目次しらべ
山西黒(Shanxi Black)のしらべ
中国産御影石の中で、最もポピュラーな黒い御影石をご紹介します。中国内陸部の山西省に石切り場がある山西黒(さんせいくろ)と言う御影石です。黒御影石と言えば今までベルファーストやジンバブエなどが主流でしたが、南アフリカなどで採掘される黒御影石よりも安価なため日本でもよく使われるようになり、今では一番使われている黒御影石です。山西省で採掘される黒御影石なのでサンセイクロと呼びます。
「山西黒」の原産地
中華人民共和国の内陸東部に山西(さんせい、シャンシー)省があります。宇宙からも見える、紀元前三世紀に秦の始皇帝によって建設された万里の長城の南側一部に接している地域です。内陸の気候で水資源も少ない乾燥した地域なので、農業はあまり行われていません。しかし、地下資源の埋蔵量が多く、昔から鉱山業の栄えた土地です。特に石炭の埋蔵量が中国国内の約五分の一と言われ、産出量は四分の一を占めています。山西省にあるほとんどの地区に炭鉱があることが、それを証明しています。他には、アルミニウムの原料となるボーキサイトの採掘もこの地域の重要な産業となっています。中国のボーキサイト産出量に於いては世界でもトップクラスで、山西省には国内の三分の一の埋蔵量があると言われています。また、古くから鉄の産地としても知られています。現在では、それらの鉱物を利用した、金属の精製や自動車、重機製造などの重工業が盛んに行われています。
「山西黒」の特徴
中国産の黒御影石の中で一番よく使われている黒い御影石です。黒雲母を基本とした石で、石目の小さい均一な結晶を持ちます。吸水率は低いのですが、硬さが若干落ちるようです。また、稀にゴールドスポットと呼ばれる金色の粒子が入っている物もあります。生産量は多いのですが、丁場で品質の良し悪しの差が出ます。その結果、石材のランクに幅が出てきています。非常に良い石材と少し劣る石があると言うことです。ヨーロッパ産などに比べて価格が低いので使用量が多く、その為大量に採石しているので、最近では全体的に昔ほど良い品質のものが産出されなくなっています。
表面の仕上げについて
基本的に御影石には表面を研磨した「本磨き仕上げ」と、表面の鉱物をバーナーで高温にして飛ばす「JB(ジェットバーナー)仕上げ」があります。
本磨き仕上げは年月が経っても光沢が落ちにくいため外壁などに適しています。JB仕上げは表面に凸凹があり、ザラザラしているので滑りにくく、床材などに適しています。JB仕上げにすると本磨き仕上げに比べて色見が薄くなります。
この本磨き仕上げとJB仕上げの両方を使用して、壁面や床面をデザインすることができます。
「山西黒」を取り扱う時の留意点
黒は汚れが目立ちます。
最近の酸性雨や排気ガス等で、汚れがひどくなることがあるので、鏡面加工の製品が屋外に使われているときは注意が必要です。季節変化に対して耐性が若干劣るようで、長い年月風雨にさらされていると、霞がかかったような白っぽい見た目になったり、うろこ状に剥がれるような状態になったりすることもあります。汚れが付いたら早めにお掃除をすることをお勧めします。また、ツヤ消しの加工の場合でも元が黒い石ですので、他の色よりはホコリなどの汚れが目立つようになります。
お手入れについて
基本的に御影石のお手入れは、石の性質上大理石などに比べると容易になっています。水を使ったお掃除や洗剤等も使ってお手入れできます。しかし、天然の石なので、強力な洗剤や薬剤は使用しないでください。「山西黒」はかなり黒い石なので、薬剤等によっては劣化して白っぽくなってしまうことがあります。洗剤等を使用する時は、目立たない場所で試してから使用することをお勧めします。
「山西黒」に適した製品
硬さが若干落ちると言うことは加工がしやすいです。
記念碑や銘版、表札
基本的に御影石は季節変化などに強いので、屋外に設置してある記念碑やモニュメント、企業の銘版に使われます。黒い色は高級感があるので、品格を高める役に立つのではないでしょうか。「山西黒」は、加工も比較的容易ですからデザイン性の高い製品が作り出されています。また、個人宅の表札やマンションの玄関口に掲げるネームプレートも「山西黒」を使うと、印象をアップさせることができるでしょう。
置物
最近はおしゃれな小物も作られています。「山西黒」は黒い御影石ですので、ツヤの有り無しで模様も作れます。庭先に置く動物などを模したかわいいオブジェや、もう少し小さめの部屋に飾る置物など、多様な製品が作り出されています。また、LEDライトを使った照明に使うスタイリッシュな器具もたくさん作られています。黒い色ですが、デザインによっては暗いイメージでなく、小粋な空間を作り出すためのよいアイテムになるでしょう。
「山西黒」のまとめ
中国産の黒御影石の代表と呼ばれる「山西黒」です。黒い御影石は価格が少し高いのですが、「山西黒」はその中でも割と普及的な値段で、日本にもたくさん輸入されています。高級感がある割には求めやすい黒御影石ですので、様々な所で使われているのを目にすることも多いのではないでしょうか。
参考価格(㎡単価、消費税込、運賃別)
本磨き、ジェットバーナー仕上げ共
300角…14959円
400角…14959円
300×600…14973円
600角…22853円
2022年11月のしらべ
コメントを残す