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「セント ジェローム児童センター」のご紹介
建築の分野で人道的支援を行うとしたらどのような方法があるでしょうか。援助の必要な場所に必要な建物を建設するだけでよいのでしょうか。将来の事も考えると、建物を建てるだけでは不十分だと考える人もいます。イギリスの建築家がアフリカの農村地帯に暮らす、保護者のいない子供たちのために企画した支援は、大人たちにも大きな影響を与えています。「セント ジェローム児童センター」は、専門家の知識と建築家を目指す若者の手を携えた建築家が、現地の人々と共に建設した施設です。
「セント ジェローム児童センター」の設計者
「セント ジェローム児童センター」の企画を進めたのは、イギリスの人道支援を行っているオーキッド・スタジオです。この事務所はジェームズ・ミッチェルが2008年に開設し、イギリスのグレートブリテン島の北部に位置する都市のグラスゴーに本拠地を置いています。主にアフリカの農村部など、小さな地域社会に住む人々の暮らしが少しでも良くなるように、問題解決に取り組んでいます。裕福ではない地域社会に住む人々に新しい知識や技術を提供すると共に、自立を促すことも考えています。彼は、何かを作り出すことは、様々な人に大きな力を得る可能性があり、生活の向上に繋がると信じています。創設者のジェームズ・ミッチェルは、学生の頃にアフリカに支援する企画を立ち上げたことがありましたが、何もできすに終わったことを悔やんでいました。その経験が事務所の理念に繋がっているようです。様々な問題を建築で支えることが1番の目的ですが、建築だけでなく、そこに付随する多様な問題も解決に向けて考えられています。専門家の知識と最新の技術を使えば簡単なことですが、彼は、現地の人々の手を使い伝統的な技法と、そこで手に入る素材を利用することで、未来に向けてそこで暮らす人々が自分たちで解決できるように導いています。
「セント ジェローム児童センター」の所在地
「セント ジェローム児童センター」は、アフリカのケニア共和国にあるナクルと言う街の近郊に建設されました。ケニアは東アフリカのほぼ中央に位置していて、インド洋に面しています。首都のナイロビはアフリカの中でも有数の都市で、国名は国の中央に聳える標高5,000mを越えるケニア山から採られています。この山は、アフリカで2番目に高く、数百万年前から数万年前までは活発な火山だったようです。赤道の近くでありながら山頂付近には氷河があり、標高3,350m以上が国立公園に指定され、ユネスコの世界自然遺産に登録されています。ナクルの街は、首都ナイロビの北西、約150kmに位置し、標高が1,800m以上ある高原地帯に広がっています。赤道の少し南に位置していますが、高地であることから気温はあまり上がらず、1年を通して日中の平均最高気温は30度を越えることはないようです。街の周辺にはいくつかの湖があり、東アフリカを縦断する大地溝帯に点在する湖沼群の1部になっています。街の南に隣接するナクル湖は国立公園に指定され、近くの2つの湖と共にユネスコの世界遺産に登録されています。また、世界の湿地帯を保護するラムサール条約の対象地にもなっています。この湖周辺には特筆すべき事柄があります。絶滅の危機に瀕しているサイとキリンを密猟者から護るために、広大な敷地をフェンスで取り囲んでいて、種の保護と生息数の拡大が期待されています。それ以外にも、多種多様な動植物がこの地域に生息しています。
「セント ジェローム児童センター」の特徴
アフリカのほとんどの孤児院は、大きな部屋で多数の子供たちが寝起きし、暮らしています。しかし、この施設は少人数が共同で寝起きし、遊べる部屋や食事をとる部屋などに細かく分けられ、少しでも子供達が過ごしやすいように工夫されています。「セント ジェローム児童センター」は、ほぼ手作りの施設で2014年に完成しました。決して裕福ではない農村地域なので、建材などは極力地元で簡単に手に入る物が使われました。まず、建設の初期段階である、基礎工事や衛生設備、雨水の貯水槽を作るために地面を掘った時に出た大量の土が外壁を作るために利用されました。この地域の土壌は約20%の割合で粘土質が含まれているため、頑丈で耐久性の高い壁を作ることができました。この地域で通常使われている穀物を入れる大きいサイズの丈夫な袋に掘削で出た土を詰め、それを積み上げて厚みのある外壁が作られました。この地域は日中と夜間の気温差が大きくなる時期があって、日中の熱を蓄えた壁が夜間の冷え込みを抑えてくれます。扉や内壁に使われた木材は、合板を作る時に出る樹木の芯の部分や廃材が使われています。使用される水は雨水を貯めたものが使われていて、貯水槽と一体化した給水設備が設置されています。極力エネルギー消費を抑えるために、日中の屋内の照明は自然光で賄えるようになっています。
「セント ジェローム児童センター」のまとめ
この施設の建設にあたっては、男女を問わない地元の人々の手とイギリスの建築を学ぶ学生たちが関わっています。建設に携わった地元の人々は、手に職をつけることで自信を付けることができたようです。また、その知識と技能を他の人にも伝え、自分たちで多くの事が出来るようになりました。「セント ジェローム児童センター」の建設は、将来に向けて地域の人々が自立できるようにと考えられた企画だったのではないでしょうか。
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