・水・色・素材・人間がどのようにつながり、一つの空間をつくり出しているのかを見ていきます。

コンセプトから空間へ ― HOTEL ALOE GARDENのデザイン思考
建築のデザインは、どこから始まるのでしょうか。
外観の形や平面図を考える前に、「なぜ、この空間をつくるのか」という問いから始まるのがコンセプトワークです。
ここでは、小規模ホテル「HOTEL ALOE GARDEN」のために描かれたデザインノートをもとに、一つのコンセプトが実際の建築空間へと変わっていく過程をたどります。
「生命」という出発点から、アロエ、自然界の美、渚の散歩道、空間の重なり、人の流れへ。
そして平面的な散歩道が立ち上がり、壁やファサードとなり、最後には「アロエの散歩道に、そっと置かれたウォーターBOX」という一つの浴場空間にまで展開していきます。
「空間を流れるエネルギー」で見てきた光・色彩・人の動き、そしてチーという考え方は、実際の設計ではどのように形へと変換されていくのでしょうか。
完成した建築を見るのではなく、まだ形のない「思考」が「空間」になるまでを見ていきます。

黄昏のチャペル ― 一枚のスケッチから建築が生まれるまで
建築のコンセプトワークは、大規模なプロジェクトだけにあるものではありません。
小さな計画にも、実現に至らなかった計画にも、そして一枚のスケッチだけにも、設計者が何を見つけ、何を考え、それをどのように空間へ変えようとしたのかという思考の過程があります。
「黄昏のチャペル」は、夕焼けの美しい草原に計画されたチャペルのためのコンセプトスケッチです。
出発点となったのは、建物の形ではなく「黄昏」という自然現象でした。
一日の終わりに空が夕焼けに染まる。その美しい時間から、一日を無事に過ごせたことへの感謝、祈り、そして人を黄昏の光で包み込む空間へと発想が展開していきます。
夕焼けという自然現象から、感謝という人の心へ。そして祈りの空間から、自然との境界をできるだけ消していく「ガラスのチャペル」へ。
一枚のスケッチの中には、まだ形のない思考が建築へと変わっていく「メタモルフォーゼ」が描かれています。
完成した建築だけを見るのではなく、設計者がどのように考え、その思考をどのように視覚化していくのか。
一枚のスケッチから、コンセプトワークと建築の始まりを読み解きます。

富士山へのお礼 ― 8本のピラーがつくる、屋根も壁もない建築
建築は、必ずしも屋根や壁をつくることから始まるわけではありません。
富士山を正面に望むブライダル空間に置かれたのは、わずか8本の白い柱でした。
大地の水平と柱の垂直。そして、その向こうに広がる雄大な富士山。
建築が自然を飾るのではなく、自然の存在を引き立てるために、建築そのものをできる限り取り除いていく。
「紅糸線」「天使のピラー」という独自の空間思想を通して、自然への敬意と共生を形にした建築です。
何をつくるかではなく、何をつくらずに残すのか。
8本のピラーから、建築のもう一つの可能性を考えます。

木の葉のステージ ― 水と巨大な葉がつくる、自然に包まれる空間
一枚の木の葉が、巨大なステージになったら。
世界のボーイスカウトが集うジャンボリーのために構想された、草原の中の交流空間。
その発想の中心にあったのは、巨大な木の葉と水の戯れでした。
ステージにはオープンレストランとしての機能も考えられ、人々が集い、語り合い、食事を楽しむ場所となります。
さらに、ステージの一部に寝転び、巨大な木の葉に包まれるような感覚を味わうという、自由な空間の使い方も構想されました。
自然の形を単に模倣するのではなく、人間が自然の中で感じる心地よさを、空間として表現する。
一枚の木の葉から、人と自然が共に過ごす場所が生まれていきます。

子供たちのための空間デザイン ― 色彩と遊びが生み出す自由な世界
子供たちのための空間は、単に安全で使いやすいだけでよいのでしょうか。
色彩に触れ、形を発見し、身体を動かし、自由な発想で遊ぶ。
そこには、大人があらかじめ決めた使い方だけでは生まれない、豊かな体験があります。
このプロジェクトでは、有彩色を積極的に取り入れたステージや遊戯的な空間を通して、子供たちの感性や創造力を刺激する環境が構想されています。
床の色彩や形状、空間の構成には、それぞれ異なる役割が与えられています。
見る、歩く、集まる、遊ぶ。子供たちの行動によって、同じ空間がさまざまな意味を持ち始めます。
建築が遊び方を決めるのではなく、子供たち自身が空間の可能性を発見していく。
色彩と造形によって、子供たちの自由な想像力を引き出す空間デザインです。

森の赤い箱 ― 四季の色彩を着替えるゲストハウス
森の中に、小さな赤い箱を置く。
春には新緑に囲まれ、夏には深い緑の中に身を置き、秋には紅葉と響き合い、冬には葉を落とした木々の間に静かに佇む。
建築は動かない。外壁の色も変わらない。しかし、自然の色彩は季節とともに絶えず変化します。
赤い建築は、緑の森の中では色彩の対比を生み、秋には紅葉と響き合い、周囲の自然になじんでいきます。
さらに、この計画の重要なテーマが「濁色空間」です。
霧が発生すると、建築は霧を着るように柔らかなハーフトーンの世界に包まれます。そして霧が晴れた瞬間、建築本来のレンガレッドが再び姿を現します。
月明かりの下では、玄(ナイトブラック)の世界が広がります。
固定された建築の色彩と、絶えず変化する自然の色彩。その関係から、豊かな空間体験が生まれます。
建築が季節ごとに色を塗り替えるのではない。自然が建築に、次々と違う色を着せていくのです。






