石は、気の遠くなるような長い時間をかけて、大地の中で形づくられてきました。
竹は、短い年月で空へ伸び、やがてその命を終え、大地へ還っていきます。
大地の蓄積としての石と、大地の命としての竹。
二つの異なる時間が、ひとつの建築の中で出会います。
シリーズ第四弾「HOTEL バンブー&ストーン」は、第三弾と同じ海外のオーナーによる、別の土地でのリゾートホテル計画です。

「大地が起きて、壁になる」の、その先へ
第三弾「HOTELバンブーグリット、スクエアー」では、竹林の跡地に横たわる竹木に敬意を払い、大地が起きて壁になるという構想を描きました。
第四弾も、その考え方を受け継いでいます。ただし今回は、竹だけではありません。新たに加わったのが、石です。
竹の生命力、竹の皮の繊細さ、竹木が生きてきた時間。シリーズを通して竹を見つめてきた視点は、ここで、竹を支える大地そのものへと広がっていきます。
大地の大先輩、石
石には、命はありません。
けれども、石は気の遠くなるような時間の中で、大地を形づくってきた存在です。
山となり、地層となり、その土地の風景を支えてきました。
この計画では、そんな石を、大地を構成してきた「大先輩」として迎え入れています。
何も語らず、動かず、ただそこにあり続けてきたものへの敬意。
それが、石を建築の物語に迎える出発点です。
美しく、はかない竹
石の時間から比べれば、竹の一生はほんの一瞬です。
まっすぐに伸びる姿は美しく、風にしなる姿はしなやかです。
それでも竹は、やがてその命を終え、大地へ還っていきます。
だからこそ、この計画は石にひとつの役割を託しています。
不動の存在である石が、はかない竹を受け止め、守ること。
石への、ささやかなお願いのようなプロジェクトです。
不動の石と、竹のいじらしさ

大地の蓄積と大地の命が、ひとつの建築の中で向き合う。
完成予想図では、重厚な石の表情を持つ壁面が、建物の大きな部分を占めています。
何があっても動かない、意地でも揺るがないという佇まいです。
その石の間に、竹の質感を持つ金色の帯や、竹林の風景がのぞく窓が、ほんの少しだけ顔を出しています。
新しく加わった外観構想では、石の矩形と竹を思わせる細かな縦のラインが、互いに入り組みながら建築の表情をつくっています。
石が竹を包み込むようにも、竹が石の間から顔を出しているようにも見えます。
大きな石に寄り添うように、控えめに、それでも確かにそこにいる竹。
その小さないじらしさが、石の力強さをいっそう引き立てます。
石の不動と、竹のゆらぎ。
強さとはかなさが同じ壁面の中で向き合うところに、「大地をまとうホテル」の妙があります。

大地をまとうということ
このホテルでは、石と竹を単に組み合わせているのではありません。
大地の長い時間を背負った石と、短い時間を精いっぱい生きる竹。
その二つの存在が、建築の外観を構成しています。
石の重厚な壁面の中に、竹の繊細な表情が現れる。
互いに異なる性質を持つからこそ、石の強さと竹の美しさが、より鮮明に浮かび上がります。
大地の蓄積をまとい、大地の命を抱く。
それが「HOTEL バンブー&ストーン」という建築の姿です。
石と竹木の、涙の交差線
大地に積み重なってきた石と、大地から生まれ、やがて大地へ還る竹。
この建築は、その二つの時間が交差する場所です。
長い時間を生きてきた石は、短い命を精いっぱい生きる竹を、最後まで守ってくれるのでしょうか。
その問いに、答えはありません。
けれども、石と竹が寄り添う姿の中に、自然への敬意と、命へのやさしいまなざしが感じられます。
石と竹木の、涙の交差線。
「HOTEL バンブー&ストーン」は、大地の蓄積と大地の命が出会い、互いの存在を受け止める建築の物語です。