「西アフリカ開発銀行 本部ビル」のご紹介
アフリカの西にある8つの国が共同で設立した銀行は、それらの国の経済の発展と、生活基盤の安定を目標として1973年に運営を開始しました。本部として建設された建物は、建設地の国の人々が先祖代々受け継いできた家屋を参考とした外観になりました。「西アフリカ開発銀行 本部ビル」は、先人の知恵と経験を表す形をした未来を開くための建物です。
「西アフリカ開発銀行 本部ビル」の設計者
「西アフリカ開発銀行 本部ビル」の建設は、建築設計競技会(コンペ)によって設計者が決められました。見事その競技会を制したのは、フランスの建築事務所、デュラン・メナール・ティボー アーキテクツです。コンペが開催された当時のこの事務所は、1938年にフランス西部の街で生まれたギィ・デュランと、1931年にフランス西部の町で生まれたイヴ・メナール、フランスの南東にある町出身で1944年に生まれたジェラール・ティボーの3人の建築家によって運営されていました。初めは半家族経営のような事務所で、ギィ・デュランの父親が開設した建築事務所を息子のギィ・デュランと同僚だったイヴ・メナールが1968年に引き継ぎ、社名をデュラン・メナール アーキテクツとしました。その後、ジェラール・ティボーが加わり、10年後の1983年にフランス西部の都市、ナントに事務所を移して社名も変更しました。20世紀の後半では、ナントを中心として公共施設やホテル、企業の社屋など大きな企画を遂行していました。中でも「西アフリカ開発銀行 本部ビル」の建設は彼らの名前を大きく世に知らしめ、代表的な建築物となっています。イヴ・メナールは、21世紀に入る直前に息子たちに後を託して退社し、2008年に亡くなっています。また、ジェラール・ティボーは2009年に退社し、ギィ・デュランは2016年に建築家としての活動を停止して引退しています。
「西アフリカ開発銀行 本部ビル」の所在地
「西アフリカ開発銀行 本部ビル」はアフリカ大陸の西部に位置し、ギニア湾に面するトーゴ共和国の首都ロメに建設されました。国土は四国と九州をあわせたくらいの細長い国で、南北は500km以上あり、東西では広い所でも160kmほどで、1番狭い所では45kmしかありません。トーゴ山脈が南西から北東にかけて走っていますが、標高の1番高い山でも1,000mを越えていません。この山脈は隣国のガーナとベナンにも広がっていて、アタコラ山脈とも呼ばれています。国土の約半分は耕作地ですが、ほとんどが自国で消費するための作物を生産していて、食料自給率は高くなっています。その他にも綿花やコーヒー、カカオなど、輸出するための作物も作っています。その他の産業としては、鉱物資源の採掘が挙げられます。中でも肥料などの原料に使われるリン鉱石の採掘が多く、一時は世界でも10本の指に入るほどの輸出量を誇っていました。石灰石の採掘も行われていて、セメントの生産も経済の一端を担っています。首都のロメはギニア湾に面していて、国の産業を支える主要な港を擁しています。また、この港は内陸になる隣国ブルキナファソや、更に内陸のマリやニジェールの外港の役割も果たしています。港で陸揚げされた様々な貨物を、ロメから北にあるいくつかの国へ輸送するための道路も整備されています。
「西アフリカ開発銀行 本部ビル」の特徴
「西アフリカ開発銀行 本部ビル」は、建築設計競技会が1976年に行われ、建設開始から3年かけて完成したのが1981年です。建設のために用意された敷地が四角い土地ではなく、大きな幹線道路の交差点とその道から分かれる比較的狭い道に挟まれた複雑な形をしています。その事から、敷地の中心に建てられた建物も不規則な形となっています。2個所の四角い中庭を取り囲むように建設されたビルが、少し重なりあうように建っています。四角と円筒を組み合わせたようなこのビルの形状は、建物が建つトーゴの北部に古くから住む人々が建てていた家の形を参考にしたと、設計者が語っていました。四角い建物の上に、会議室などが入る円筒形をした部分が乗せられていて、外壁はタイルで仕上げられています。タイルで仕上げられた部分は、経年劣化や汚れで見た目が悪くなったらすぐに張替えられるように、およそ100年分が用意されているようです。四角い建物の外側には、強い日差しを遮るために、アルミ製の格子が取り付けられていて、屋内の温度上昇を抑えながら自然光は取り入れられるようになっています。この格子が取り付けられているために、建物が金属の網で包まれているような印象があります。複雑な形になっていることから、全てが同じ階層の建物ではなく、1番高い建物が7階になっています。建設されている所が赤道に近いことから、この建物は「熱帯の近代建築の傑作の1つ」と言われています。
「西アフリカ開発銀行 本部ビル」のまとめ
「西アフリカ開発銀行」はフランス語での名称の頭文字をとって「BOAD(ボード)」と呼ばれています。本部はトーゴにあり、他の7つの国にはそれぞれ支店が設置されています。古来よりいくつかの王国や帝国が栄えていた西アフリカですが、近年まで植民地でした。それらの国々が発展してくために手を取り合い、協力していくための象徴となっているのが「西アフリカ開発銀行 本部ビル」ではないでしょうか。







