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「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」のご紹介
世界には様々な宗教が存在しています。そして、祈りを捧げるための建物が規模の大小に関わらず、太古より建設されてきました。それらの建物の大半は、それぞれの宗教を具現化したような形をしています。アフリカの街に建設された礼拝堂は、当該の宗教を表していますが、その土地に伝わる紋様や建設技術が使われています。「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」は、アフリカの伝統と宗教が交じり合う建物です。
「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」の設計者
「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」の建設は、ナイジェリアの芸術家、デマス・ヌウォコが願い出てデザインと設計を任されました。彼は、1935年にナイジェリアの南部にある小さな町で生まれました。アフリカには多くの民族が存在していますが、その中でも最大規模であるイボ族の町の1つで、彼の父親が首長を務めていました。子供のころから、新しい建物やオビと呼ばれる部族の重要な建物に魅了されていました。オビは長老や首長を指すこともあります。建築を学ぶために入った学校では、建築に対する実際的な事柄しか学ぶ機会が無く、彼の希望とは違ったようでした。その後、美術を学ぶことに方向転換をしましたが、それも彼が望んでいた方向と違い、アフリカの美術が蔑ろになっていました。そのようなことから、数人の学生と共に美術協会を設立しています。大学を卒業してすぐに、第二次世界大戦後に設立された文化自由会議(現在は解散しています)から奨学金を受けてパリで舞台芸術を学んでいます。帰国してからイバダンに住み、作業場と住居を建てようとしましたが、大学の講師だけでは資金が足りなかったようです。そこで彼は近くで入手できる材料を使うことを思い付き、それが以降の彼の建築に繋がっています。2023年に彼は、長年の建築に対する功績が認められ、ヴェネツィア ビエンナーレの建築の生涯功労金獅子賞を受賞しています。
「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」の所在地
「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」は、西アフリカのナイジェリア連邦共和国第3の都市、イバダンにあります。ナイジェリアはアフリカ大陸の西側、大西洋に続くギニア湾に面している国で、面積は14番目ですが人口は大陸で最大です。以前は海沿いのラゴスが首都を務めていましたが、1991年に内陸のアブジャへ遷都されました。新しい首都の建設にあたっては日本の著名な建築家が関わっています。ラゴスは現在も国で最大の都市であり、経済の中心地となっています。イバダンはラゴスの北、約120kmに位置していて、イギリスの植民地時代から内陸と沿岸部を繋ぐ中継点として発展してきました。現在もこの地域の行政や経済、文化の中心的な役割を担う街です。19世紀にはこの街を中心としたイバダン共和国が存在していて、20世紀目前にナイジェリアがイギリスの植民地となった時まで1つの国として存続していました。この街は地域の生産物の集積所ともなっていて、多くの作物が集められ、国の内外に送り出されています。主な農産物としては、カカオや綿、ゴムなどが生産されていて、中でもタピオカの材料にもなっているキャッサバと言う作物は世界一の生産量を誇っています。他にも特徴的な鉱物資源があり、採掘されています。陶磁器や医薬品の材料になるカオリナイトや、上質なものは宝石にもなるアクアマリンの埋蔵量が豊富です。
「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」の特徴
「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」は、1970年に建設計画が決まり、デマス ヌウォコが望んで設計を引き受け、7年の歳月を経て完成しました。中心に十字架を掲げた茨を模した搭があり、搭を要として扇状に建物が作られています。1番の特徴はデザイン性が高いことです。設計者が本来は芸術家だったことで、様々な意匠が色々な場所に凝らされています。屋内の円を描くように建てられた柱には、北アメリカの先住民が作っていたトーテムポールのように細かな彫刻が施されています。壁に作られたモザイクのような十字架のステンドグラスは、色々な大きさと向きになっています。また、礼拝堂の部屋を取り巻くように外廊下が作られていますが、その外側にはアフリカの伝統的な紋様をイメージしたフェンスが取り付けられています。これは、防犯の目的があって、砂鋳造と言う古くからこの地域でも使われていた技法で作られています。砂の上に作りたい形を描き、その溝に金属を流し込んで作り上げられています。屋外の床にも幾何学模様が作り出されています。設計者は、素材にもこだわりがあって、近くで手に入る物だけを使うことに固執していました。花崗岩などの石材や木材、ガラスなど様々な建材は全てイバダンで入手できるものが使用されています。
「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」のまとめ
設計者のデマス ヌウォコは建築の専門教育をうけていなかったことから、図面を引くことから勉強をはじめたそうです。「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」は、彼が初めて手掛けた建物で、それまでは芸術家として活動していた彼の新たな能力の開花だったと言えます。始まりの大地と呼ばれるアフリカに建つ「ナイジェリアのドミニコ会礼拝堂」は、その土地の歴史と、その土地の外から来た宗教が融合した建物ではないでしょうか。礼拝堂の完成以降、教会の他の建物もデマス ヌウォコが手掛けています。
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