キャピタルゲート（Capital Gate）

「キャピタルゲート」のご紹介

ギネスブックに登録されているビルが中東のアブダビにそそり立っています。着工から一年ほどで、所有者と設計者から申請が出されていました。
傾いていることで有名なピサの斜塔よりも、もっと傾いて、しかも意図的に斜めになっている超高層建築物の「キャピタルゲート・ビル」をご紹介します。

「キャピタルゲート」の設計者

イギリスで創設されたRMJMと言う建築企業が「キャピタルゲート」を設計しました。1956年にロバート・マシュー（R、M）とスティラット・ジョンソン・マーシャル（J、M）が立ち上げた建築事務所は、60年以上の歴史がある老舗と言ってよい事務所です。

当初はエジンバラとロンドンの2か所に事務所を置いていました。様々なプロジェクトを完成させ、順調に成長していましたが、21世紀に入ってから、いくつかのアクシデントによって一時的に縮小することになってしまいました。しかし、現在では世界最大級の建築企業に発展していて、世界20ヶ国、29のオフィスを構えています。スタッフの数も相当数に上りますが、常に連携を取って様々なニーズに応えています。あらゆる建築物などの建造に携わり、世界中の大規模なプロジェクトを担う事の出来る企業です。

創設者のひとり、ロバート・マシューは1975年に亡くなっていますが、近世建築界での活躍が認められ、国から勲章を授かり、ナイトの称号も与えられていました。

「キャピタルゲート」の所在地

アラブ首長国連邦（UAE）は7つの首長国で構成されている連邦国家ですが、その中のアブダビ首長国の首都であり、連邦の首都でもあるアブダビ市に「キャピタルゲート」ビルが建っています。

アブダビ首長国は、連邦の中で収入や人口、広さ全てが最大の国となっています。この街の名称は、この地に多く住んでいるカモシカの仲間の名前である「ダビ」と、父親を表す「アブ」が由来と言われています。太古より人が住んでいたようですが、過酷な自然環境の元では、多くの人が住める場所ではありませんでした。家畜の飼育や真珠の採集などで、細々と暮らしている地域でした。二十世紀半ばに石油が発見されても、当初はあまり収入になりませんでした。次第に石油による収入が増えてきましたが、まだこの地の人々は慎重でした。
しかし、イギリスからの独立を果たした頃から活発な投資が始まり、現在の様な大都市に発展しました。都市としての歴史は浅いのですが、豊富な資金を使って豪華な建造物がたくさん作られています。

「キャピタルゲート」の特徴

「キャピタルゲート」の一番の特色は、何より傾いていることです。超高層ビルがあれほど傾いていると、倒れるのではないかと不安になるくらい傾いています。
しかし、今日の技術ではこのような建物も作ることができるようになっています。言うまでも無く、強風や地震などの自然災害にも強い構造になっていて、基礎の為に、500本近い杭が30ｍの深さまで打ち込まれています。また、ダイアグリッドと呼ばれる、外側からは菱形に見える鋼鉄の梁を使う方法で建築されているので、ビルの大きさの割に鉄骨の使用量が少なくなっています。それでも13,000トン以上の鉄骨が使用されています。
タイトなドレスの様な外見で、サッシュベルトのように見える19階から下に向かって取り付けられている白い網目状の構造物が南側にあります。日差しの強いこの地域には必要な日よけの役割も持っていて、隣の建物の屋根に続いています。全面がガラス張りで、晴天の多いこの地域では青く見えることが多く、メタリックなイメージがあります。
12階までは垂直に建てられ、それ以上は少しずつ傾けて建てられています。外観は傾いていますが、当然、屋内の床は平行になっています。35階建てで、着工から完成まで4年かかり2011年に竣工しました。下の階にはオフィスや会議室等が入っていますが、18階から上は、アメリカのホテル「ハイアット・キャピタルゲート・ホテル」が入っています。

「キャピタルゲート」のまとめ

アブダビ市の一番高いビルで、新しい名所にもなっている建造物です。19階にはホテルの施設である「ラヤナ・スパ・アブダビ」があり、空中を泳いでいるような錯覚を起こさせるような屋外プールがあります。挑戦的とも言える「キャピタルゲート・ビル」は、次の斬新な建造物を作る為のステップにもなるのではないでしょうか。

余談ですが、傾いている建築物で有名な「ピサの斜塔」は実は世界で3位の傾斜です。「キャピタルゲート」が完成する以前まで世界一傾いていた建物は、ドイツにある「ズールフーゼン教会」です。「キャピタルゲート」は意図的に傾いていますが、「ズールフーゼン教会」や「ピサの斜塔」は自然に傾いた建物となっています。